有報の感想 ワシントンホテル 2021年1Q

ワシントンホテルが継続企業の前提に関する注記を記載しました。

継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ

注記の理由は、重要な営業損失の計上です。2021年3月期には営業損失6,632,957 千円、当期純損失 7,518,422 千円であり、この2022年3月期の第1四半期も、営業損失 1,514,456 千円、四半期純損失1,427,609 千円でした。2020年3月期が営業利益1,269,556千円、四半期純損失408,289円でした。

(注)IRでは四半期純損失としていたので、それにならっていますが、数値は連結財務諸表の数値であり、四半期純利益(純損失)は親会社株主に帰属する四半期純利益(損失)です。

売上で見ますと、2020年3月期は19,786,345千円、2021年3月期は4,761,970千円ですので、約75%減です。

営業キャッシュ・フローでは、2021年3月期は△6,727,383千円です。2018年3月期から2020年3月期の3年間の営業キャッシュ・フローを超える金額です(3年合計が+5,777,140千円)。

継続企業の前提に関する重要事項等の記載が最初にされたのは、2021年の第2四半期です。この時に、①売上対策、②コスト削減、③資金対策、を対応策として挙げています。実際に②としては役員報酬の減額、③として、50億円のコミットメントライン契約を締結しています。短期借入金も7,061,000千円増加しています。完全に、営業キャッシュ・フローのマイナス(支出)を穴埋めしている形となっています。

2021年3月期決算において、継続企業の前提に関する注記がKAMとして挙げられています。そこでは、事業計画の検討と資金収支計画の検討が監査上の対応として挙げられています。一部、借入については(おそらく長期借入金)、財務制限条項に抵触しているようです。

そして、2022年3月期第1四半期、継続企業の前提に関する注記が記載されます。前期末にKAMに挙げていたくらいだから厳密に監査をやられたのだと思いますが、その時の想定以上に社会情勢が悪くなってしまったのだと思われます。新たな対応策としては、①収益力向上対策、②コスト削減対策、③資金対策、④その他、となっています。④その他の中には、コロナ軽症者等の療養施設として一棟貸しを行うことで、売上、キャッシュ・フローに貢献する、というものもあげられています。③の資金対策では、取引先銀行の支援の意向は取り付けており、政府系金融機関に対し資本性劣後ローンの借入を申請中とのことです。とはいえ、この3カ月で現金預金が約1,000,000千円減少しているので(貸借対照表は時点の話なので、たまたまの可能性もありますが)、予断は許さない状況であることには変わらないでしょう。


四半期で継続企業の前提に関する注記をつけるなんて珍しいと思って有価証券報告書を見ましたが、見ているだけで胃が痛くなりました。本当に、いきなり事業が止まってしまった。重要事象等の記載も四半期にされてました。ワクチン接種で良くなると思ったら、デルタ株が蔓延してしまう。正直、現場の人はものすごく苦しいだろうなと思います。特に、資金繰りをしている方々は本当に厳しいと思います。

早く、この状況が終わり、自由に旅行などができるようになってほしいと思います。



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