9.11続き8

その日の夜もキム2とカウチでタバコをふかしていた。
ワールドトレードセンター崩壊の時、すぐそばにいた話。
100メートル5秒で走った自信があるとキム2は笑いながら言っていた。
「nogare.nogareシチュエーションだよ」
「日本語めっちゃ上手くなってるじゃん!」
2人で大笑いをした。
正直、そこでキム2がどんな経験をしたかわからない。でも彼は笑顔で、あんな悲劇だったのに、それをコメディーみたいに話してくれた。
いつも笑顔でひょうひょうとしているキム2の強さだとも思った。
僕は最も聞きたかったことがあった。
「キムなんであの日学校に行ったの?」
キムは照れ臭そうにタバコをふかした後に言った。
「僕の好きな子がワールドトレードセンターの近くに住んでいて、僕は彼女を探しに行ったんだ。」
キム2お前ってやつは…

キム2はただがむしゃらに好きな娘のために動いたんだ。
僕だったらそんな行動ができるだろうか?
「でも、家の場所が分からなかったから結局会うことはできなかったよ。」
「キム2だけはこのテロの中、好きな娘のためだけに動いてんだね。僕は純粋に尊敬するよ。なんか救われた気がする。」
キム2はただいつもの笑顔で答えてくれた。

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