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医師の服装は患者に影響を与えるか?

家庭医ギータです。

今日は「医師の服装」についてです。

0) ギータの格好は?

研修医の肩書きがとれ、
スタッフとして働きはじめてから
ギータはYシャツにスラックス姿で診療しています。

というのも、前の職場のボスから

「訪問診療では患者さんのお宅にお邪魔するので
 失礼のない格好をしましょうね」

と言われたことがきっかけでした。

真夏の沖縄でシャツにスラックス姿だと暑くて耐えられないだろうと
当初は気が滅入りましたが、すぐに慣れてしまいました。
今ではシャツ姿でないと落ち着かないくらいです。

新しい職場で自分の格好を再考する機会があったので取り上げてみました。

1) 医師はどんな格好で仕事をしているか?

大きく3種類の服装が多いです。

①スクラブ
②白衣(中にシャツを着ているのを含む)
③シャツ

①スクラブ

ギータも初期研修〜後期研修ではスクラブで仕事をしていました。

汗かき、暑がりの自分には心地よく、なにより楽ちんでした。

鍛えた大胸筋や上腕二頭筋、三頭筋、三角筋をアピールする上でも
スクラブはもってこいでした。
(☝︎の写真のお兄さんもほのかにアピってるように感じます)

②白衣

本来はこちらが正統派で、誰からみても「お医者さん」と分かるし
一番よいのかもしれません。

しかし、これがとにかく「暑い」ので自分には耐えられません…。
写真撮影とか、限られた場面でしか着ることはありません。

③シャツ

こちらは海外の家庭医の先生がされているイメージです。
こんな感じでしょうか❓

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(redditの記事では、この服装ではく靴について話題にしています)

ちなみに↓の記事では4つの分類が提示されていました。

①カジュアル
 半袖の襟付きシャツとジーンズ、テニスシューズ(白衣の有無は問わず)

②スクラブ
 青色の半袖スクラブトップとパンツ(白衣の有無にかかわらず)

③フォーマル
 水色の長袖ドレスシャツと紺色のスーツパンツ(白衣の有無にかかわらず)、女性は1インチヒールの黒革靴、男性は紺色のネクタイを着用

④ビジネススーツ
 紺色のジャケットとパンツに、「フォーマル」オプションと同じドレスシャツ、ネクタイ、靴を着用(白衣なし)

この記事の中で取り上げられている論文中の図です。

スクリーンショット 2021-05-22 8.54.36

Petrilli CM, et al. BMJ Open 2018;8:e021239. doi:10.1136/bmjopen-2017-02123

医師の服装に関する論文をたどっていくと面白いです。

この論文の導入部分では白衣について触れています。

・白衣は、19世紀半ばに医師の信頼性を高めるために、実験室で働く人々から借り受けたもの。
・この20年間で白衣が感染症の原因かも、と議論されるようになった。
・多くの医師は、衣服を清潔に保ち、多くの荷物を持ち運べる白衣の有用性を評価しており、また、医師も患者も、白衣の最も重要な役割は、多忙な臨床環境の中で医師を識別することであると述べています
・白衣に対する患者の嗜好を報告した研究では、患者は白衣を着ることで医師の能力に対する自信と確信を深め、コミュニケーションを向上させ、医師と患者の関係を深めることができるとしている。

医師にとっては白衣によって「私は医師です」とアピールしやすい利点がありますよね。

2) 現在の職場ではスクラブが主流

沼にハマるところでした。

服装は、病院か、診療所か、在宅診療かによっても違ってきます。

ちなみに、現在の職場は大半の医師がスクラブです。

大御所クラスになるとシャツ姿が増えてくる印象ですが、
彼らは誰からも知られた存在なので、格好は関係ないでしょう。

新参者で、かつ威厳のないギータがYシャツ姿で歩いていると、

「業者さんですか?」
「ここは関係者以外、立ち入り禁止ですよ?」

といった懐疑の視線を向けられます。

実際、病棟の看護師やリハビリスタッフにいきなり話しかけてしまって

「は? あなた誰?」

という反応を食らう事件が入職当初は多発しました(今もたまに)。

慌てて自己紹介して警備員さんを呼ばれる事態を免れました。

先述したとおり、周囲が「この人は医者か」と認識する上で
白衣やスクラブは有効ですが、
シャツはまだまだマイノリティですね。

3) 患者さんは医師の服装をどう思っているか?

「医師の服装が患者の受け取る共感に影響を与えるか?」
というテーマに取り組んだ研究がこちらです。

こちらが英語の論文です。

面白い研究ですね。

論文中にある写真です。こんな格好で研究が行われたようです。

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「カジュアルな格好と白衣姿で、
どちらが患者さんの好感度は高いのか?」

ということとは少し違うようですが、結果はどうだったのでしょうか?

家庭医の服装は全体では患者が受け取る医師の共感に影響を与えないが、
男性患者では家庭医がカジュアルな服装をしている際に
共感が高いことが示された。

と結論づけています。

男性の患者さんでは、権威構造に敏感なので、
カジュアルな格好の方が親しみやすい、

ということでしょうか?

すぐに浮かぶ疑問として

「共感」をどう測定するのか?

ということがありますが、
こちらの質問紙を使用しています。

サイト内の説明文

The Consultation and Relational Empathy (CARE) Measure は、
2004年にStewart W Mercer および英国グラスゴー大学・エディンバラ大学の研究チームによって作成された質問紙です。
CARE Measureは10項目の質問から成り立ちます。
それぞれの質問に1-5点、もしくは評価不能をマークしていくだけですので、手軽に取り組める質問紙です。

CARE Measureは共感の受け手である患者が医師を評価するという特徴を持ちます。もともとは、プライマリ・ケア医の共感を評価するために発展してきましたが、今では看護師はじめ、その他の医療従事者の共感を測定することもできると言われています。

「あなたを安心させてくれた」
「あなたに十分話をさせてくれた」

などの項目が並んでおり

「よくなかった」から「最高」までの五段階評価です。

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自分の診療を受けた患者さんがどのように評価してくれるのか、
大いに気になるところです(^_^;)

4) まとめ(今後の課題)

新しい職場にきて、スクラブを着ている医師が多い中、
自分がマイノリティのシャツ姿であったことから、
心細くなったためのエントリーでした(^_^;。

とりとめない内容になってしまいましたが
今後の個人的な課題を挙げておきます。

①白衣を着るタイミング
②夏になって半袖になった場合の冷え対策
②院内でのシャツ姿ではく靴は革靴か運動靴か

清潔感を維持して相手に不快感を与えないことが一番ですね。

ギータの闘いはつづきます…


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