snufkinsmile
20220524 「果実の転がり」
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20220524 「果実の転がり」

snufkinsmile

窓から外を覗き
小鳥が降りて来て
一通り見回して
チュンと羽ばたく
忙しそうだから
そのままにしておく
声は聞こえるけれど
姿はもう見えない
また来てくれる様子もないから
居そうな所を見てみるけれども
いつも通りの景色ばかり
花弁はとっくに落ちて
気候も良くて
田圃は水の中に
空を映している
雲の流れ
風の行方を
その鳥は知っているのか
雛の目が開くのも
もう時期だろう

プラムがたわわに膨らんで
枝も重かろうに
枇杷の季節をもう少し待って
白焼酎と瓶を用意しておこう
いつもの梅仕事はもう随分とやっていない
はて笊はどこか爪楊枝はあったか
季節の事を忘れてしまって
性能のいい住宅が増えたように
心地よさと豊かさを交換して
ひとくち味見するのも
何だかこわごわ
苦いも甘いも
匙加減の魔法を
オバーに聞き忘れたから
その味わいの秘訣を
誰に聞けばいいのだろう
巡る中で奪って
受け取れなかった
その果実を
今になって植えている

喧騒から遠く離れ
空も見えないアパートから
どれだけの景色を更新して
契約の類を破って来たのだろう
見上げた建物で陽も当たらないが
そういう物だと思い込んで
違う土地を探しに出る
世間知らずだから
どこにでも顔を出すが
ここではないどこかなど
ありはしないのに
土塊を焼いて
また割っているのは
どういうことなのか
はてとして
今はここにいる
もう一度飛べるとしても
もう戻れないとしても
ここまで来れたのだから
それはそれでいいとしておく
きっとオバーもうなずくだろう

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snufkinsmile
こんにちはsnufkinsmileです。 日々の日記のようなものを書こうと思います。 日記みたいな、詩みたいな、エッセイみたいな。 よろしくお願いします。