シェア
陽菜は雪のついた前髪を指先で払った。 「クボさん、なんでここにいるんだろう。」 路地での予想外の状況に思わず口から言葉がこぼれる。 陽菜にとってコラフの前でクボを見かける状況というのは実に珍しかった。仕事の時以外、つまりここでは陽菜の様に何かしら別の用があった場合、クボはコラフにプライベートで立ち寄る事は一度も無かったからだ。 自らがシフトに組まれていない時に野暮で立ち寄ったという話も店長やタチバナ君から聴いた事が無かったし、陽菜自身が目にした事が無いだけかもしれないが、いず