夢見ている。少女と大人の境目で。
もな論、というものをでっち上げる。テキトーに。勝手に。でたらめをでっちあげる。いや、まあ、妄想の話だ。所詮この世は妄想話で満ち満ちているので。
もなち。彼女はそう呼ばれている。ショートカットで金髪。中性的魅力のある美少女。スリーピングナイトのメイドで、ちいまゆの友だち。いいやつ。
夜。だいぶ酔っ払っていて、千鳥足でお給仕をしていた。「酔っ払った私なんか興味ないんだー!」と泣き出す。「みゆき!いいやつ!大好き!ままゆ!大好き!ゆらね!大好き!」と叫ぶ。全力で。
子どものように全力で、泣いて叫ぶ。そんな、もなちを、ちいまゆさんが、あやす。
お酒は、素の人間性が出る、という。それを頼りに考えてみよう。
現実の、中性的な、そう、それは女性から男性へと近づいた、男性的な強さをまとって弱さを隠した、そんな姿。その、強さのベールを剥がされて、素のもなちが出てくる。子どものように、愛を求め、大好きと叫ぶ。どこか、不安がある。愛してもらえなくなる、という不安を。アイドルの、ステージから見るサイリウムのような分りやすさ、可視的な愛の見えない現実の世界で、愛を探している。少女のようなやわらかさで。
帰り道。夢見るアドレセンスの『おしえてシュレディンガー』を聞く。「少女の終わり 大人の手前で夢見るアドレセンス」というフレーズが流れてくる。
彼女は夢見ている。少女と大人の境目で。
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