文化の継承
『アイヌ神謡集』の編著者として、知里幸恵さんが入っていたが、「優れた伝承者だった」として、この度の岩波文庫の記載では外されてしまったらしい。
『アイヌ神謡集』は、アイヌの方が、母語であるアイヌ語の読み方をローマ字という別の仕方で表記し、日本語訳を付けた、というその点に価値があると思う。それを全て、無いものにしてしまった、そんな感じがする。
僕は、『アイヌ神謡集』と『アイヌ民潭集』と両方持っている。金田一京助が解説、というか言葉を寄せている。民話の収集という、文化人類学的な側面でもありながら、言葉の音を記録する、という言語学的な意義もあったのだと思う。
知里幸恵は20歳で亡くなったらしい。その成果が、和人に取られたような書き方をしていた方がいた。アイヌの強い人、才気ある人が出てこなかった、という言い方をしていた。しかし、アイヌの出身者の研究者もいるらしい。だが、出版ができないと書いていた。出版社が依頼しないから、と書いていた。
この辺りの話が真実かどうかは分からない。ウポポイという、施設が最近できた。アイヌの文化を残そうというものだが、なんとなく、マサイやインディアンのような感じがしている。文化を残している、というような雰囲気で、そういう観光的なパフォーマンスとなってしまった。
本当に、それは文化の継承なのだろうか。なんとなく、文化の剽窃のような気がしてならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?