私が人狼をやる理由

自粛期間に人狼にどハマりしました。

ひょんなきっかけで、なんで始めたのかもあんまり覚えてないけど、たしか仲間うちでリモートで遊ぼうってなった時にたまたま人狼が選ばれて、そのままやり続けた気がする。

やってるのは『人狼ジャッジメント』というチャット型のアプリで、特殊役職が多く、最大20人まで一緒にプレイできる。

はじめは面食らってたものの、いまや20人村の常連で、特殊ルールであればあるほど飛び込むようになってきた。

なんでこんなにやるようになったかと言うと、自分の中でひとつ明確な理由があって、それは、

「人狼とは唯一"利己的であること"が認められているチーム戦である」

ということに気づいたから。

同時に、私はこの"利己的であること"がめちゃくちゃ苦手で、本能的に向いてない。

この私の性質は、麻雀打つ上でも、とっても良くないと感じていて、人狼ゲームを通じて矯正しつつあると思っている。


私は、本当におひとよしの家計に生まれた。

祖父は役人で顔が広かったが、そのぶんたくさんの人の連帯保証人になり終生はヤクザから逃げ回るはめになっていた。

父は小学校の教師だが、夏休みになると自分でバスを夜通し運転して、クラスの子に修学旅行を追加でプレゼントしていた。

そんな家庭で育った私は、幼稚園の時には外遊びの時間が終わって手を洗いに並ぶとき、友達をどんどん前に入れてしまうのでいつも最後になっていたという。

他にも、そういう「自損」エピソードは枚挙にいとまがない。

そんな祖父もなぜか麻雀が大好きで、終戦の鐘が鳴るや否や徹マンを始めたというから、血は恐ろしい。

晩年には麻雀旅行で箱根などに出かけ、旅費は確実に稼いで帰ってきていたらしい。

ただ、私が麻雀を覚えた頃には他界しており、卓を囲んだことはないのだけれど。


話がズレた。

つまり、元来のおひとよしは治らないとしても、なにか矯正すれば、ゲーム上では"利己的"であることができると、私は考えた。


麻雀上での「おひとよし」とはどういうことか。

例えば闇聴でも満貫ある手を聴牌したとする。

ここで普通は自分の点況や場況を見て、(おそらく闇聴のまま)何が一番あがれるかを考えるのが基本だろう。

ここで私の脳裏にいつも必ずよぎってしまうのが、

「これ闇聴で刺さったら相手は嫌だろうな」

なのである。

自分でも呆れるが、本当にそう思って曲げてしまうことが、多々ある。あった。

セット仲間と打っていた時代がそこまで長いわけでもない。

ただ、常に、「うっかり軽はずみに、空気が悪くなることを自分がしてしまう」ことに対する危機感があって、高い手を聴牌した時に警報を鳴らしてくるのだ。

いつぞやのフリーで同卓したオジサンがどんどん不機嫌になることへのトラウマなのか。

なんなのかわからないけれど、どんな選択をする時にも、この危機感がぬぐえない。


これは、突き詰めると「"利己的になること"がめちゃくちゃヘタ」なのだ。

どんなゲームにせよ、基本利己的にならなきゃ、とことん利己的にならなきゃ勝てないのに、私はまるで子供相手にトランプでもする時のように、いい雰囲気のままスルッと勝ちたい、と思って生きている。

これはもしかしたらゲームのみならず、全部のベースがそうかもしれない。

私が多少自分の芯を曲げない範囲で我慢することで相手が怒らないなら、そちらを選ぶ「クセ」があるのだ。


くだんの闇聴満貫など、曲げて跳満ひければ問題ないわけで、その基準にどうやら引っかかってきてしまうらしい。

でもトータルに見たらそこが「判断」ではなく「クセ」であるのは、弱点でしかない。

麻雀は子供とのトランプほど、力量差がでるゲームではないし、私はそもそも全体の中で強者とはとても言えない位置にいるのに、その「クセ」までついているようでは、とても土俵にあがれない。


そこで、人狼である。

人狼は「自分の勝利のために嘘をつく」ゲームだ。

時には相手を罵倒するほどに、自分がつくりあげた支離滅裂な真実を、信じ込ませなければいけない。

人狼を知らない時にはこの罵倒が嫌で、そもそもお察しの通り嘘をつくことも大変に下手くそなので、一生縁はないと思っていたが、一生縁がないと思う物事ほど、実は人生に必要な物だったりするのです。


嘘をつくのも苦手。

利己的になることも苦手。

苦手づくしだけれども、ゲームと割り切ってやり込むことで、コツが見えてきたのです。

つまり、人一倍「割り切る」必要があって、その訓練を人狼は気持ちよくさせてくれる場でありました。

また、AがBならばCはDである、というような、基本的な論理思考も、虚実混交の中で組み立てていく必要があり、そこも脳みその訓練になります。


今では天鳳で受けたストレスを人狼で発散し、人狼で受けたストレスはふて寝して発散しています。


麻雀プロで人狼が上手い人が多いのも、ゲームと割り切って利己的に思考できる人が多いからなのかも。

ブラフなんかもよく例えられるけれど、麻雀ブラフそんなに得なタイミング少ないし、ブラフのゲームでもないので、あまりしっくり来ていなかった。


何が言いたいかというと、自分がおひとよしで損してるかもって思ってる方は、人狼おすすめですよ、ということです。


突然のnote第1号おしまい。

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