有報の感想 スリーエフ(2019年2月期)
先日、スリーエフは継続企業の前提のに関する重要事象が解消された。
「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載解消に関するお知らせ(2019年7月11日)
①第1四半期において営業利益であったこと、②通期においても更なる営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の拡大を見込んでいること、③吸収分割契約等によりローソンから対価を受け取っており資金面で支障がないこと、の3点が重要事象を解消する判断をした理由のようである。
前年度末の有価証券報告書をみて、重要事象について考えてみたい。(あまり、前年度の有価証券報告書を細密には見ないのだけれど)
四半期ごとの売上・営業利益
四半期会計期間の売上と営業利益、営業利益率の推移をみると、売上は下げ止まり、営業利益は悪いなりに一定に近い水準だったのが少し上向いてきている。
スリーエフの重要事象の解消のIRで言えば、③資金については2018年の投資キャッシュ・フローによって解消されている。四半期の営業利益については、上向いてきていることから、第1四半期で営業利益ならば、その後も営業利益である可能性はあるようにも思える。コンビニ業態だと、年間の売上に季節的影響による大きな変動はないと思われるから、というのもある。
年度の推移
年度ごとでいうと、店舗数と従業員数が大きく減少している。その分、売上も大きく減少している。不採算店舗の閉店をしたわりには営業利益が良くなっていない。2018年2月から2019年2月にかけて、販管費が減少している主要因として、給与と運送費・保管費がある。ローソンと共通になったことによって、減っているのだろうか。(手数料や賃借料の増加はそれが原因にもみえる)
なお、キャッシュ・フローについては、営業CFがマイナスのため、これが解消できるのかも今後の業績に関わってくるのであろう。通常ならば、営業利益が出るのならば、営業CFも獲得できるように思えるが。
なお、2017年2月、2018年2月の間で加盟店に係る債権債務がなくなっていることから、当初の業態からは大きく変わっているのだろう。自前のフランチャイズから他人のフランチャイズに乗っかったビジネスへの転換。
継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象または状況
重要事象の解消の方法として、ローソン・スリーエフへの転換がある。
(以下、重要事象についての記載)
通常のスリーエフでは営業利益が改善しないということが、露骨に表れてしまっている。そのうち、スリーエフというブランド名もなくなっていくのだろうか。(どうやら、山口社長はそのような気はないようだが(参考記事)、資本を固められ、業績の良否も握られているようでは、どうにもならないような気もする。)
まとめ
2019年2月期における重要事象の解消のための施策については、
①営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の確保
②資金繰り
の二点であった。②は2018年2月期に完了しており、あとは、最低でも営業利益の確保という点であったろう。残念ながら、スリーエフのブランドだけではそれを達成することはできず、ローソンのブランドが必要であった。
その意味では、会社としては生き残ったが、ブランドとしてはもはや無くなったに等しいのかもしれない。
今後は、業績よりもローソンとの関係が気になる。いつ、ローソンに本格的に組み込まれるのか。(その時は上場廃止になるのかもしれない)
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