プロDD・M ~その556

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 カエルを倒したツムギは再び立ち上がり、歩きだしていた。
「戻らなきゃ…みんなの所へ…そして、伝えなきゃ…マルスのことを……」


「ノコッチ、お前はまだぎりぎり生かしてやるよ。そして、その目で確と見るがいいさ。消し炭の魔女が成す術なく、消滅させられる様を。ハハハハハハ」
 ニシは足下にノコッチを置き、大きく笑った。
「悪趣味だな」
 ヨシケーが呟いたが、風に…..いや、炎にかき消された。
 その飛んできた炎を受けて、ニシの身体が吹っ飛んだ。
「かはっ…かはっ…バカな…この炎は…..!」
 その女は炎を纏い、ゆっくりと近づいた。
「やれやれ…何て奴らなのかしら…四大組織として同盟を組んで久しからぬというのに…堂々と私のノコッチに手を出すとは….」
「け…消し炭の魔女……!」
「久しぶりね、血の雨が降るのも。灰かぶり、81、悪美烈駆…ここで脱落ね」
 しかし、男達は、その登場に気圧される事なく立ち向かう。
「消し炭の魔女、封印で力を消耗しているのだろう?そして、この人数だ。お前級と称される者も何人もいる。勝てるなどと思うなよ」
 ニシが不敵な笑みを浮かべた。
「ふふふ…私を殺したい人間がこれ程集まるとは、いいね、最高よ」
「何がおかしい!!」
 囲んでいる内の1人、エーケーが叫んだ。
「では聞く。この中で、誰が私を殺すのかしら?
 消し炭の魔女は、悪魔のような顔で笑った。


 ツバサはスミオに構わず、籠を破り、化様を救出した。
「待ちやがれ!このまま行かすと思っているのかァ!」
 化様を奪い返すべく、ジャスティススミオが巨大な銃を構えた。
「化様、しっかり捕まっていてください」
 ツバサは顔だけ振り返り、スミオを見た。
 化様は、言葉に従い、しっかりとツバサの首に腕を回して捕まった。
「いいのか、スミオ。化様に当たるぞ」
「黙れ!しゃらくせぇ!かろうじて生きてさえいれば、回収して何とでもならぁな!!スミオキャノン!!」
 放たれた砲撃をツバサは、僅かな動きで、斬り伏せた。
「なっ!俺のキャノンがッ!!」
「千年…..言葉にすれば僅か2文字だが、生きてみれば、随分長い年月だったな」
「まだだッ!てめぇら逃がさねぇ!!」
「ようやく本当の意味で会えましたね、化様」
「俺を無視するんじゃあねぇ!!」
 スミオは凄まじいダッシュ力で、ツバサに迫ったが、それをあっさりとツバサは遠くへと突き飛ばした。
「ぐおつ!!バカな!そもそもどうやってここに入ってこれた!誰なんだ!お前の協力者は!」
 ツバサは、そんなスミオの言葉には反応せず、化様と向かい合った。
「…化様。追われる人生でもよろしいですか?」
「大丈夫」
「貧しい生活でも構いませんか?」
「大丈夫」
「むさくるしい住まいでもよろしいですか?」
「大丈夫」
「それでは、一生愛しても構いませんか?
「大丈夫」
 化様の目には先程までとは違う涙が溢れていた。
「お前はもう終わりだァ!ツバサ!この人数で囲めばァ!」
 ジャスティススミオは、残った81の同志を集めて、囲ませた。
「少しお待ちを。たいしたことではありません。たとえたいしたことであっても、たいしたことがないようにいたします。そして、必ずおお側に戻ります。いつものように」
 そして、大きく剣を構えたツバサは、化様へ向けて笑った。
「今、この瞬間から、一生守って差し上げます」


ねぇ、誰が殺してくれるって?
 その圧倒的なオーラ、そこにいるのは紛れもなく消し炭の魔女だった。
「相手は消し炭の魔女だ、気を付けてかかれ」
 ニシが後ろから指示を飛ばした。
 すると、ナガツキ、ソバシ、フリーダムスミオ、ヨシケーが同時に攻撃を仕掛けた。
「これよ」
 その4人の攻撃を難なく撥ね飛ばし、笑顔を見せる消し炭の魔女。
 そして、その内の1人、ナガツキを追撃し、その炎で吊り上げた。
「誰がニシの消し炭の魔女かしら?あなた?」
「ぐっ…!!」
 反応を見て、肯定を受け取った消し炭の魔女は、そのまま炎の塊でナガツキを吹っ飛ばした。
「黙って聞いてりゃ好き勝手言ってくれるわね、消し炭級ですって?」
 続いて、立ち上がり、剣を向けたヨシケーをいなすと、カウンターを当ててその場に倒し、流れるようにソバシの背後と捉えると、弾き飛ばした。
「くそおおお!スミオハンマーーーー!!」
「何だそりゃ?」
「あ…あ…嘘だ」
 振り下ろされたハンマーは、消し炭の魔女の細い腕で呆気なく止められた。
 続けざまに、消し炭の魔女の炎が巨大なハンマーのような形となり、スミオの身体が飲み込んだ。
「ぎゃあああああああああああ」
「スミオーーーーーーーーー!!」
 圧倒的な火力で、炭となってしまったスミオを見て、一同に恐怖が走った。
「スミオの装甲をもってしても、あの炎の前には無力なのか!?」
 スミオを失った81のエーケーが嘆いた。
 そして、消し炭の魔女は、そのエーケーにも迫った。
「くっ!!」
業火爆炎掌
「がああああああああああああ……はぁ..強すぎる……7つの魂の内、4つが一瞬で焼き尽くされた…..」
 周囲の惨状の中、消し炭の魔女は浮かべていた笑顔を一瞬やめると、冷徹に言い放った。
「よく聞きな。消し炭の魔女は1人しかいねぇんだよ
 原点にして……頂点!!


 ここはどこだ……?僕はどうなった…..?はぁ…..はぁ…..誰かと戦っていたような……ちっ……思い出せねぇぜ…….
 ピタッ…ピタッ…
 足音はなかった。
 何だ、僕はこれから何をしようとしていたんだ…..ゲコッ
絶望の赤……地獄の底から甦りし者、地獄と共に喜びを分かち……

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