腸閉塞の患者さんにレントゲン・フォローは必要か?
家庭医ギータです。
今日は「現場で感じた疑問をしらべてみたシリーズ」です(第1回目)。
1) 疑問の背景は?
腸閉塞の入院患者さんに対してフォローアップのためのレントゲンをオーダーしたけれど、「それって必要かな?」とチームのボスに突っ込まれ、さらに文献のありかまで提示していただきました。共有します。
2) 参考文献は?
参考にしたのはおなじみのUpToDate®で、主に以下のエントリーです。
UpToDate® ”Management of small bowel obstruction in adults”
(以下のエントリーも関連あります)
UpToDate® ”Approach to symptom assessment in palliative care”
UpToDate® ”Palliative care of bowel obstruction in cancer patients”
3) 本題:フォローアップ画像は必要か?
→結論:定期的な画像検査は推奨されない。
・腹部単純X線写真は、穿孔を示唆するfree airなど、腸閉塞の最も進行した段階以外では感度が低い。したがって、SBOに対する定期的な腹部X線撮影は推奨しない。
→検査してもしなくても、結果がどうであればアクションがかわらないということですね。
・癒着性SBOに対する保存的治療を行って、通常は3~5日経った時点で、患者が悪化したり、改善しない場合には、腹部CTを検討する。
→本当に疑うならばCTを撮れ、ということですね。
※「造影剤を使った腹部単純X線写真を除く」とありますが、これは日本では一般的ではないと思います。少なくとも自分の周囲のセッティングでは。
4) 小腸閉塞マネジメントの流れ(フローチャート)
コチラ↓はUpToDate®にあったフローチャートですが、やはり日本の現状とは合わない図ですね。救急の現場で、ガストログラフィンを使うシーンを見たことがありません(偏った研修環境だったのかもしれません)。
5) 明日からのアクションはどう変わるか?
腸閉塞の患者さんで保存的治療を選択した場合、ルーティーンでの腹部単純X線フォローは必要ない、と考えて検査はしないようにいたします。
6) まとめ
浅めのエントリーとなりました。そのうちに深みがでてくるはずと信じて続けていこうと思います。
闘いはつづく…。