東北紀行

冒険

思ったより湿度はないけど、日差しは刺すように暑い。山形新幹線つばさは、本当に新幹線のホームなのだろうかと思うような普通の駅に到着した。なんとなく東神奈川を思い出す。あるいは中野。普通のJRの駅。普通の乗り換え。

知らない土地に降り立った。知らないけれど、どこか、自分の記憶とつなげて考えてしまう。冒険だと思う。海外旅行は何もかも知らない土地に行くが、そこまでの距離ではない。日本語も通じる。改札を出るとエスパル。そういえば牛久もエスパルじゃなかったろうか。

山形まではるばるやって来た。いぎなり東北産を見る。そのために山形までやって来た。初の遠征だ。

山形駅

朝、ちょっと早起きをし過ぎた。眠かったけど、とりあえず日課の執筆を行う。1000文字。眠すぎたから、リビングにパソコンを持ってきて、コーヒーを飲みながら勉強しようと思った。でも、なんか全然進まなかった。TwitterやらYouTubeやらを見ていた。YouTubeが唐突に動かなくなる。Youtubeチャンネルを見ながら、自作曲を聞こうとしたからかと思ったけど、なんかその後も調子が悪い。もうそろそろ出かけるからいいやと思って、そもそも電源から切ってしまった。帰ってきた時にちゃんと動くのかちょっと心配。

いろいろ持っていくものを整理する。昨日のうちに服とか帽子とかヒエロンとかそういうものは用意しておいた。熱中症対策のものも少しだが入れた。去年のTIFでの経験が生きていると思う。出かける直前になって、着ていく服を変えた。リナワールドでぐちゃぐちゃになっちゃうかもしれない。宮島に行った時に、歩き回ったら汗びっしょりになって、ぐちゃぐちゃになってしまった。リスクを考えすぎるところは、僕の悪いとこだと思う。いろいろ考えすぎてしまう。そして、決められず、優柔不断になり、動けなくなる。本を持っていく。『センスの哲学』と『オランダ小史』を用意したけど、思い直して『アメリカ紀行』と『哲学史入門Ⅱ』にした。会計史の勉強は、別の形でやるかもしれないしやらないかもしれない。そうこうしていたら、結局予定より家を出るのが少し遅れた。間に合うと思う。かなり余裕を持っていたから。予定通り、行きがけにゴミ袋を捨てていく。

山形に行くのは初めてなので、ちょっと緊張している。リナワールドに行くのもそうだし、東北産を見に行くのもそうだし、そもそも遠征自体が初めてだ。初めてが多い。まあ、冒険といえば冒険。チケットの設定は昨日までで済ませたし、スマホさえあれば、何とかなるはず。しかし、本当に、スマホで全てが行われるようになってしまったな。スマホでの決済はやってないので、まだマシなのだろうか。

おなかがすいた。まあ、駅弁を食べるので我慢。

人が生きている

東京駅の地下1階の駅弁を見て回る。高いけどうまそう。1階の駅弁コーナーも見る。決められない。もう一度地下1階に行くと、北海道の弁当屋がイベントで出ていて、2割引きになっていた。いったん通り過ぎて、迷ったあげく、やっぱりその2割引の弁当にする。別の場所に北陸のイベント弁当屋があって焼きいなりを買う。初めて見た。

新幹線のホーム。くそ暑い。立ってるだけでじんわり汗が噴き出してくる。
さすがにこの時間から酔っ払うのもな、と思って、酒は買わなかった。でも、前に並んでる女性はビールを買っている。失敗した。

新幹線が東京駅を出発する。座席は割と空いている。3割くらいしか座っていない。設備の配置が東海道新幹線と違う。テーブルに車内の地図がないし、足置きがある。缶を置くホルダーもある。東海道新幹線だと、新横浜を過ぎたら弁当を食べる。上野を過ぎたらご飯食べ始めようかな。

北海道の弁当は豚の味が豊潤で、焼きいなりは厚揚げのようだった。

お昼を食べて眠くって少しうとうとしていた。まだ、あと2時間くらいはある。どうも、座って寝る時、体が歪んでいるのか、右に折れて眠る習性があって、ずいぶん右に折れていたと思う。隣に人がいなくて良かった。

大宮を過ぎてから、田んぼが増えてきたけど、今、外を見たら、ずいぶん畑と山が広がっている。郡山の近く。郡山駅の周りはさすがにビルがある。でも、そんなに高くない。地方都市。

持ち物はずいぶんいろいろ迷いながら準備したけど、ライブについては全然予習をしていない。ライブ映像を見てから行こうか、とも思ったけど、結局見なかった。どうしたものか。単に好きで曲を聴いているだけだ。とにかく、はしゃいで見るしかない。そんなにはしゃげないとも思う。ひとさいのライブで「他人のフリして見ている」と言われるのに。いきなりライブにノッテ、ピース!ピース!とかできない。いや、困った。

福島。仙台行と連結切り離し。

長く止まっている。千葉雅也の『アメリカ紀行』を読み始めた。アメリカでの生活のツイートを基にした本。僕もそれを真似てみようと思う。ツイートをする。それでnoteの記事にする。タイトルは『東北紀行』。『Tohoku紀行』『山形紀行』とも迷ったが、いぎなり東北産を見に来ているのだから、と思って、漢字で東北にすることにした。

森の中を走っている。誰かがこの山を切り拓いて、トンネルを掘って、線路をつなげたのだと思うと、先人はすごいなと思う。杉だろうか。きちんと下枝が打ってあって、誰かが管理しているのが分かる。こんな山の中でも、人が生きている。山で生きる、というのはどういうものなのだろうか。都会で生きていた僕には、自然は未知のもの、という感覚がある。

車窓から①

峠駅というのを通り過ぎた。本当に、バラック小屋のようなトタンでできた駅で、仮にとりあえず作られたものが永遠に使い続けられている感じ。乗降はしないのだろうか。ホームは見あたらなかった。

車窓から②
車窓から③

米沢駅。横浜以南の東海道線の駅みたいなホーム。本当に普通の駅。米沢牛というのを知っていたから、何となく米沢は仙台に近いの思っていた。牛タンを食べるから。高畠駅にサラリーマンが立っている。ここにも何かの仕事があって、人が生きている。

僕は、今後の人生をどうしたらいいんだろう、というところに、何となくの不安と恐れがある。このまま生きていていいのか。結婚はもうしないと思うけど、だとしたら、何のために生きていくのだろう。拠り所がよく分からなくなっている。

僕の席は窓際で、日差しがずっと入っている。夏の暑さがストレートに入ってくる。本を読みながら、ちらちら景色を見るために開けっぱなしにしているけど、シェードを下げるかどうかずっと迷っている。暑い。少し雲が出てきた。前方にはまだ透き通るように青い空が広がっている。後ろには雲間から天使の梯子。

かみのやま温泉駅のホームに中学生か高校生か、女の子が地べたに座って、携帯扇風機であおいでいる。そうか。ここは新幹線の駅でもあるけれど普通のJRの駅なのか。ずっと、在来線の上を新幹線が走っていたのだ。新幹線用の線路が引けなかったのだろうか。もはや、ここでは新幹線は特急でしかない。

田んぼのギリギリまで森が迫っていて、自然の間にひっそりと人間は生きている。雲から抜けた。太陽がまた顔を出す。

新幹線は特急になってもまだ早い。通勤通学用の新幹線定期というものがあるらしい。本当に特急だ。あの峠駅にも電車は止まるのだろうか、とふと気になった。

あるべき場所

ホテルに着いた。駅の近く。朝食は無し。もともと朝はあまり食べないから、それでもいいや、と思った。チェックインの自動の機械があったのでやってみる。QRコードを読ませて、それでおしまい。あっさりしていて、チェックイン感がない。何となく「ようこそ」と人間に言われたい気分。骨がガッチリしてそうな若い女性がパンフレットを整理していた。港区女子とは違って、生きている感じがする。港区女子に会ったことはないけれど、SNSで見かけるあの装飾された虚飾の美とはまったく別の美しさがあると思う。

部屋に着いたら、噂の虫を気にしてベッドをめくってみる。とりあえず大丈夫そう。

坂口恭平が、料理の後に「ニュートラルに戻す」とツイートしていた。あるべき場所に戻していく。とりあえず、荷物を1回出して、ニュートラルにしよう。僕は、出張の時は、ホテルに着いたらワイシャツ類をハンガーにかけて、次の日に使う下着やハンカチ類を机に出して、準備をしてから外出する。それがニュートラル。ここでも、同じように、服をかけて、次の日の服を出して、用意をしておく。サコッシュを持ってくれば良かった。その方が、リュックサックより、ちょっと出かけるのに楽だった。

ホテルのWi-Fiにスマホを繋ぐ。通信量を気にしなくても良くなった。

僕は、これからリナワールドの行き方を調べないといけない。東京で調べてもよく分からなかった。なんとかバス停を突き止める。ノートにバスの時刻表を書いてみる。思ったより本数がない。

山形っぽいもの

外人の女性とエレベーターで一緒になる。2人きり。気まずい。開けるを押したら「ありがとうございます」と言われた。日本語の分かる方だったのか。

町に出る。女子高生3人組がスイカバーを食べている。甘い香りがこちらにも漂う。夏の匂い。

東京よりは湿度はないとはいえ、やっぱり風はベタついてるし、何となく暑い。もう夕方なのに。通りすがりに、若い女性からTシャツをまじまじと見られた。まあ、そうだろうな。みーあんに「いいよ!絶妙にダサいのがいい!」と褒められたのかけなされたのか分からないTシャツだから。

バス停の場所を下見して、ぷらぷら歩いている。建物が低い。山形っぽいものを探しているけれど、そもそも山形っぽいものが何も思いつかない。そもそも商店街ぽいものもない。不思議な町だ。伊勢丹はあったけど。

霞城公園に着いてしまった。1kmあると書いてあったのだが。入ってみると、見事な虎口。草の匂いがする。誰だか分からない武将の銅像と、太平洋戦争時の歩兵部隊の碑があった。本丸跡は、VRで見ることも出来るらしい。意外に最先端。堀は干上がって、草が生い茂っていた。音のする方を見たら、スポーツ施設の3階の窓を大学生くらいの女性が開けていた。目は合わなかったと思う。

武将の銅像

シミュレーション

ホテルのテレビでYoutubeが見られたので、ひとさいの企画を見ていた。フリーライブまで、5日間連続投稿。初日の5月の五日間のドキュメントはまだ見られていない。泣いてしまうと思う。

今日の動画の企画は絵での伝言ゲームだった。何かの配信番組で画伯っぷりを発揮した人がいたのだが。みねちゃんの最初のお題の絵柄は何となく三ツ星カラーズを思い出した。さあやさんの絵柄、現代美術の人で見たことあるような気がするんだけど、誰だか分からない。ChatGPTに聞いてみたら、キース・ヘリング、ジャン=ミシェル・バスキア、サウル・スタインバーグ、アレックス・カッツを提案された。キース・へリングやサウル・スタインバーグはちょっと似てるけど、想像してるのとは違うと思う。手足の細さはジャコメッティなのだけど。れたんの似顔絵は、昔のTiktokのネタに似ている絵で、あれを引きずってるのだろうか。

風呂上がりにツイッターを見て『服を着て、恋をしたい』が撮影可能曲になることを知る。『沼れマイラバー』以外が撮影可能曲になることなんてあるんだ。だから、最近のTikTokに『服を着て、恋をしたい』を使ってるのだろうか。

調べるのを忘れていた、帰りのバスに乗れなかった場合の代替プランを考えておく。JRの時間を調べ、ノートにメモした。もし歩くとしたらのシミュレーションをGoogle Mapでする。20分くらいと書いてあるけど、一応30分を想定する。暑いけれど、東京のような暑さではないから、なんとか歩けるはず。

それで、明日の朝からの行動をざっくりと書いておく。ホテルを出るところから、10:30頃にリナワールドへ着くバス。混んでるかもしれない。一応、その次でも間に合うバスで。園内の地図やアトラクションはチェックしてないけど、まあ、リナワールドの中でうろうろすれば、それなりに時間も過ぎるだろう。食べ物屋に入ってもいいし。それと、帰りのバス。万が一の代替案も書いておいて。

7時に目が覚める。いつも通りに1000文字の執筆をした。少し、手法を変えて、音声入力と引用。割と気楽に書けたと思う。思ったより早く書けた。時間があるから、二度寝をする。眠たくて仕方ない。30分くらいまどろんだと思う。8時半くらいに起きた。バスの時間をもう一度見返す。うげ。平日の時間を調べていた。慌てて土曜日の時刻表を見る。想定のバスが無かった。リナワールド前に行く予定だったが、仕方ない、金瓶南駅に行くことにする。

朝から、Twitterを見たりしてたので、少し、生活を改める必要があるけど、今日は休みなのだから、別にそんなのどうでもいいよ、という感じで過ごす。非効率でもいいのだと。コーヒーを飲んで、トイレに行って、予定よりは少し早いけれど慌てて出発。急いでも、バスがすぐ来るわけではないけど、何となく気が急く。

外に出ると意外と風は涼しくて過ごしやすい気温。昼間は31度になるらしい。暑くはなるが、東京ほどではない。風が爽やか。万が一、茂吉記念館まで歩くことになっても、そこまで辛くないかもしれない。

本当に、ライブに関しては何も予習していない。まじで、見に行って大丈夫なのか分からないレベルだけど、とにかくペンライトだけは持ってきた。使っても明るかったら何も分からなさそうだから、使わないかもしれない。

初遠征。緊張する。

らしさ

山形というのは、基本的に車社会でありバス社会なのだろう。仙台行きの高速バスもある。左右を山で隔てているから、線路を通すのは大変なのかもしれない。そういえば、新幹線は福島駅からしばらく、ずっと山の中を走っていた。東京は電車や地下鉄が縦横無尽に張り巡らされていて、基本的に電車で移動する。小学校の時はバスによく乗っていた。それで習い事にも行っていた。今はバスを使わないから、本当、バスにどう乗ればいいのかすら分からない。夜、山交バスのサイトで、バスの乗り方の案内をまじまじと見てしまった。スマホでスクショして万が一の時はカンニングできるようにもした。いやはや。緊張。

同じ東北産、リナワールドへ行くらしき人か数人。意外に少なくてびっくりする。もっといるものだと思っていた。実は、遊園地に行くのも久しぶりだ。ずっと行ってない。10年くらいだろうか。それもアウェイ感がある。
知らない土地へ探検に行く。それが、今回の旅のひとつのあり方なのかもしれない。海外みたいに、ひとりぼっちで何も分からないというわけではないけど、何も知らないところへ行ってみる。その意味では、より安全な冒険だと思う。

東北産ワンマン。遠征。リナワールド。山形。初めてだらけ。

バスを降りるときに道を尋ねていた女性がいて、バスが5分くらい止まっていた。優雅だと思う。時間の流れがゆったりとしている。その割に朝はそれなりに早く時間が過ぎ去った。無人のチェックインの機械で「効率化」もさせられた。田舎にも資本主義の波がある。

バスはずっと町の中を走っている。生活と結びついている。福島以降、山の中を走り続けた新幹線との対比を思う。思えば、新幹線はグローバル社会の到来だったのだろう。日本の各地方同士を繋いだ。結ぶ。同質化。『「盛り」の誕生』に出てくる女子高生のような、同じでありながら僅かな差異を評価しあう、「盛り」という個性、その繊細さ。「盛り」はローカリゼーションなのかもしれない。「らしさ」とは何だろう。山形っぽいものを探して歩いた夕暮れの日差しは、少しさびれた背の低い町並みと遠く見える山々とを、どこまでも鮮やかに照らしていた。

リナワールド

金瓶南バス停に着く。遠く向こうにリナワールドの遊具が見える。結局、10人くらい、ここでバスから降りた。とりあえず勘で歩き出す。それにみんな付いてきてしまって、もう、どうしようか。

小さなトンネル。車道の下を潜り抜ける。異世界への抜け道の様でもある。

小さなトンネル
(人が写っているので白黒)

抜けたら、駐車場があって、リナワールドへの入り口があった。券売所も全然混んでいなかった。わざわざネットでチケットを買ったのがバカらしくなった。一応、帰りのバス停の位置を確認する。道の反対側だった。小さなあばら屋。あれだな、と思った隣には立派なガソリンスタンドがあった。

階段あがって右手、もうすでに長い物販列ができている。

リナワールド

たしか、10:30から。ちょうど、あと5分くらいで始まる。気合いが違うなぁ。ひと言で言えば、出遅れた。ずいぶんバスが空いているとは思ったが、単に、みんなもっと早く来ていただけだったのだ。とりあえず、物販には並ばないで、園内をぶらぶらすることにした。何か買いたいとは思うけれど、あの熱量の中には入れない。なんてったって、僕はNIWAKAだし一見産とほとんど変わらないのだから。

リナワールドの中は、ニューオリンズジャズが流れていて、なんとなく陽気な雰囲気。サンリオのキャラクターもいる。なんというか、いろいろある。ただ、少し古びた設備もある。むしろ、その方が多いかもしれない。森の中に作られたようだと思った。森の遊歩道のような道があったり、行き止まりが森へ続いていたり。ディズニーの、作られたファンタジーとは違って、リナワールドには地続きな感じがある。夢の国ではなく地元感。家族連れが多い。カップルや1人客はあまり見かけなかった。やっぱり方言が使われている。朴訥な、やわらかさがある。

森の中の径

ここにも、遊具の整備をしている人や案内などの働いている人がいる。バイトも募集していた。夏休みのバイト。夏休みがかき入れどき、というより、そこしかないのだと思う。冬は雪のせいで休みだから。だから、たぶん、これは公共事業のようなものなのだろう。儲かってるのかはよく分からない。プールがそれなりに寄与するのかもしれないけど、どうだろうか。

売店で、カルツォーネのあんバター味とジンジャーエールを頼む。東京で見たことがないメニューだな、と思った。ビールも売っていた。初老の男性がビールを買っている。なんというか、スーパー銭湯の感じ。

カルツォーネ(あんバター)とジンジャーエール

だいたい散歩した。東北最大級とホームページには書いてあったけど、正直に言って、そこまで広くはなかった。東京ドームシティの方が広いくらいかもしれない。それとも、大人になって冷めてしまったからなのだろうか。氷の部屋やミラーハウスなど、気になるアトラクションはあったものの、結局、何も乗らなかった。

絶対運命だよ

物販列に並ぶことにする。さすがに、そろそろ空いてきたんじゃないかな。1時間くらい経ったのだから。物販列。長い。だいぶ長い。さっきとあまり変わらない。まあ、とにかく並ぶことにする。いろんなTシャツを着ている人がいる。みんないぎなり東北産のものなのだろうか。しまったなぁ。こういう時こそ峰島TEEか冬野TEEを着るべきだった。持ってないけど。物販列からステージが見える。音響リハーサルをしている。暑そう。屋根はあるけど、少し蒸すかもしれない。でも、風が抜けるかな。

メンバーがリハのために出てきた。私服。トンボが飛んでいる。天下一品。えまさんが天下一品さえやれば、どんなライブも最高と言っていた。リハで流しているということは、やらないのかな。それとも、やるのかな。軽く振りを入れながら、歌っている。リハーサルですら見せ物。なんでも見せてしまう。たぶん、マイクとオケと、音のバランスを見ているのだろう。そういえば、豊洲のフリーライブも天下一品だったと思う。あの時は、物販を買ってエリアに入らなかったので、客の頭と頭のすき間からのぞき見る感じだった。もしかしたら、リハでは絶対にこの曲をやるのかもしれない。だとしたら、この曲が基準点なんだと思う。東北産のニュートラル。そこにどうやって合わせていくか、ということなのだ。何をニュートラルにするか。僕の場合はどうなんだろう。

子供用のプールが用意されている。水鉄砲らしきものも。濡れる演出があります、と書いてはあったけど、どの程度なのか全く予想できない。一番後ろだと大丈夫なのではないかと想像しているのだけど。初恋サイダーが流れてくる。懐かしい曲だ。コンカフェでよく聞いた。テントも建物もずいぶん古びている。控え棟の天井がだいぶ苔むしていた。

僕「すみません、藤谷さんのこれを」
スタッフ「え?誰のこれですか?」
僕「藤谷さんの」
スタッフ「好きなメンバーを選んでください」
僕「美海ちゃんの…」
スタッフ「美海ちゃんですね」

やっぱり、みんな名字で呼ばないのか。それはそうだ。コアなファンしかいないのだから。本当に場違いだと思う。

いぎなり生写真。どうやら、当たりがあるらしい。お見送り券かコメント付かサイン付。4袋買ってみた。開けたら、1枚だけどサイン付の当たりだった。なんと美海ちゃん!絶対運命だよ!

僕が東北産のメンバーの中で美海ちゃんを推しにしたのは、TikTokでいっぱい流れてきたからだった。えまさんのチケットの応援でファンクラブの有料会員になって、とにかく有料会員だからちゃんと聴こうと思った。だとしたら、とりあえず推しを決めよう。それで、TikTokでいっぱい流れてきた美海ちゃんを推しにした。本当に、たまたま。偶然に任せて推しを選んだ。そんな選び方をする人、僕以外にいるんだろうか。美海ちゃんはおもしろい人で、僕はそういう人が好きなタイプだった。『Sister』好きだなと思ったら、実は美海ちゃんのセンター曲だった。今回も唯一の当たりが美海ちゃんだった。偶然とはいえ、いや偶然が重なっているからこそ、絶対運命だよ、と思う。

そういえば、今回の初遠征、山形は美海ちゃんの出身地でもあった。

うどん

物販で生写真とストラップを買って、まだ1時間以上あったので、ちょっと何か食べることにした。レストランはいっぱいだったし並んでいた。クレープはマップを見た時に少し考えていたけれど、テーブル席ばかりで、ひとりで座るのは忍びなかった。それで、もう一度奥の野外食堂に行こうと思ったが、途中のツイン食堂だとリハーサルの音が聞こえるしちょうどいいや、と思ってここで食べることにした。からあげとかポテトとかを売ってる側は並んでいたので、反対側の冷やしうどん。山菜のやつ。たぶん、山菜はこの辺のものではないと思う。東京の駅そばの山菜とほとんど同じように思う。少し、こっちの方が量が多いかもしれない。うどんは細くてコシが強めだった。稲庭うどんのような。

冷やし山菜うどん

ファン同士のグッズの交換会が始まっている。高校生くらいの雰囲気。噴水広場でも、女の子たちが写真を広げて交換していた。もしグッズを広げて、ファンなんですね、と話しかけられたりしたら嫌だから、グッズは出さないでおく。なるべく人に話しかけられないように。ライブを見に来た感もなるべく出さないようにする。まあ、どう考えても、遊園地でひとりでうどんを食ってるおっさんは、遊園地を楽しみに来たわけがないのだけど。

なんとなく、セトリが分かっちゃうのも面白くないかもと思い直して、お土産コーナーへ行く。えまさんと同じ目的地なので、まあ、いろいろとご心配ご迷惑をおかけしているだろうから、リバティにお土産を買う。たしか高須賀さんが紹介していたルルルン、の東北版が置いてあった。さくらんぼのルルルン。高須賀さんへのお土産に買おうと思ったけど、結局いろいろ眺めているうちに忘れてしまった。ちいかわも見るのを忘れてしまった。

東北のルルルン

整理番号100ごとに立て看板作ってあって、その間に並ぶようになっていた。そうして枠を作ってあると分かりやすくていいなと思う。とりあえず大体の位置に並んでみる。周りで楽しそうにおしゃべりしているグループがいっぱいいる。リナワールドひとりぼっち。

はあ。
緊張してきた。
人が多過ぎて辛い。

この中で、マジで何も分からず来てるの、俺だけなんだろなぁ。実はメンバー全員の顔と名前がちゃんと一致してないし、担当カラーもあんまりよく分かってない。曲は好きで聞いてるけど、タイトルを確認しないから、ちゃんと覚えていない。歌割も分からない。なにより、動画で見たことないから、フリとかコールとか一切分からない。よく、この状態で来たもんだ。

でも、ひとさいだって、ぼさっと突っ立って(怒られながら)見てる訳だし、まあ、なんとかなる。なるかどうかは分からないけど、なんとかなる。そう信じることにする。信じるものは救われる。アーメンソーメンマーラータン。あー、緊張するし、人が多くて気持ち悪くなってきた。

いやー、こうなってくると、いかにひとさいがホームになってるか、というのが分かる。ニュートラル。別にファンの方々と交流しないけど、それでも、あの空間がニュートラルになっている。

できれば、後ろの真ん中がいい。少し右寄り。そこが見やすいし、音響も比較的偏らない、と思う。周りでしゃべっている人が、水すごくて本当にびちゃびちゃになるよ、という話をしている。まじで着替えとか無いけど、どうしようか。やっぱり後ろの方がいい。ツイートをしたら、えまさんからリプが来た。「まじで濡れるぞ」。いや、困った。

端の上の方なら濡れない、ということなので、柱で見えにくいけど本当に端っこにした。柱で見えないということは、逆に狙われにくいということ。いやはや。どんどんと人が入ってくる。こういう感じはライブで、というより舞台やコンサートで見てきた光景だった。なかなか。すごい。

皆産、ゴミ袋を用意してる。それにカバンを詰めている。いや、これは本当にやばいかもしれん。本当に用意周到すぎる。この感じだと、本当にやばそうだなぁ。帰った方がいいかもしれない、と弱気になる。まあ、スタッフが濡れにくい位置を指定しているのだから、それを信じることにしよう。ダメだったら、もう、それは天命だから。

なんか見られている気がする。というか、こっちを見ている一団がいる。あー。たぶんえまさん。えまさんが、お友達といろいろ話している。それで、お友達もこっちの方を見ている感じがする。少し、帽子を目深にかぶる。帽子とマスクは仮面のように、ある種の匿名性でもある。えまさんがスマホをこっちに向けている。写真を撮られているのだろうか。しゃあなし。ピースしてやった。

彼女には彼女の生活圏なり交友圏がある。ここでの交友圏は、僕が接している圏とは全く違うもの。やっぱり、その違っている圏に侵入するのは良くないと思う。だから、なるべく関わらないように。だから、そちらはあまり見ないようにはしていたけど、不可抗力で見えてしまった範囲で言えば、めちゃくちゃ楽しんでいて、やっぱり僕の知ってる圏とは別の彼女だ。まあ、それでいいんだと思う。とはいえ、僕がここに来られたのは、彼女のおかげだ。新しい場所へジャンプする、その先を定めてくれた。冒険の仮の拠点を作ってくれたと言ってもいい。話しかけたりしないし、会いに行ったりしないけど、そこにいる、その存在が心強い。ひとさいのライブに一緒に行ってくれる友達を探すツイートを思い出す。

とにかく。感謝しかない。

ハイテンションサマー!

『服を着て、恋をしたい』を入場曲としてやる。撮影可能で、客席をぐるぐる回り、レスしながら。超ときめき宣伝部の動画で同じのを見た。こういうのをあげてもらうことでバズを狙う、というのもあるのだろうなぁ。目の前で花彩さんとひなのさんがすれ違って、花怜さんと真珠さんが近くを通った。真珠さんの肌きれいだなぁ、と思った。

負けない歌を回収できた。本物のもちラップも聞けた。好き曲が結構入っていた。楽しかった。めっちゃ楽しかった。しかし、まあ、アウェイだった。どうすりゃいいか全然分からないし、メンバーからレスももらってない。でも、アウェイだったからこそ、誰にも知られていない透明人間として振る舞うことができる。匿名性。誰も、ファンもメンバーも、僕のことを知らないから、声だって出せちゃうし、振りコピも出来ちゃう。なんか、すげー楽しかった。匿名だから、コールも振りコピも出来てしまうところはあるのかもしれない。ニュートラルでいるためには顕名性が必要なのかも。恥の意識がそれなのでは。

心残りはと言えば、美海ちゃんに「おっさん」と言ってもらえなかったことだろうか。おっさんを自称している身としては。美海ちゃんは反対の方へ行ってしまって、そもそも近くで見ることが出来なかった。結菜ちゃんが近くで初恋サイダーを歌った。コンカフェで散々聞いてきたけど、過去一、最高だった。

7月のフリーライブは日比谷野音らしい。客席はすごく沸いていて、メンバーも円になって喜んでいる。正直に言って、日比谷野音がどの程度すごいのか、何も分からないから想像もつかない。まあ、とにかく、みんなが喜んでいる。しかし、フリーライブ。大阪の日か。ワンチャン行けてしまう。主現場にもっと行こうと言った矢先なのに……僕は、山形まではるばる来てしまったから、もはや一見産として見ることは無理だろうなぁ。誰かを招待するしかない。でも、そもそも僕がメンバーから認知されていないのだから、誰かを招待したところでどうなるというのだろう。

「何も知らずに、初めてでここに来た人は勇者ですよ」という話をメンバーがしていた。僕は知らずに来た。まじで、こんなにびしょびしょにするとは思ってもいなかった。新兵器は螺旋のビームのように、前の方の客を容赦なく濡らした。濡らしたというか、あれはバケツで水ぶっかけているよりもものすごかった。滝行に近いんじゃないの。消防士のホースのようなものも使っていた。まあ、それよりは水圧は弱いと思う。散水用だろうか。途中まではほぼほぼ濡れずに済んだのだけど、最後の曲『ハイテンションサマー!』で少し濡れた。でも、まあ、これくらいなら仕方ない。これで終わった。助かった。と思ったら、水を使い切るまで放水コーナーとなった。なんじゃそりゃ。真珠さんが階段を数段上がってきて、ガンガン上の方まで散水する。後ろに物販があるから、大丈夫だろうと高をくくっていたけれど、そんなことはお構いなし。完全に物販までびしょぬれだった。僕もかなり濡れた。ゲリラ豪雨にあって、ビルに駆け込んだくらいには濡れた。目の前の人も、何の対策もしてなかったから、結構濡れていた。

どーすんだよ。これでバス乗るのかよ笑

じゃじゃ馬

トンネルを抜ける。上だけ着替えた。というか羽織りものを変えた。汗をかきすぎた時用に備えたものだったけど、違う形で役に立った。

早めに来たから、リナワールド前バス停は、人が少ししかいなかった。時間とともに、バス待ちの列が長く続いていく。こんなに人は乗れるのだろうか。バスがやってくる。バスの運転手が仙台には行きません、とアナウンスする。訛っている。山形のイントネーション。並んでいた人の半分くらいがバスに乗る。残りは仙台に行くのか。それでも、バスはいっぱいいっぱいで、バスの運転手がバス停に着く都度「詰めて下さい」とアナウンスをしていた。

確実に、ライブ会場にはこの人数の何倍何十倍もいたはずなのだが、みんな、どうやって帰るんだろう。バスはもう数えるほどしかない。遊園地のお客さんは家族連れだったから、ほとんど車でなのだろうけど。

しかし、初、ちゃんと見るいぎなり東北産だった。あんなに東北産東北産言ってるのに初。正確に言えば、TIFで見たのと、豊洲のフリーライブを本当にフリーで課金せずに見ただけ。ファンの頭と頭のすき間から見た豊洲よりずっと良かった。これが本当の東北産か。えまさんからリプが来る。「嬉しい。これが本物の東北産です!」。TIFと豊洲で見たいぎなり東北産は、MCで言っていた「かわいいの皮を被った」いぎなり東北産だったのだろう。「かわいいの皮」を剝ぎ取ったら、じゃじゃ馬が現れた。めちゃくちゃにかっこよかった。

山形名物

山形名物と書いた看板がいくつか並んでいて、その中からテキトーに入ってみる。山形料理の店。観光客相手っぽいのだけど、郷土料理を食べるにはちょうどいいだろう。店内は古民家の雰囲気。思ったより高そうでビビっている。まあ、カードがあるし、弾(現金)は多少はあるので大丈夫だと思う。後からおじいさん2人が来店してきて。お通しが牛すき焼きと湯豆腐でびっくりしている。まあ、僕もびっくりした。そういえば、町中であまり高齢者を見かけなかった気がする。学生やサラリーマンが多かった。偶然だろうか。

ひとさいちゃんへのラフさを意識していたところもあるのか、注文をする時にちょっと店員さんにラフにし過ぎた。反省。もう少し、丁寧に。

日本酒を飲む。山形の日本酒。焼酎のスイカの種茶割りも気になっている。

さくらんぼの漬物。少し、梅干しの風味。雪割納豆。ちょっとしょっぱい。酒に合う。ほやの天ぷらも気になったけど、売り切れていた。芋煮も食べたかったけど、ちょっと多すぎるので我慢する。他にも、よく分からない食べ物がいろいろある。山形のいろんな食べ物。来年のリナワールドの時は、このあやしい店の食べ物をいろいろ食べてみよう。

さくらんぼの漬物

結婚して、誰か一緒にご飯を食べてくれる人がいたら、いろいろ試せるのにな、とも思う。1人だと食べられる量に限界がある。友達と行けばいいと言う人もいる。僕は、基本的に、友達を自分の都合では誘わない。というか誘えない。自分の好きなことと相手の好きなことは違うから、自分の好きを他人に押し付けられない。だから、ひとさいも好きだとはいうけど、誰かを現場に誘うことはしていない。オタクしてるの見られたくないのが大きな理由なのだけど。

はあ。結婚するかぁ。相手いないけど。とりあえず、見合いサイトにでも登録してみようかしら。

おむすびを食べるかどうか迷ってる。味噌焼きおむすびと塩むすびと醤油の焼きおにぎり。どれを食べるか迷っている。もうすでにおなかいっぱいだけど、なんか食べてみたい。それで、結局、味噌と醤油とひとつずつ頼んだ。

今から花笠踊りをやるという。そういうサービスはちょっといらない。僕はこういうのには乗れない。結局、座って店員と他のお客さんが踊っているのをじっと見ていた。

おむすびを2つ頼んだ。2つ頼んだが、なぜかお椀も2つ来た。

おむすびとお椀

苦しい。本当に本当におなかいっぱいになった。でも。山形はうまかった。

TikTok

夜の9時から、TikTokを投稿して欲しい、という話をしていた。『服を着て、恋をしたい』。もう、祭りは始まっただろうか。

TikTokに昨日のライブの動画がいろいろ上がっている。意図を読み取りきれてない方も少しいるようだった。フーコー的な権力論でいえば、規律訓練が足りないということだろうか。瞬間風速を狙うための時間指定、票が割れないように音源指定、これはきれいな音源を使うという包装の役目も副次的に果たす、おそらく、そういう意図なのだと僕は思う。メンバーがいいねやコメントをしに行くことで、生政治的に行動を促す。まあ、ともかく、バズも口コミも資本主義に乗っかってしまった。

しかし、皆産、いい動画が取れている。僕のスマホには、入場曲の際に花彩さんとひなのさんが目の前ですれ違う瞬間の動画が収められていて、あとは美海ちゃん推し動画のような『服を着て、恋をしたい』がある。あとはさくらんぼを食べるメンバーの写真。撮影しつつ、肉眼でメンバーを見る。それは結構難しかった。最初の入場は、普通にステージで何かをやるのだと思っていたから、メンバーが客席を歩き回るので、どうしたらいいのか全然分からず、ただただ固まっていた。レス云々以前である。ひとさいは撮影可能は滅多にないから、それに慣れていないのもある。それに、僕の好みとして、個人をアップで撮るよりもフロアを含めた全体を取る方が好きなのだ。らむさんのライブでは、そういう撮影をしていた。しかし、みんなかわいい。包装しなくてもいいくらいに歌もうまい。とりあえず、自分では動画を上げずに、皆産の動画をつらつらと見る。どうか俺の間抜けな顔が写っている動画がありませんように。

飾らない素朴さ

何か食べていこうと思って、あちこちうろうろする。なんとなく決めかねている。駐輪場の2階に小さな飲食店街があって、なんとなく寂れた雰囲気を醸し出している。表の看板はものすごく大きく目立って書いてあったけれど、中に入ってみると、とりあえず置きましたという感じのしょぼさだった。数件、空きスペースに置いてみた。そういう感じ。結局、そこは出て、目の前にあったラーメン屋に入る。学生がいっぱいいるから、まあ、町のラーメン屋なのだろう。土地のものを食べたいと思う。観光客用に着飾ったものではない、普通の生活の中の食べ物を。

初老の小太りの男性が2人。なんとなくやる気のない雰囲気。カウンターに座る。奥の方にカップルがいて、男は食べ終わっていたけど、女がまだ半分くらい残していた。冷やしラーメン。しょうゆ味。

冷やしラーメン

脂っこ過ぎない、酸味がほんの少しだけ入った、あっさりとしたラーメン。冷やしだが、キンキンの冷たさじゃないのがまたいい。ナルトが入っている。めずらしい。もはや絶滅危惧種だ。メンマも若竹の穂先。おいしい。チャーシューはチャーシューの形をしていたが、なんとなく冷しゃぶのようだった。素朴さがある。飾らない素朴さ。東京のごてごてと脂でコーティングされたものとは全く違う。たぶん、これが僕の食べたい田舎の味。旅の味。観光客のためじゃない、生活に息づいたもの。

いぎなり東北産も、飾らない彼女たちが素敵だったと思う。アイドルだから当然飾っているのだけど、そうではなく、「かわいいの皮」を剥ぎ取った彼女たちがかわいいと思う。InstagramやTikTokの中の虚飾。もしくは東京かぶれのようなもの。それらを脱ぎ捨てたいぎなり東北産の方が、僕は好きだと思う。

しかし、ラーメンが780 円か。東京だと1000円くらいしてしまうだろう。リナワールドのバイトは900円代だったと思う。この物価差よ。

ニュートラル

お土産買っても、新幹線まであと1時間半も待ち時間がある。とりあえずカフェ。最近は、時間が余るとカフェに入ってしまう。改札前にスタバがあった。駅弁は、まあ、後で。そういえば、スタバもずっとアウェイ。最近は入れるようにはなったけど、変わらずアウェイだと思う。千葉雅也の『アメリカ紀行』を読む。行きの新幹線でも、ホテルで寝る前も、バスの中でも、これを読んだ。この旅の僕のニュートラルはこの本だったと思う。

平田牧場でお弁当を買う。少し割引になっていた。焼売も買った。

普通にJRに乗るように改札を潜り抜けて、新幹線の改札を通る。普通のホームに出る。つばさ。特急のように、地元に根付いている。向かい側の別のホームに、何線だろう、2両編成の電車が入ってきた。

居酒屋新幹線。開幕。さくらんぼエールを買った。マンゴーエールというのも気になったけど、ビンはめんどうだと思って、缶のさくらんぼエールにした。さくらんぼすくいコーナーで東北産のメンバーが食べてたし、美海ちゃんが旬だと言っていた。ビールになってしまったら、旬も何もないけれど。

アナウンスが流れる。どことなく訛っている。平田牧場の店員さんも訛っていた。異国情緒。それもこれで終わりだ。

「かわいいの皮を被った私たちも好きでいてね」と言っていた。なんとなく、あのコメントはえまさんへの私信なのではないか、という気がする。他のオタクを知らないから、勝手にそう思うのだろう。似たようなことを峰ちゃんもツイキャスで言っていて、それから、なるべくひとさいのやることに否定的なことは言わないように、と思いつつ、ついツイートしてしまったりする。まあ、思いが強いと抑えるのは難しい。アイドルは上に上がるためにファンと共犯関係を築く。「いい景色を見せるために」という点もあれば、「いい景色を見せてもらう」でもあり、「いい景色を一緒に見よう」でもある。共同体なのだ。

美海ちゃんの生写真を見ようと思ってリュックサックから出してみたら、サイン付きの生写真がヨレていた。しまった。リュックサックが濡れたのに、そのまま背中のポケットに入れっぱなしにしてしまっていた。もう乾いていたが、写真は微妙に波打っている。まあ、これも思い出。

イヤホンでいぎなり東北産をかける。『服を着て、恋をしたい』。まじでいい曲なんだよな。いい曲が正当に評価される世の中になって欲しい、と思う反面、売れている曲がいい曲なんだよな、というのもある。もっと正確に言えば、歴史という荒波を生き残った曲、なのだけど。

ゴミを捨てに行ったら、前に座っているお嬢さんが勉強をしていた。俺も、生産的なことをやらねば、という強迫観念に襲われる。

ゆべし。くるみと抹茶とごまと買ってみた。3つとも食べ終わってしまった。さっき宇都宮を過ぎたから、もう少ししたら大宮だろうか。山形が遠く夢のようになっていく。帰ったら洗濯しないといけない。なんというか。現実の生活に戻ってきた感じがする。つばさは秋葉原を通過する。かつてはここがニュートラルだった。

そういえば。水かけ祭りをやってる時も、9人がビニールプールに浸かってコメントしてる時も、ひとさいちゃんもいつかここじゃなくていいけどこういう水かけ祭りをやらないかなぁとか、9年間5人で駆け抜けるだろうか(東北産は途中加入があるみたいだけど)とか、なんとなく考えることはひとさいに戻っていて、その意味でも、やっぱり僕にとってのニュートラルとしてひとさいがあるんだろうな、というのを思った。昔はぴなふぉあであり、メイリッシュであり、コルダだった。軸足が完全に変わった。メイドからアイドルへ。現実から夢へ。より遠くに逃走している。

なんとなく、この旅はニュートラルを考える旅だったと思う。冒険をする。その先の拠り所。戻ってくる場所。そういえば包装もある種の固定化だった。

東京は蒸している。暑くないけど、ひたすらに湿度が高い。じんわりと汗をかいていく。

どうせすぐに電車が来るから、1本や2本乗り遅れてもいいや、と思う。山形では1本逃したら致命的だったから、とにかく先に調べていた。想像していたよりも少なかった。特に、あんなにリナワールドのアクセスが悪いとは思わなかった。バスを使って行くという発想がそもそも無いダイヤだと思う。確かに、家族連れがほとんどで、彼らはほぼ確実に車を使うだろう。東京の電車はほぼ満員で、乗り込むのを一瞬躊躇した。リナワールドから山形に帰るバスよりも混んでいたかもしれない。

来年は、もう少し交通の便を考慮していった方がいいかもしれない。運転できるなら、1日レンタカーを借りて、というのでもいいのかもしれないな。僕は運転できないけど。そもそも、レンタカーびしゃびしゃにしたら怒られるか。それと水をかけられて濡れてもいい格好で行った方がいい。カッパとゴミ袋も必要だ。あの店にもまた行ってみよう。まだまだ食べてない山形名物がある。そんなことをいろいろ考えてる時点で、来年もまた行く気満々じゃないか、とちょっと笑ってしまう。

まあ、ともかく。また来ようと思う。東北へ。東北産へ。

グランクラスでね!

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