アヤワスカ裁判に関する雑感 公共の福祉の観点から

始めに、私は警察でも、取締りを行う立場でもありません。
アヤワスカ・アナログの使用に関しては否定的であり、使用の推奨も行っておりませんので所々ぼかして書いています。

なお、宗教的側面には触れません。
また、警察に対する偏見もありますので、その辺を踏まえた上でお読みいただくようお願いいたします。
誤り等ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。

概要
未成年の大学生が京都市内の自宅で、被告(以下A氏)が運営する団体より購入したハーブティー(アカシア茶)を喫飲したところ、数時間後に心身の不調を訴え、救急搬送された。
(アカシア茶の服用と心身の不調の因果関係は不明)
警察が大学生の尿を検査したところ、麻薬に指定されているDMTを検出した。
また、A氏は自身のサイト等でアヤワスカ・アナログの作成方法を指南したり、複数名でアヤワスカ・アナログを喫飲する会(通称:お茶会)を催すなどしていた。

用語
アヤワスカ
 アマゾン川流域のシャーマンが儀式の際に用いる幻覚作用を持つ飲料。ペルーにおいては国家文化遺産に指定される。
 DMTやMAO-I等の成分を含む複数の植物を用いて作られる。最強の幻覚剤とも呼ばれる。
 裸のランチやジャンキーを書いたウィリアム・バロウズが「yage(ヤーヘ)」と呼び、最後に目指していた薬物としても知られる。

DMT(ジメチルトリプタミン)
幻覚作用を持つ。ミカン等の多くの植物に存在し、人体内でも合成される。
MAOにより速やかに酸化されるため、DMT単体で経口摂取しても幻覚作用はほぼ起きない。
DMT単体は麻薬に指定されている。

MAO-I(モノアミンオキシダーゼ‐インヒビター、MAO阻害剤)
DMTを酸化するMAOを阻害し、DMTが脳に届くようにする
ざっくり言うなら幻覚剤の増強剤。
 
アヤワスカ・アナログ(以下アヤワスカ)
アヤワスカを模した代替品。DMTとMAO‐Iの成分を含んだもの。MAO‐Iとして薬を用いる場合もある。

ダイミ茶(ブラジルの新興宗教が作ったアヤワスカ)等が有名。
なお、ダイミ茶に関しては厚生労働省から注意喚起が行われており、また関連する放火事件も起きています。

雑感
裏社会ジャーニーやブログでの発言をもとにいろいろ書いていきます。
(雑草で酔う、獄中で酔うは積読状態。)

結論から先に申し上げますと、A氏は麻薬原材料に指定されていない植物を茶葉として販売しているので、麻薬及び向精神薬取締法で規制するのは難しいと思いました。

むしろ食品衛生法第6条第4項の「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの」で引っかけられるかなと思いました。
ただ、これだけ話題にはなりましたので、何らかの規制は入るかなと予想しています。判決が6月10にでますので、どのような決着がつくのか注目しています。

A氏の主張と規制側からの観点の2つに分けて記述していきたいと思います。

まず、A氏の主張についてですが 

・危険ドラッグを撲滅したい

→A氏がアヤワスカを始める前年度(平成27年)には大阪での室店舗数が0になっており、すでに日本では下火になっていることが見て取れます。

大阪府危険ドラッグ販売店舗数 (大阪府HPより)

https://www.pref.osaka.lg.jp/attah/6427/00000000/tenposuu(H27.8).pdf

 また、A氏がスピリチュアルに傾倒しているときのアヤワスカ体験記をブログで読みましたが、アヤワスカ・アナログには危険ドラッグと同等かそれ以上の危険性があるのではないかと感じました。

・DMTは麻薬だが、DMTを含む植物自体、またそのお茶は麻薬に指定されていない

→東京都の「物の成分本質(原材料)について」の「非医薬品リストに掲載されている原材料からの抽出物であっても、医薬品成分に該当しないかどうか確認が必要な場合があります。」の項を読む限り、※水又はエタノール以外での抽出(お茶)は違法でないという主張は倫理的に問題があるのではと思いました。

※ここでの、水又はエタノールとは水道法等に適合した、いわゆる水道水や井戸水を、エタノールは純エタノールを前述の水で希釈した物と、私は想定しています。

なお、これは※類推解釈に該当するかと考えられるので、参考までにお読みください。(医薬品の規定から麻薬について類推している)

類推解釈:ドンピシャな判例等がないので、類似例から引っ張ってくる解釈の方法。刑法においては、ご法度な解釈手法と解ってもらえればOKです。

・DMTが含有される伝統茶が取締られていない

→既得権を規制するのはムズカ...まぁ目に見える形で健康被害が出ていないものを取締るのは難しいと思います。



続きまして、DMT含有茶は違法ではないという主張についてですが、いわゆるグレーゾーンにも、規制側からすると、自己責任で自由にやればというほぼシロのグレー~取締りたいし、そのほうが公共の福祉に資するけれども、権利を侵害することになるので規制できないという、ほぼクロなグレーと複数の段階があります。

個人的な感覚ですが、トラブルを起こさない(報道沙汰にならない)という前提で、以下のとおりかなと思いました。

個人でアワヤスカを使用する→自己責任の範疇

パーティー(お茶会)を主催する→チェックはする

インターネットで公布する、書籍を発行する→規制側に挑戦を挑んでいるのかな?

ネットでアワヤスカキット(ハーブティー)を販売する→営利行為。合法かどうかということではなく、実質的に、LSDの手押しとの違いがわからなく、限りなく黒に近い。

また、A氏の場合、ハーブティーと未承認医薬品を併用しており、どちらも単体ではさほど問題にならないかと思いますが、双方が合わさると脱法的なにおいがしてきます。


とまあ、こんな感じで現行の麻取法での処分は難しいと思いますが、警察は「舐められたら負け」という昭和のヤンキー思想の集団なので、挑発されたらと規制等何らかの対応がなされ、実質的にA氏の現状の活動はできなくなるのではないかなぁと予想しています。

いずれにせよ、6月10日どのような判決が下るのか楽しみにしています。


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