グローバリゼーションだからこそローカルな基準を

経営財務の見出しで、「東証 IFRS適用が4割」と出ていました。さすがにそれはないだろ、と思ったら時価総額で44.4%であったということでした。会社数でいうと247社。3770社のうちの、7%くらいですね。

たしかに、IFRS適用会社は時価総額ではずいぶん大きい金額になっています。ですが、そもそも、国際会計基準を取らなければならない(とる必要はないのだけど)会社は、本当に大きい会社でEU圏内での仕事が多い、または金融庁の政策に友和的か、もしくは、のれんの償却をしたくない会社か(合法な粉飾の会社も含まれるでしょう)、なのではないでしょうか。なので、時価総額が大きい会社が採用しているために、この指標を選ぶと約半分が選んでいるように見えるわけです。

意図的な指標の選択は、意図を感じてしまいますね。当初は、IFRSのアドプションを検討していましたし、いつだったか、IFRS適用会社を1000社にする、なんて話もありました。おそらく、金融庁はIFRSを諦めていない。そして、その「プロパガンダ」として今回の発表(と記事)がある。うがった見方をすると、そう見ることもできるわけです。

ほとんどの会社は、ローカルな基準である日本基準で十分、というより日本基準の方がいいわけです。田中弘によれば、IFRSはM&Aの会計であり、会社を切り売りするための会計です。日本基準は、ものづくりの基準であり、日本は日本基準を使い続けた方がよい、としています。

また、国際的に日本基準が劣っているわけでもありません。

最近では、理論に裏付けられた新しい会計基準のあり方を提唱している学界の大御所スティーブン・ペンマン教授(コロンビア大)が、日本の会計基準が自らの考え方に先行するものであり、各国会計基準の中で日本のものが自分の考えに最も近いと断言しているのだ。

『たかが会計 資本コスト、コーポレートガバナンスの新常識』(福井義高)P.2

そもそも、コンバージェンスを行って同等性評価も得ているわけで(しかし、そのせいで日本基準が歪んできた、と言うこともできます)、無理してIFRSに乗っかる必要はないし、コンサルやらもろもろ、金のにおいがするなぁ、などと。

会計は、商慣習や政治、税制など、様々な要素に影響されるもので、ローカルな性格を持っている、と私は考えます。グローバリゼーションの時代だからこそ、ローカルなことを記述できるローカルな基準が必要なのではないか、そう思います。それが、言語として見た会計であり、示差の体系であるラングとしての会計なのではないでしょうか。

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