COOLでROCKなTシャツ、CUTEでHAPPYな私。
私はTシャツが好きだ。
好きなROCKバンドのTシャツや、キャラクターのTシャツ、着心地のいいちょっと高いTシャツに、小学校6年生のときから着ているTシャツまで40枚くらい蓄えている。
中でもとびっきりお気に入りのTシャツは、大好きなROCKバンド、T.Rexのボーカルの顔がドンッとプリントされた黒のTシャツ。
誰とも被らないインパクトさも、見た目とは裏腹にやわらかい着心地も、汗っかきな私にとって大切な汗染みが目立たない黒というところも良い。
地元の服や靴や雑貨など色々なものを売っているお店の、メンズコーナーにかかっていたのを一目惚れして買ったものだ。
おそらく4年以上は着ている。
このTシャツを着ていると不思議と人に声をかけられることが多い。
駅の改札で道を尋ねられたり、駅のホームで電車を待っていると次の電車の時間を聞かれたり(電光掲示板がそこにあるのに)、2回も同じ宗教勧誘にあったり、良くも悪くもこのTシャツを着ていると知らない人に声をかけられる。
気づいたのは2回目の宗教の勧誘にあったときだ。
「知らない人に話しかけられる時、いつもこのTシャツだ!」
はじめは「私はそんなに幸が薄そうに見えるのだろうか、話をほいほい聞いてくれそうな優しい人に見えるのだろうか、こんなにROCKなTシャツを着て一見近寄りがたく見えそうなのに」と不思議だった。
なんでだろうとしばらく考えて、ぴかーんとひらめいた。
「私はこのTシャツが本当にお気に入りだから、このTシャツを着ていると気分が上がってそれが自然と顔に出ているのかもしれない!TシャツのT.RexのボーカルはCOOLな顔で大変ROCKだが、着ている私はCUTEで大変HAPPYに見えるのかもしれない!」
話しかけられたときは仕事終わりが多く、大抵すっぴんを隠すためにマスクをし、帽子をかぶっているので正直CUTEでもHAPPYでもなく、むしろBADでTIREDである。
しかしこのお気に入りのTシャツはそんなBADな私をCUTEにしてくれる。
化粧なんかではつくれない、マスクをもぶち破るすごいパワーを秘めているのだ。
とんでもないTシャツが地元のお店にあったものだ。
私は心の中でこのTシャツを仕入れてくれたことに感謝した。
そしてなんかかっこいいからという理由でROCKバンドのTシャツを買う人のもとではなく、ちゃんとそのバンドが好きな私のもとにきてくれてよかった。と思った。
人に話しかけられたくないときは着ないようにしようと思いながら、これからも大切に着ようと夏が終わるころ丁寧に畳んで押し入れにしまった。
もし次の夏が来て、このTシャツを着ているとき、またあの宗教の勧誘に話しかけられたら、もう振り返ってしっかり目を見て
「なんで私に話しかけたんですか?そんなにCUTEでHAPPYに見えますか?」
と聞いてやりたいが、そんなことは起こりませんようにと祈っている。
T.Rexで好きな曲は20th Century BoyとDeboraです。
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