マガジンのカバー画像

タンブルウィード

31
ーあらすじー これは道草の物語。露木陽菜(ツユキヒナ)は地元山形を離れ、仙台に引っ越してきて三年目。自宅とアルバイト先を行き来するだけの淡々とした日々を過ごしていた。ある日、誤…
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

26

「昔から、、姉さんは俺達みたいな出来損ないを気にかけてくれていたんです。」 大男は喉の奥からしぼりだすような声で、低く丁寧な速度で言った。 「…ミカミネ!!」 途端に黙っていたクボが口を開き、目を見開いて隣の大男を睨み付ける。 突飛な声に陽菜とタチバナくんは一瞬体を強張らせた。 ミカミネ。。男はそういう名前らしかった。 彼は一度軽くクボと目を合わせてから小さく頭を下げて見せた。 鉄砲を構えられて命乞いをする熊みたいな潤んだ目をしていた。 そこからなにかの意思を汲み取ったのか、