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ドイツで起こった抵抗と、地続きのJリーグ #さかろぐ #2020mar05

前回からの続きです。

六:それで、これが日本でも起きているのではっていうのはどういう・・・

邨:これはうーん、難しい。あんまり話すことではないかもしれないけど。

六:(笑)

邨:うーん。たとえば日本ではガンバ大阪が2017年に、大阪ダービーのときかな実際に問題視されたんは。ナチスの親衛隊のマークを模したものを使用しているサポーターのグループがあって、グループが全員、無期限の出入り禁止になりました。ざっくりいうと。

六:無期限なんだ。

邨:無期限。これに関しても、行為自体は擁護するつもりはないけど。それ以外にも数件、いろんなことが起きていて。

六:浦和のやつとか。

邨:無観客試合ね。あとは去年あったのは、映像なんかをみて、あそこに悪い奴がいますって通報があって捕まるパターンとか。

六:そういうのもあるのか。

邨:ガンバの場合は、よくないよ。これも。知らなかったとかじゃなくてあかんもんはあかん。でも、無期限禁止って処分をどう捉えるかってところで。正直あんまりわからないというか、大勢の人は「そんな当たり前やろ」って思っているのかなっていうか。

六:確かに言われても「そうなんじゃない」って思っちゃってるけど、改めて提起されると「無期限なのか」っていうのはある。

邨:うーん・・・難しいよね。連帯と責任とか・・・去年だったらなにかな。町田ゼルビアとかかな。

六:はいはい。

邨:連帯って部分でいえば。チーム名が変わる時に、とかさ。それくらい大きくなくても、日本のサポーターも結構頻繁に発信せえへん?

六:確かに、横断幕とか。

邨:そんなにドイツと変わらないんじゃないかなっていうのはあるのかなっていうのは、思うんですけど。表面の行為自体は。どうでしょう。

六:例えば入場を禁止しても、いろんなところで同じことは繰りかえされるのかなってことって状況?ですか?

邨:なんていったらいいんかな・・・繰り返されるというよりは、日本のサポーターがとってる行動もさ、「社長このままでいいんか」とかさ。ドイツと同じようなことやってない?いや、全然違うねんで。意味や背景は。でも、状況として。

(コメントより)「ゼルビアのチーム名問題はサポーターの言動でストップがかかったと認識しています」というのは、自分もそうなのかなと認識しています。

六:そうですね。サポーターの言動もだし、最後に決議をとったときに賛成する人が少なかったというのが最終的な判断です。きっかけとしてはサポーターが声をあげたことがきっかけか。

邨:だから日本でも普通に、普通にっていうとおかしいけど、割と近いところでもそういうことがあるやん。今回の侮辱をするかどうかという意味ではなく、何かに対して抗議をするとか、スタジアムからこういう人が入れなくなりました、締め出されましたとか、普通に起こっているやん。

今年の開幕戦で神戸が応援禁止になって。新型コロナウイルスの感染拡大防止で。それを最初聞いた時に、怖いと思った。感染を防ぐ意味はわかるけど、持っているデータをもとにどう判断するかはクラブの個々の判断やから。それがクラブでスパッと決まるのはすごいなと思った。

六:神戸のは、神戸側だけ?

邨:いや、どっちも。

六:そうなんだ。ホームチームに対して要望だすのはわかるけど、アウェイに要望なり、例えば制裁を課すのは珍しくない?

邨:あんまりないかもね。

六:それって可能なのかな。

邨:まあでも、ホームサポーターなのかアウェイサポーターなのかなんか、どうやって見分けるのって話やし。見た目で判断するんやろうけど。

去年の夏頃に神戸とバルセロナが試合したときに、めちゃくちゃ高いチケットの値段がついて、ゴール裏は指定席になって、試合前の演出も変わって、旗振りもだめってなった。そのときに、それはどうなんってことを書いたら、神戸サポーターからもすごい怒られたし、そうじゃないところでも怒られたんやけど、探せば出てくるけど。あれはめっちゃ反省している。でも書いたことは間違ってないんじゃないかなとも思ってる。

六:伝え方の問題ね。

邨:そう。超反省。それで、そんなに遠くないんじゃないかなって。ドイツと。サポーターが声をあげた、何かした結果、変わったり締め出されたりすることが。極論いうと、全席指定にしてしまえば応援なんかできひんわけやから。

六:はい。

邨:そういうふうにその、なにかの権利が脅かされますよっていうのはそんなに遠くないんじゃないかなって。ドイツの例も、集団懲罰への抗議はあるけれど、ホッブさんが槍玉に上がったのはサッカーがマネーゲーム化していることへも部分的な批判がある。あるからアイコンになったのであって。それへの抵抗っていうのは、金の問題じゃない、サッカー見せろって話がある。

六:まあ、あるね、そうなると。

邨:その時に、どうやってその権利を主張するのかっていう、さっきの演劇の話じゃないけどさ。

六:そうそうそう、今そことつながってるなって聴いてた。

邨:そことも現在進行形で戦ってるって言えるんじゃないかなって思って。ドイツは。集団懲罰に対しても、資本家に対しても、どう抵抗するかとかなにを主張するのかっていうのも、今のドイツがひとつ例を示してくれていると思うし。

六:それでいうとありえそうだなって思ったのは、さっきのリバプールのチケットの話があったけど、日本でもダイナミックプライシングが導入されつつあるじゃないですか。あれへの抵抗っていうのはいずれあるんだろうなとは思ってますね。あれを過度にやりすぎるようになれば、ドイツと同じような反発があるんだろうなとは思います。

邨:その同じことが起こるか、わかれへんって感覚はない?

六:ほう。

邨:いや、抵抗はするんやろうけど、連帯するかっていわれたらどうなんかなって。イメージがわかないっていうのはある。ダイナミックプライシングもそうやし、このタイミングで例に出すのはあれやけど、沸騰プロジェクトってマリノスの。あとは、応援しているクラブのスポンサーの商品を買うとかさ。どれも、めっちゃいいことで。サポーターがクラブをサポートしていることを示す形のひとつなんやけど、さっきの演劇との比較で言うなら、積極的に消費者になりにいってるのかなっていうのはあって。

六:はいはいはい。

邨:この話の続きで、「なんでゴール裏にいる奴はユニフォームきてないねん」っていうのがあって。

六:は?なにそれ、裸ってこと?(笑)

邨:ゴール裏のサポーターは、クラブのユニフォームじゃなくて自分たちのグループのTシャツを作ってそれを着てるっていうの。

六:なるほど、あるかな、あるね。

邨:黒いTシャツに自分たちのグループ名の入ったTシャツをきているとか。それを切ることによって、集団のアイデンティティを示すっていうのはもちろんあるだろうけど、ほかに意識しているかどうかはわからないけど、一側面では経済的な自立というか。そんなんで実際は自立していないけど、そういう自立を示すひとつの行動かなって。だから批判もするし、ある場面ではクラブと一緒じゃないし、言いたいことは言うし、って抵抗のひとつの表現の手段というか・・・

六:あー・・・その話は多分面白いわ。面白いんだけどいましゃべる知識がない(笑)

邨:少なくともどこかはそういう行動原理じゃないかなって。だから日本でどうなるんやろうっていうのは、サッカーを観る人のなかにはクラブへのサポートっていうプラスの側面ももちろんあるし、積極的に経済圏にというか、消費行動に加担していくことでもあるから。その同じところに「じゃあお前ら入れても儲からないからね」っていうのは、めちゃくちゃ極端な話だけど、あるのかなって。極端だけど。

六:全然つながる。そうね。各クラブの経済圏にいる人を優遇するっていうのもあり得るし・・・

邨:じゃああの黒いTシャツはなんなんやっていうのは、もちろんグループごとに違って、どこかで見てかっこよかったからとか、海外のクラブから取り入れたとかもあるだろうけど、自分がさっきいったような経済的な独立というか、自立というか、自分たちが消費者としてサッカーに参加するっていうのを防いでいるというか、そういう行動のひとつなのかなて。(コメントより)そうめっちゃ面白いの。「赤く染めよう」って言ってて黒いTシャツ着てるとかさ、そうそうそう(笑)

たとえばコンサドーレとかさ、去年発売したグッズがめっちゃ黒Tやったの。これ、そういうところも取り込もうとしてるのかな、とかさ。

六:それはめっちゃ面白いね。

邨:経済圏を拡大しようとしてるのかなとかさ、そういう風にも見えた。

六:ちょっと、これはまたやろう。このテーマの面白さがわかってきた。時間もあるし一旦区切ろう。

邨:今回は、試合をやめてしまったこと、掲げられたバナーが侮蔑的だったことが騒ぎを大きくしたけど、それは批判されるべきことだけど、スタジアムのなかで起こる抵抗がなににかかっているのか、それを見落としてしまうとどういうことが起こるのか、そしてそれはJリーグにも関係ない話ではないよってことですかね。


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