会社計算規則の一部改正について
商事法務No2182に『会社計算規則の一部を改正する省令の解説』という記事がありました。
「会社計算規則」に、「収益認識に関する会計基準」(以下収益認識基準)ができたことで、いくつかの改正点があるようです。
なお、2021年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされています。ただし、2018年4月1日以後に開始する事業年度、または2018年12月31日から2019年3月30日の間に終了する事業年度から適用することができます。(2018年12月31日以降が決算日の会社から適用可能)
改正点① 収益認識の注記の新設
収益認識基準に対応した形で、収益認識に関する注記が追加されます。
①主要な事業における顧客との契約に基づく主な契約の内容
②この義務に係る収益を認識する通常の時点
連結注記表に注記している内容が個別注記表に注記すべき事項が同一である場合は個別注記表への注記はいりません。
収益の認識方法はステークホルダーが計算書類を理解するうえで重要であることからこの注記が求められています。なお、この注記は省略はできないようです。
なお、収益認識基準が強制適用されない会社で任意適用もしない会社はそもそも注記の必要がありません。
改正点② 返品調整引当金の記載の削除
収益認識基準の適用によって、返品調整引当金は形状が認められなくなります。返品が発生しないと見込まれる金額を収益として認識し、返品の見込まれる部分は収益を認識せず、返品負債として計上することとなるからです。
そのため、返品調整引当金の記載が削除となります。
改正点③ 税効果会計の表示
「税効果会計に係る会計基準」などが改正され、繰延税金資産及び繰延税金負債の決算書状の表示位置が流動・固定で区分を分けて表示する方法から、繰延税金資産は投資その他に資産の区分に、繰延税金負債は固定負債に表示することになりました。
そのため、繰延税金資産・繰延税金負債の表示について改正があります。
改正しないもの
工事損失引当金は収益認識基準が適用されても計上するので、変更はありません。
売上高の表示方法は、財務諸表等規則では割賦販売売上高の表示方法が定められましたが、会社計算規則においてはもともと対応する規定がなかったため、改正はありません。