意思を無視してなにかさせても良いの?

最高に美味しい炭の香りがするタコスを作る人であり、上智大学で国際政治を教えている鈴木一敏教授とのお話前回に続く二回目です(同じ日にした話ですが)です。政治ってなんか嫌いな感じがするのはなんなんだろうという話から、人に何かをさせるということについてつらつらとお話しました。

権威と権力は人になにかを「させる力」らしい

北村:権威と権力ってどう定義したらいいですかね。

鈴木:定義は色々あるので、どれがいいとかいうのは難しいですけれど、権力の一番分かりやすい定義は、アメリカの政治学者ダールの「他人がそのままではしないだろうことをさせる力」というのが有名です。でもこれだと権威も入っています。もう少し狭い定義もありますね。

北村:「そのままではしないだろうことをさせる力」ということは暴力も権力に含まれるわけですね。だんだんわかってきました、ぼくは「その人がどうしたいのかを大切にしたい」し暴力とかでなにかさせるのは悪だみたいな価値観を持ってますね。でも、何か学んでおくべき点がある気がします。

鈴木:「人間の力なんて大した差は無いので、お互いがお互いを倒せる。だから社会契約で権力を集中させて、自分たちを支配させて、安全を確保する。」と、ホッブスは表現しました。それが権力機構なので、暴力装置でもあります。権威は、暴力を使わなくても従わせる力です。「カリスマ的、伝統的、合法的」という権威の3分類があります。

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北村:伝統的「まえからこうやってた」カリスマ的は「あの人だから」両方とも意思決定の方法として、嫌いだなー、「自分でどうしたいか考えようよ!」ってなる。

鈴木:科学的な知識もそうだし、宗教的なのもそうですが、因果関係について理解している、と思われることも権威につながりますよね。そのままだったらやらない事、をやらせるように仕向ける時点で、(情報がすべて伝わってるとすると)本人の意思に反していて、それが嫌いなポイントになってる人は多いと思います。権威も金も権力(強制力)も、その道具にはなりますね

意思を無視して「させる力」を働かせてもよいのか

北村:僕は時間軸みたいなイメージでの整理があって、「禁煙をしたい、タバコを吸う」、これを人間は同時におもうことがありますよね。

鈴木:「酒控えなきゃ、ああ飲みたい、結局飲む」、の繰り返しです。笑

北村:うんうん。こういう場合に「他人がそのままではしないだろうことをさせる力」が吸わせないようにしてくれたらそれは良い気がします。「道具」として権威や権力が自分に働くなら便利。その人の将来的な理想にむけて「他人がそのままではしないだろうことをさせる力」つまり権威をつかうということについて、良いことのように感じてきました。

鈴木:自分の能力を制限することで、誘惑に打ち勝つというのはありますね。それをしてやるのがパターナリズムですかね。

※パターナリズム「強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること」

息子には、「携帯を夜中にやらないように、預かってやる、有難く思え」、と言っています。強制力がある方が、結果として豊かになる例は結構あります。

北村:息子さんから携帯をとりあげてるという例をみるに「納得感が大事なのでは!」と言いたくなります。意地悪そうにありがたく思えと言っている鈴木さんと、納得していない息子さんを想像しました!すずきさんわるそう!

鈴木:小学生の時からそういうやりとりしてますよ。あいつとは。笑

北村:目に浮かぶようです

鈴木:「なんで」といわれたら「パターナリズムだから」って言ってました。そしてパターナリズムの概念を説明して、煙に巻いてました。

北村:納得感がない。ひどい。もう、その、「煙に巻いている」という言葉をつかうところにひどさが垣間見えます笑

鈴木:でも、かみ砕いたら、小学生でも理解できるのだということは分かりました。親子だと利害がかなり一致しますからね。

北村:そうですねー

鈴木:政治だと必ずしもそうではないけど

北村:本人が納得してしまったらパターナリズムにならないかなとおもったけど「意思を問わず」なので、意向通りでもかまわない。パターナリズムであっても、納得させることをもとめることもできますね。

鈴木:じゃあ、たばこ取り上げてもらうのは、パターナリズムですね。

北村:そうですね。お金も取り上げないと、また買っちゃうかもしれない。携帯より難しいですね。

あ、時間だ。あっという間でした!テキストチャットでも、飲んでるときのようにはなせるものですねー。ありがとうございましたー、いってらっしゃい

鈴木:どうもありがとうございました。

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