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ヘアアレンジとトイレの電気

他者のことばかり気にかけていて、そうしているうちに自分のことをすっかりおろそかにしてしまって「忘れ物が多い」という困り感を抱えている子がいる。

結果としては「忘れ物が多い」となるのだけれども、他者を気にかけることができる優しさと観察力はその子の強みで、その力を自分に向けられるようになればまた違う喜びを見つけられると思う。

髪が長く、いつもおろしている。
子どもの髪の毛だからという理屈だけでは説明できないくらい、その髪はいつもきれいに手入れされていて。
きっと夜は本人や保護者が丁寧に手入れをしていて、朝は時間に追われアレンジなどに手が回らないんだろうなと勝手に想像…
先日珍しくその子に頼まれて髪を結う機会があった。

徒然と話をしながら、美しい髪の毛を編み込みにした。
結っている間は普段と違って自分の話をしていて、いつものように他者を気に掛ける様子はない。
結った後、心底嬉しそうな顔で「ありがとう」というのがまぶしくて。
誰かに大切にしてもらうという時間が、彼女の注意を自分に向ける練習になるといいなと思う。

かくいうわたしも積極的に自分を大切にできるタイプの人間ではないので、今朝のトイレは電気をつけて入ってみた。
あかるい時間のトイレはなんとなく電気をつける習慣がなくて、そこに変化をつけてみるとちょっとだけ贅沢をしたような気持ちになって、こんなささいなことでも人間って気分が変わるものなんだと発見。

彼女はヘアアレンジ、わたしはトイレの電気。
人間の生活の延長線には、大切にしようと思えば大切にできることがあふれている。
大切にする術を知らないのなら、生活に目をむけてみると違った自分に出会えるのだろうなと思った。

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