夏休みの《サイ甲虫》観察日誌

別に夏休みではないし、特に観察もしてない。
あまり時間が取れないので、箇条書きで。

●大方針

《サイ甲虫》を採用しつつ、《サイ甲虫》が明確に勝敗に直結する形を目指す。「勝つために《サイ甲虫》を引きたい」と思える形が理想。

男の浪漫

極端な話、「《サイ甲虫》を採用すれば何でもいい」のなら、ブラッドバーンに適当に入れて捨てるとかも物理的には可能ではある。制限構築ではよくある話。だけど、今回目指すのはそうではない。

●方針の深掘り

《サイ甲虫》は、除去耐性が無いうえ5マナと重く、土地10を揃えるにもそれなりに手間取るため、普通に使っても確定除去や打ち消しなどのある相手には15点パンチを通すことが困難。

余裕で対処されてしまう

仮に《蛇皮のヴェール》《強迫》などの妨害対策を積んだとしても、土地10を目指すためのランプや遅延策(主に除去)にデッキの枠を割く都合で、相手の妨害の打ちどころが少なく、結果的に相手の妨害枚数がこちらの《サイ甲虫》+除去対策を上回ってしまう。

これらを積んでも結局除去コンには通せない

では、それらと張り合えるほどに、大量のハンデスや呪禁付与などを入れればいいのか?と考えると、今度は赤やコンボのように除去されない相手には不純物を大量に抱えて負けるというリスクがつきまとう。
逆に赤やコンボにだけ勝つことを目指して除去対策をかなぐり捨てることもできなくはないが、捨てる範囲が広すぎるため、今回は割愛。

「妨害への妨害」など大量に積む余裕は無い

この問題への一つの対処として、「他の脅威を増やす」という選択肢がある。土地を伸ばすコンセプトに合いそうなところでいえば、統治者やイニシアチブによるマウント、続唱クリーチャーによる物量押しなどがこれにあたる。

ふつうにつよい

しかし、例えば「統治者やイニシアチブでマウントを取る」「続唱クリーチャーを妨害が追いつかなくなるほど叩きつける」として、それが実現できるなら、そこから勝つ手段が《サイ甲虫》である必要があるかと考えると微妙だ。そのまま《狩人》や《アルティサウルス》で殴ったらいいし、5マナトランプルを用意するにせよ《アウルベア》のようなアドバンテージ戦略に寄与するカードの方が構築として綺麗だと思えてしまう。
「《サイ甲虫》でなくとも勝てる」状況から《サイ甲虫》を唱えて気持ちよくなるのは、今回の趣旨に沿わない。

こういう問題(今後"キャリー問題"と呼ぶ)は、本当に何とも差別化できないようなカードを使うのなら受け入れるが、《サイ甲虫》はそうではない。「5/15/15でないとできない」何かを目指したい。

そのため、二の矢・三の矢の用意はせず、《サイ甲虫》を使う一の矢を、可能な限り妨害されづらい形で用意することとした。
具体的には、着地後そのまま《投げ飛ばし》もしくは《消耗の儀式》で投げることにより除去を無視するというプラン。15点を直接叩きつけ、残り5点を他の本体火力で賄う。
もちろん、除去が来ない相手にはそのまま殴りに行ったらいい。

着地後そのまま使えば除去が効かない

土地10並べたところからこの動きをするのには5+2=7マナ必要。つまり3マナ余るので、《金属の叱責》をケアできる。
この動きを取るなら、フレンチバニラである点も「余計な着地誘発で除去を打つ隙を与えるリスクが無い」という差別化ポイントにすらなりうる。

似た動きをするカードとして《強行突破》はあるが、除去耐性という課題を解決しないため、高タフネスが除去されない相手へのサブプランにはなれど、主軸としては要件に沿わないと判断。

なお、このプランだと、逆に打ち消し耐性はガバガバになるが、そこも含めてカバーできる一の矢は、自分には見つけられなかった。

●構築の骨子決め

残り5点をどう削るか?を頭に置きつつ、構築を定めていく。

・ランプで土地を伸ばす
・土地が10並ぶまで耐える
・本体を最低5点削る

これらの要件を鑑みると、《堕落》コントロールに寄せることで、割と今回のプランに合った動きが取れるように思えた。個人的に、《堕落》コントロールには「相手の脅威を全部捌いても3枚目の《堕落》を引けずゲームが中々終わらない状況がよくある」というプレイ体験的な課題があると認識しており、そこを解決する手段になりうるのも良い感じ。

もう一つの選択肢として、グルールorジャンド続唱も考えられる…ように見えるが、キャリー問題に加えて《消耗の儀式》などが捲れるリスクもあり、今回のプランには合わないと判断。

●構築の煮詰め

具体的に組んでいく。

まず、ランプ要素は《耕作》《スカイシュラウドの要求》系の複数枚土地サーチに寄せる。これは単純に、1枚から複数枚の土地を持って来られるカードでないと、土地10枚を目指すのが困難であると考えたため。
こういうカードでなく、統治者のようなアドバンテージエンジンでマウントを取って土地枚数を稼ぐという手も無いことはないが、その道の先はキャリー問題に直結する。

あとは土地10枚揃うまで耐えるための遅延手段。《汚涜》《堕落の触手》などの単体除去、《墓所のネズミ》による全体除去、マナベースの安定化にも寄与する《気前のよいエント》、ライフを詰める役割も持つ《堕落》など。

そして《サイ甲虫の暴走》《消耗の儀式》と、キーカードを探すためのドローソース。
なお《消耗の儀式》は、複数回打つ必要は無いことから1枚に抑え、《引き裂かれた記憶》からサーチする形を取っている。

●現行リスト

4:《汚涜/Defile》
1:《喪心/Cast Down》
4:《堕落の触手/Tendrils of Corruption》
1:《殺し/Snuff Out》
3:《墓所のネズミ/Crypt Rats》
3:《堕落/Corrupt》

4:《サイ甲虫の暴走/Crash of Rhino Beetles》
2:《引き裂かれた記憶/Shred Memory》
1:《消耗の儀式/Rite of Consumption》

1:《夜の囁き/Night's Whisper》
2:《骨読み/Read the Bones》

4:《木霊の手の内/Kodama's Reach》
3:《耕作/Cultivate》
2:《スカイシュラウドの要求/Skyshroud Claim》

4:《気前のよいエント/Generous Ent》
4:《憑依されたぬかるみ/Haunted Mire》
4:《森林の地割れ/Woodland Chasm》
12:《沼/Swamp》
1:《森/Forest》

●課題

捨てた青が流行りだしちゃった。
親和なら前述の通り3マナ浮かせて動けるからどうにか動けるものの、《謎めいた海蛇》によってテラー系統が増えだしたのが本当にまずい。

…といっても実は、青といってもテラー系に対してはクリーチャー全員殺せばLO勝ちできるのでは?という説もあるんだけども。持っていくとしたら平日大会と考えると、そのプランを大前提に据えるのは微妙かなと。
ゲームの中でプレイングとして判断してそう動くのはいいんだけど、構築の時点でその方針で考えるのは、なんとなくよくない気がする。例えば無限ライフを得られるデッキを使う場合でも、LO以外の勝ち手段なく投了をお願いするのではなく、ちゃんと勝利手段を入れたいタイプの人間なのだ。つまり自分の主義の問題。

ファミリアでいうところの青頭みたいな、「ちゃんとゲームを終わらせるためのカード」の採用を考えたいが、こちらが打ち消しを持たない都合で、普通のカードではかなり厳しい。
相手が墓地対策をサイドインする理由はないので、《ティゼルスの果実》なんかがいいかもしれない。ただし《引き裂かれた記憶》のサーチ圏外なので、今は《死の国の憤怒犬》にその役割を持たせてみている。このあたりは要検証だ。
また、2本目をそれらのカードで取れたとして、3本目で墓地対策を入れられた瞬間に終了する。3本目はLO勝ちを視野に入れないと本格的に無理かもしれない。

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