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正解だらけのクルマ選び その2 【日産シルビア①】

「時代は次の車を待っていた」というキャッチコピーが『*青い影』の前奏と共に流れる。鋭く精悍な面構えの車が映し出されると、クリアなプラスティックのグリルから連なるヘッドランプはフェンダーまで廻り込み、イメージカラーのうす緑のパールとグレーのツートンが、低く流れるように美しいサイドビューを引き立てる。
その車、S13系シルビア。別名ART FORCE SILVIA。*ティザー広告と共にそんなTVのCMを覚えている40代以上の方も多いのではないかと思う。

当時、営業のトヨタ、技術の日産といって、日本の自動車販売シェアはその2社がほぼ横並びで首位を争っていた。クルマ好き・走り好きの男性達は日産派が多かったのだが、時代はバブル期へと移り、硬派なスポーツ車より軟弱でもオシャレなクルマを求め始めていた。のちにスペシャリティカーと呼ばれる車種で、スポーツカー風のルックスとデートにおける女性への気遣いに溢れたインテリアが魅力であった。その頃は若者が車の所有をできるようになり、女性(彼女ではない)を車で送り迎えする「*アッシー」君をはじめ、いかに女性達をエスコートするかが大事な時代だったからだ。

トヨタのソアラやホンダのプレリュードがスペシャリティカーとしてヒットを飛ばすなか、その後塵を浴びていた日産は1988年に満を持してS13シルビアを投入。先に説明したスタイルに加え、日産のクルマらしく*FRの実に良く走る硬派なもので、それが時代についていけなかった堅物走り屋男の心に響いたのだろう。彼らだってきっとモテたかったに違いないのだから。

そんな時代に、僕がクルマに目覚め始めたのは中学2年生の頃。父親はブルーバード好きの日産党だった影響もあり、スカイラインやフェアレディZに憧れていた。もちろん免許はまだ取れない。が、高校1年生の時にそのCMを見て心ときめいた僕は、とある作戦を思いつく。つづく

*青い影…Procol Harum(プロコル・ハルム)1960年代から1970年代に活動したイギリスのロックバンドの曲:A Whiter Shade of Pale(1967)
*ティザー広告…じらすという意味で一部の情報をチラ見せして購買意欲を煽る広告手法
*アッシー…彼氏ではなく都合よく送迎に使われる男。メッシーといって食事を奢らされるだけの男もいた、変な時代。
*FR…フロントエンジンリア駆動の自動車。運動性能に優れスポーツカーや大型高級車に使用される。

#シルビア #ソアラ #プレリュード #日産 #ティザー広告 #スペシャリティカー #バブル期 #アッシー君


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