会計上の見積りの監査の改正案資料を読んでの雑感

主な改正点として、

1.規定の詳細化
2.職業的懐疑心の一層の発揮
3.監査役等とのコミュニケーションの必要性の強調
4.規模・状況に応じた柔軟な基準適用

が挙げられています。
新しい概念として、固有リスク要因が定義され、「見積りの不確実性」「複雑性」「主観性」が挙げられています。

個人的な感想ですが、基本的な監査の方法は変わり無いように思います。もともと固有リスク、統制リスクは勘定ごと検討していました。監査役等とのコミュニケーションについては、項目の拡充が計られているようです。固有リスク要因として、「見積りの不確実性」「複雑性」「主観性」が挙げられていますが、もともとこれらは科目として検討しているものですから、詳述しただけのように思われます。
とはいえ、これらを監査調書に詳細に記述していくことになるでしょうから、それを考えると手間は増えると思われます。
私がよく分からないのは、基準の「適用の柔軟性(scalabilty)」です。科目や諸条件によって手続の強弱をつける、ということでしょうが、英語の意味と合致しているのかが疑問です。ISAの規定を読んでみたいと思います。

本改正の背景として挙げられているのが、①会計基準の進展、②監督機関の検査による指摘の2つです。特に②を重視して、監査基準改定においても改正の検討がなされています。
①については、IFRSにおいて金融商品の基準が改正されたことに伴い、ISAの改正の要望が大きかった事が書かれています。
日本基準の改正に国際基準の改正の経緯の話が出てくるのは、なんだかなぁ、と思います。これだけみると日本は独自に監査基準を作ることはなく、ただ国際基準を翻訳しているだけのように見えます。実際この基準は翻訳なのでしょう。国際的なコンバージェンスを考えると仕方ない面もあるのでしょうが。

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