教職志望の方へ⑨－教務手帳についてー

　欠課時数といえば、閻魔帳。正式名は教務手帳です。教員なら誰でも持っている教務手帳、これについて説明したいと思います。

【教務手帳の入手】
　非常勤講師でも、期限付講師（いわゆる常勤講師）でも、教諭でも皆、毎年4月に学校からもらい、名票を貼って準備します。
　手帳自体は、教務部の係が注文し、業者が持って来て、係が教務室つまり大職員室の隅に積み上げた山から、学年団や教科室で気の利いた人が人数分取って、各人の机に一冊ずつ置いたりします。
　教務部の係に余裕があれば、「教科主任から各人に配って下さい」と職員会議で依頼します。ただし、持ちクラス数によっては、（例えば6クラス×3単位の人と9クラス×2単位の人では、持ち時間数は同じでも、教務手帳の使用ページ数は9クラスの方が断然多いため）二冊取る人もいるので、自分で取って下さい、という学校は多いと思います。

【教務手帳の形態】
　大阪府立高校では大体、深緑色でした(茶色のカバーのもあり)が、個別の印刷所が作っているようで、府立高校によって中の仕様はまちまちでした。
　縦長になるのは、ひとクラスの人数が50人近くいた時の名残です。
　中は、厚紙の表紙を開けたら、中の薄い表紙に「　　年度」の他、担任クラス名の欄や氏名欄があります。そして、その裏に時間割表が二つ、持ちクラスと担任クラスの時間割を書くようになっていて、その後、行事予定表が続きます。
　よく、4月に配布されるB4の行事予定表を何倍に拡大するとちょうど上手く貼れます、と会議で言ってくれるマメな先生がいたものでした。まれに行事予定欄がない教務手帳もあります。
　行事予定の次は、左ページの左列にクラス名票を貼りますが、直接、番号順に名前を記入するようにもなっています。右ページは全体に小さいマス目になっていて、その上部だけ縦に長いマス目で、日付などを書くようになっています。
　教務手帳に貼り付ける名票も、大昔（学校にパソコンや印刷機がなかった頃）は印刷業者に出していましたが、40年ぐらい前から教務係が作成しています。学校によっては名票の裏をシールにしてくれますが、シールはズレたらシワが入って直せないので、糊で貼る方が好きです。

【教務手帳の付け方】
　付け方は、人によって違い、一番最初に教えてもらった人の流儀に合わせ、次第に自分なりに変えていきました。
　普通書くのは、次の三つです。
❶クラスごとの毎時間の出欠
　最初のページに名票を貼って、一学期中間・期末、二学期中間・期末、学年末をそれぞれ見開きにして、名票が見えるように頁を折ります。一番上に某月某日○曜と書き、出席簿と同じ記号を書き入れます。番号を振っておけば、考査まで何回あったか判明します。
　あらかじめ月日を書くなら鉛筆にします。台風による休校やインフルエンザの学級閉鎖、身近なところでは時間割変更で日時が変わることもあるからです。
❷提出物の記録
　クラスの出欠の右側に書いたり、提出物が多い場合は、クラス毎に見開き分ページをキープします。
❸考査成績
　後ろに各クラス見開き分ページを確保して、名票を貼り、1学期中間考査、期末考査、平常点、一学期成績……という具合に書いていきます。

【あるあるの失敗談】
⑴ 全員出席の時に記帳しなかった
　2校目の教務手帳がやや薄く、たまたま持ちクラスが多くて、ページが足りなかったので、他の先生の真似をして、欠席があった日だけ付けていた年がありました。
　すると、ある生徒の出欠について問い合わせが担任からあり、「○○がいなかったはずなんだけど、教務手帳はどうなってる？」と訊かれました。
　誰も欠席していないと思っていたので、その日の記録はありません。事情を話すと担任は憮然としていました。ひとくさりお小言を頂きました。
　それ以来、教務手帳が一杯になりそうな場合は、出欠記入を優先し、提出物の記録のページは表をコピーして貼り付けました。

⑵ 教務手帳の置き忘れ
　授業後、自分のクラスの生徒たちを体育館に引率して、シートやパイプ椅子などを並べる時に、舞台のカーテンの陰に出席簿と教務手帳を置き、そのまま忘れてきたことがあります。音響担当の先生が届けて下さいました。冷や汗たらたらです。

⑶ 記入ミス
　同じ姓なら意外に間違えないのですが、名表の中程からちょっと下で、名票と教務手帳のマス目が微妙にズレることがあり、特に右頁になると、1マス上か下かに書いてしまうことがあります。そのあたりに欠番や長期欠席者などがいると発見が遅れ、個票が出てから当該生徒に指摘されます。平謝りです。m(_ _)m
　ミスを防ぐために30センチものさしなど使います。提出がまばらな場合は、出した人の名前を書きだしてチェックすることもあります。

　わたしは昔からマス目が苦手で、目がチラチラするので、教務手帳にはずいぶん苦労させられて来ました。
　また、他の人の教務手帳は、課題提出の○が同じ大きさでボールペンのボテもなく美しく並んでいて、自分のと引き比べると絶望的なキモチになります。
　キモチの焦り？○を書くのが下手？まあ、直ることはないでしょう。