歌詞を変換してみる実験

歌詞を書くのにスランプになっている、一定のイメージがまとわりついて、暗い曲になってしまう、そういう話を某方から聞きました。どうしたら、暗さから離れられるのか。

音楽では、メジャーコードとマイナーコードを行き来して、明るくも暗くもできますが、歌詞では、あまりそういう操作をする、ということを聞きません。

ということで実験。

たばこの煙風に乗り
どこまで行くか十五夜よ
あなたの笑顔が離れない
再び二人は会えますか?
幼いあなた煙にむせぶ
あのぬくもりはかえらない

これは、私が大学生くらいに書いた、演歌風の曲の歌詞です。ただの黒歴史でしかありません。

歌詞を読む限り、何を言いたいのか支離滅裂ですが、ひとまず、悲恋である、ということはなんとなく分かる。なので、これを、恋が成就する話にしていきたい。

そう。実は、この実験は、物語を変えてしまおう、という試みでもあります。今回は、マイナーからメジャーへ。ネガティブからポジティブへ。

なので、ネガティブなワードを拾っていきます。

たばこの煙風に乗り
どこまで行くか十五夜
あなたの笑顔が離れない
再び二人は会えますか?
幼いあなた煙にむせぶ
あのぬくもりはかえらない

太字にしたところが、ネガティブなワードである、とひとまず考えます。これは、人によって違うと思うので、私の場合はこうだった、というだけです。

まず、たばこ。今どきは、たばこを吸う人は迫害されます。私の吸っていた頃は、迫害され始めた頃でもあったわけですが、ひとまず、たばこは使わないことにしようと考える。何にするかは少し後回し。

十五夜。月。夜ですね。なんかしんみりしてしまう。だから、昼にしよう。太陽にしてみましょう。きらめかせてもいい。

どこまでいくか十五夜よ

どこまでもきらめく太陽

太陽なので、その前のたばこも、もう少し華やかなものにしてみましょう。花束なんてどうでしょうか。はそのまま使ってみます。

たばこの煙風に乗り

風に乗って香る花束

センスがないですね。でも、とにかく、これは実験なので、我慢してください。元の歌詞がセンスがないわけですから。いや、誰が作ったんですかね、あたしだ。

続いて、幼いあなた煙にむせぶ。かわいそうですね。子どもの前でたばこでも吸っていたのでしょうか、過去の私は。いえ。大学生の時に、高校生のお嬢さんの前で吸っていて、臭いです、と言われた、それが元になっていたりする。まあ、そういうこともあった。
ともかく、煙にむせぶより、花の香りをかいでもらいましょう。その方がいい匂いですから。

幼いあなた煙にむせぶ

幼いきみは香りにほころぶ

僕の趣味ですが、あなたよりきみの方が距離が近いので、そうしてみました。その意味では、最後の行のあのというのは遠いも遠い。あのぬくもりはかえらないなんて寂しいにもほどがある。だから、まずは距離を近くするために、あのこのに変える。かえらない、はどうしましょうか。もういっそ、べたにしてみます。愛しましょう。

あのぬくもりはかえらない

このぬくもりを愛してる

さて。ここまでの経過を踏まえて、変更された歌詞を示します。

風に乗って香る花束
どこまでもきらめく太陽
あなたの笑顔が離れない
再び二人は会えますか?
幼いきみは香りにほころぶ
このぬくもりを愛してる

まだ、少し、間の2行。3行目と4行目が浮いています。だから、少し操作をしましょう。

まず、4行目。再び二人は会えますか?を変えましょう。このぬくもりを愛してる、という歌詞、もう目の前にいる気がしませんか?だから、会えるではなく、見つめる、くらいにしてみましょう。二人見つめる。見つめ合う。そういう感じで。

再び二人は会えますか?

熱く二人見つめ合う

なんだか、エロティックですね。その前の歌詞。あなたの笑顔が離れないも変えていきます。まずは、あなたきみに変える。人称の統一です。そして、離れない、ではなくて、もう少し、目の前の笑顔に対して、何かしたい。いや、かわいいんだよ、彼女は!となりたい。でも、この後、見つめ合うわけです。二人は。だから、あまり、笑顔の感想にしすぎると、見つめ合う二人が主語にならない。私ではなくて、二人が主語っぽくなるように、客観的な表現にでもしてみたい。なんだか、移人称的ですが。

あなたの笑顔が離れない

きみの輝いている笑顔

文字数が、元の歌詞が7+5なので、少し苦しいですが、まあ、こんな感じにしましょう。

さあ!すべての歌詞が変換されました。並べてみましょう。

風に乗って香る花束
どこまでもきらめく太陽
きみの輝いている笑顔
熱く二人見つめ合う
幼いきみは香りにほころぶ
このぬくもりを愛してる

ええ。意味の分からない歌詞なのは相変わらずですが、とにかく、マイナーからメジャーへの変換はできたのではないでしょうか。未練のある愛、悲恋が、なんとなく、二人愛し合っている、そういう感じに変わったのではないかと思います。

さて。

実験はこれで終わりです。もう少し、物語的にどうするか、ストーリーの話にまで踏み込んでみると、おもしろいのかもしれませんが、ひとまずはここまでにしましょう。私の、支離滅裂な歌詞にはストーリーも何もないので、新たにストーリーを付加することなんてできないんです、ということではないですよ。

Fin

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