見出し画像

知らずに受けてた? カルト勧誘!(学生向け)

はじめに

この記事は、YouTubeで公開している破壊的カルトの偽装勧誘に関する注意喚起動画の文字起こしです。記事の最後に、動画のURLを添付し、スライドのPDFをダウンロードできるようにしてあります。

これらのコンテンツは、破壊的カルトの被害予防や注意喚起の目的であれば、出典を示した上で、手続きや問い合わせなしで、自由にお使いいただいて大丈夫です。


フォロワーが実はカルトでした

今回は、皆さんが知らないうちに受けていた、あるいは、これから受けるであろう、破壊的カルトの正体や目的を隠した勧誘の手口を紹介します。

フォロワーが実はカルトでした……そんな笑えない状況に、既に皆さんも巻き込まれているかもしれません。 Twitter、Facebook、Instagram、LINE、TikTok などを使っていて、「いいね!」をもらったり、コメントをもらったり、拡散をしてもらえると、思わず嬉しくなりますよね。

でも、それらの「いいね!」や、リプや、リツイート、あるいはDMを送ってきた人が、あなたをカルトのメンバーにしようと、狙っているかもしれません。

「破壊的」カルトとは?

「カルト」って聞くと、怪しい宗教や狂信的な信者を思い浮かべる人が多いと思います。でも、ここで言う「破壊的カルト」とは、単に「怪しい」団体のことではなく、「深刻な被害を出す」団体のことです。

つまり、どんなに怪しい教えを信じていようと、どんなに怪しい儀式を行っていようと、被害者が存在しなければ、破壊的カルトとは言いません。

カルトとは、金銭的、身体的、精神的被害をもたらす集団のことで、虐待や暴力、献金や奉仕の強要、家族や友人を引き離して人間関係を壊すような反社会的集団のことです。

「そんなところに進んで入るわけがない」と思うかもしれません。でも、彼らは正体や目的を隠して皆さんに近づき、マインド・コントロールという手法を使って、 自分の意志で組織に入り、教祖を信じるようになったと思い込ませてしまうんです。

たとえるなら、DV 加害者が最初は優しい人を装って被害者へ近づき、付き合ってから、徐々に本性を見せるのと似ています。DV 加害者と付き合い始めた被害者は、パートナーから「私はダメだ」と思わされ、優しくされてを繰り返し、「この人がいないと生きていけない」と思わされます。

破壊的カルトに入った人も、最初は優しく迎えられ、徐々に自分の思考ができなくされ、「ここに居ないと生きていけない」と思わされてしまうんです。

破壊的カルトの例

こういったマインド・コントロールを使って、たくさんの破壊的カルトが信者や会員を集めています。

過激派テロ組織などの思想政治カルト、マルチ商法や信者ビジネスなどの商業カルト、自己啓発セミナーや自称カウンセラーによる心理療法カルト、そして、死後や将来の不安を煽ってお金を集める霊感商法、霊視商法などを行う宗教カルトがあります。いずれも、中高生や大学生など、若い人たちを積極的に勧誘してきます。

SNS 上のカルト勧誘

最近は特に、SNS での勧誘が活発になっています。彼らの勧誘は非常に巧妙で、専門家でもなかなか気づくことがで きません。

ある高校生は、受験に合格して、自分のプロフィールに「#春から○○大」と書き込んだことがきっかけで、カルトメンバーのターゲットにされてしまいました。

彼女は、知らず知らずのうちに、カルトメンバーから投稿をチェックされ、度々同じ人から「いいね!」をもらうようになります。「最近この人、たくさん『いいね!』 つけてくれるな……」と思っていたら、自分の投稿に「私も○○大学の2年生です。春から楽しみですね~」と返信がつくようになりました。

その後も、映画について感想を書いた自分の投稿がリツイートされたり、コメントをもらったりするうちに、相互フォローになっていました。

ダミーサークルへの誘導

それから間もなく、カルトメンバーは彼女にDM(ダイレクトメール)を送ってきます。「よかったら、私も映画に興味があるんで、LINEかメッセージで話しませんか?」同じ趣味で話が合いそうと思った彼女は、これを喜んで承諾し、連絡先を交換してしまいます。

しばらく、趣味の話でやりとりを続けていると、こんなお誘いを受けました。「よかったら、有志で作った映画同好会のLINEグループに入りませんか?」こうして、彼女は誘われるまま、LINEグループに入ってしまいます。

すると、学校生活の悩みや将来の不安についても、グループのメンバーから暖かいアドバイス をもらえるようになりました。めちゃくちゃ良い人たちじゃん! いつか会いたいな……と思っていると、向こうの方から「今度オフ会があるんだけど、よかったら来る?」と誘ってきます。

こうして、彼女はオフ会に顔を出すようになり、映画同好会のメンバーが所属している異文化交流会にも誘われるようになりました。実は、この映画同好会と異文化交流会、どちらも勧誘のために用意された、カルトのダミーサークルでした。

セミナー合宿への誘導

そうとは知らずに入ってしまった彼女は、他のメンバーとも、どんどん仲良くなっていきます。彼らとは、今までにないほど深い話ができます。いつか監督になって映画を撮りたいという彼女の夢も、笑わず応援してくれます。

「君ならできるよ」「必ず実現しようね」……そして「もし、夢を叶えたいなら、絶対この集会に出るべきだよ!」と、ある講演を紹介されます。大学の偉い先生が、成功する秘訣や夢を叶える方法について語ってくれるみたいです。

「こんなチャンス今しかない」「君は絶対出るべきだ」と、周りの先輩たちも押してきます。長時間、自分の話を聞いてくれて、 応援してくれた人の誘いは断れず、彼女はその講演へ行ってみることにしました。

すると、会場は確かに不思議な雰囲気で包まれていて、何となく自信が湧いてくるような気がしました。その感想を話すと、今度は別の集会やオンライン講座に誘われます。みんな本気で勧めてくるので断りづらく、結局、何かの集会へ出る度に、次の集会の約束をしているようになりました。

やがて、二泊三日や三泊四日の長いセミナーにも誘われるようになります。「知らない集会へ行く」と言ったら親を心配させるから「友達の家に泊まる」と言って参加するよう勧められ、彼女はそのとおりにしてしまいます。

ラブシャワーと飴と鞭

ちなみに、こういったセミナー合宿の中身は、参加者が知らず知らずのうちにマインド・コントロールを受けやすくなる内容になっています。

最初は新規の参加者として、ものすごく歓迎され、参加したのが運命かのように感じます。これを「ラブシャワー」と言います。そして、「スマホ禁止」「ネット断ち」などの名目で、外との連絡を制限されます。

初めて参加する同士のメンバーは違う班に分けられて、そこで覚えた違和感を共有できないようにされます。さらに、過密なスケジュールや課題が出され、疲労と睡眠不足が蓄積し、判断力や思考力を鈍らされます。

そうこうしているうちに、自分だけ周りと意見が合わなかったり、違う反応をしていると、自分が変だと思わされ、自分に自信がなくなっていきます。一方で、周りに合わせた意見や回答ができるようになると、みんなから大袈裟に祝福され、自己否定と感動が繰り返されます。

こうして、メンバーに合わせて従うことが正しく、気持ちが良いと思わされ、 カルトの言うことを聞きやすくなっていくんです。

被害者から加害者へ

数日間のセミナーが終わると、不思議な達成感と高揚感に包まれます。やがて、二泊から三泊、三泊から七泊と、 誘われるセミナーの期間も徐々に長くなっていき、本格的に、カルトメンバーと同じように行動することが正しいと思わされていくんです。

こうして、自分もメンバーと一緒に、将来の夢がある人や学校生活に不安を感じている高校生へ、 声をかけるようになりました。そんな彼女に、半年から一年以上経って、ようやく、ここにいるメンバーのほとんどが、 ある宗教団体のメンバーで、仲間を増やそうとしていることが告げられます。

「最初から宗教を信じていると言ったら、 不安にさせるから黙っていた」と告白され、彼女は素直に「そうなんだ」と信じます。もう、その頃には、すっかりメンバーを信頼していたので、自分が騙されて入ったとも、正体を隠されていたとも思いません。

カルトはこんなふうに信頼を勝ち取って、自らの意志で組織のメンバーになったと思い込ませていくんです。

入会した後の変化

さて、正体と目的を明かされて、秘密を共有された彼女は、ますますメンバーとの仲間意識が強くなり、長時間の奉仕や活動にのめり込みます。組織の活動資金や新しいメンバーを集めるため、勉学や仕事を疎かにして活動します。

家族には「ちゃんと大学行っているよ」と嘘をつき、友達付き合いも悪くなります。色んなイベントや行事の度に出費が重なり、活動を続けるため、ローンや借金をするようになります。中には家賃も払えなくなって、安いアパートでメンバーと共同生活をする人もいます。

カルトに入った末路

こうして、カルトに入った人たちは、単位を取れなくて留年したり、退学したり、仕事を失ったりします。多額の借金やローンを抱え、嘘をついたり、お金を無心したりして、家族関係や友人関係も壊れます。

さらに、無理な活動やリーダーからのパワハラで、心を病んだり、病気になったりする人もいます。ですが、周りの人間関係が壊れているので、カルトの他に居場所がなく、抜けようと思っても抜けられません。

また、カルトの教えで「脱会したら地獄に落ちる」と刷り込まれ、祟りや裁きを恐れて、脱会できない人もいます。

カルトの偽装勧誘

こうした被害に巻き込まれるのを防ぐためには、破壊的カルトの正体や目的を隠した勧誘に、普段から警戒することが大切です。彼らは、カルトメンバーであることを巧妙に隠して、ただの先輩や同じ学校のOB、OG などを装います。

SNS 上で、一見普通のアカウントに見えても、よく知らない人からのコメントやDMには警戒してください。また、インカレサークルやボランティア団体、英会話教室などの団体アカウントにも注意が必要です。

特に、入学式の前後には、 新入生歓迎会履修登録説明会就活セミナーなど、人が集まりやすい行事を使ってメンバーを獲得しようとしてきま す。最近は、環境問題SDGsの勉強会など、流行りのテーマで誘ってきます。

本当にカルトは巧妙なので、公共の施設や自治体が後援になっていても、決して安心しないでください。

注意すべきイベント

そうは言っても、普通のイベントとカルトの傘下団体は、なかなか区別がつきません。そこで、ここに挙げた項目が一つでも当てはまったら、参加を考え直してください。

まず、学校の公認団体でないところは注意しましょう。次に、団体名がころころ変更されていたり、主催者、責任者の明記がないところは、より警戒を強くしましょう。被害の実態がクチコミで広がり、以前の名称や主催者を伏せるようになった場合があります。

最後に、「開催日時や会場を知りたい人は、連絡先を記入・入力してください」と案内しているところは、絶対近づかないでください。高確率で危険な団体です。連絡先を安易に渡してはいけません。

注意すべきアカウント

仲良くなった個人アカウントからのお誘いも、こういう場合は注意してください。「所属をはっきり明かさない」「 連絡先の交換を求めてくる」「特定のコミュニティに誘ってくる」さらに「#偽装勧誘」で検索してヒットしたら、 警戒すべきアカウントです。

色んな人が正体や目的を隠した勧誘について警戒を呼びかけているので、違和感を覚えた らぜひ、検索してみてください。

SNS以外のカルト勧誘

また、SNS 以外のカルト勧誘も、基本的には別の目的を装って声をかけてきます。以下は、実際に複数の破壊的カル トで使われている声かけです。

「社会貢献に関する意識調査アンケートです」
「SDGs について学ぶ勉強会をしています」
「みんなでわいわい過ごす地域交流サークルです」
「履修登録の仕方を教えるよ」
「就活セミナーやって ます」
「一緒に無料の英会話教室に出てみない?」

親切で優しそうな人からこう言われても、安易に連絡先は教えないでください。

被害に遭わないコツ

それでは、被害に遭わないコツをまとめていきます。まず、SNS のプロフィール欄に、自分の学校名、学科名、住んでる地域などを、なるべく書かないようにしてください。

カルトのメンバーは、中高生や大学生を勧誘するため先鋭部隊を作って、日々、ターゲットの検索をしています。その検索に引っかかりにくくすることが、被害を防ぐポイントになります。

また、可能なら「DM お断り」にしておくと安心です。そして、何かに誘われても連絡先を教えない、記入しないのが一番です。

もし、学校でサークルなどの勧誘に遭って、断りきれなかった場合は、わざと一部の数字やアルファベットを間違えて伝えたり、「もうすぐ機種を変える予定なので……」と言って相手の連絡先だけもらうようにしましょう。

連絡先を教えてしまった後でも、学生課や宗教主事、相談窓口へ相談すれば、一緒に対応することができま す。ここで説明してきたどの段階であっても、手遅れだと思わずに、一人で抱えないことが最も大切です。

カルト問題の相談窓口

学校以外の相談窓口には、「カルト問題キリスト教連絡会」や「全国統一協会被害者家族の会」「全国霊感商法対 策弁護士連合会」「国民生活センター」などがあります。どれもホームページから問い合わせやメールを送 ることができるので、違和感を覚えたらすぐ相談してください。

勧誘を成功させない

最後に、覚えておいてほしいのは、カルトに勧誘してくる人は、大半が「真面目で」「優しくて」「良い人」だということです。彼らもマインド・コントロールを受けていて、相手のためになると思って、本気で勧誘してきます。

「良い人だからカルトじゃない」とは絶対言えないので、自分の違和感や疑問を大事にしてください。また、良い人からの勧誘は本当に断りづらいですが、勧誘を成功させないことが、自分を誘ってきた人のためにもなります。勇気を出して、断ってもらえると幸いです。

皆さんが、正体や目的を隠した勧誘に巻き込まれないよう、心から願っています。

PDF資料と動画

学生向け注意喚起動画(シンプルver)

学生向け注意喚起動画(ドラマ付きver)

研修用動画(カルト問題入門)

学生向け注意喚起パンフレット

家族・保護者向け予防パンフレット


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?