【サステナブルな生活は割高になるのか?】-IKEAの事例-

昨日たまたま近くを通ったので
IKEA長久手に立ち寄りました。

すると、店内のあちこちに、
「IKEAはサステナビリティを重視しています」
というメッセージが散りばめられていました。

入り口には店舗での太陽光発電量が示され、
レストランでは平飼いチキンの料理で
フェアが開催され(写真のやつ)、
売り場では「長期的には環境負荷が低いので
IKEAは充電式電池のみを取り扱います」
というPOPとともに充電池が売られ、
トイレでは「節水のために、男性用トイレは
水洗ではなくバイオテクノロジーによる
生分解を取り入れています」として、
水が流れないトイレがあります。

一つ一つの取り組みを見るだけだと
「ふーん、そうなんだ」で終わりますが、
これだけ徹底的に訴求されると、
「なんか、IKEAで買うのって地球に優しい?」
とか思い始めてしまいます。

ところで、そんな地球に優しい消費は、
そうでない消費と比べて割高なのでしょうか?

IKEAは日本に進出して以降、
「競合のニトリが強くて、思った通りに
業績が拡大できていない」と言われます。

IKEAはニトリより
「若干値段は高いがデザイン性も高い」
「ショールーム型店舗でエンタメ性がある」
「セルフ組立なので品質の割には安い」
というポジジョンが基本です。

IKEAとニトリの決算書を見比べると、

■IKEA
粗利率 43.7%
営業利益率 3%

■ニトリ
粗利率 52.5%
営業利益率 17%

となっていて、
組立コストを消費者に転化している割に
IKEAの粗利率は低く、
営業利益率はニトリの5分の1もありません。

IKEAは近年、店内飲食売上を強化していて、
売上の10%程度が原価率の高い飲食事業だとしても、
本業の粗利率はニトリに敵いません。

そう考えると、IKEAはやはり
品質の割に割安なものを売っているのかもしれません。

IKEAジャパンは非上場企業なので
詳細な決算書は開示しておらず、
正確なところは分かりませんが、
販管費がかなりかかっていて、
これにサステナビリティへの取り組みが
含まれている可能性はありそうです。

ところで、IKEAは配送が無料じゃないし、
とにかくスタッフが少なくて
店内で不明点があっても聞けないし、
店内レストランはセルフ式で決済に時間がかかり
席に着く頃には料理が冷めていて、
いくら商品が割安とはいえ
購買体験自体が割安とはいえません。

こういう不便さの上に、
なんとかIKEAがサステナビリティのために
取り組むコストを捻出しているとしたら、
その不便さを許容することが消費者なりの
サステナブルへの貢献なのかも。

これから多くの企業が、
「うちの会社はサステナブルですよ!」
と言い出します。
でも、本当にそうでしょうか?

今まで省いていた手間やコストをかけたり、
あるいは手間やコストをかけていたところを
省略していくことで、
消費者にもその負担がいろいろな形で
求められる部分はあるでしょう。
(プラスチックの袋の有料化は良い例)

それにすぐに不満を言うだけでなく、
「この会社は本当にサステナビリティに
とりんでいるんだろうか?」
「この不便さや割高さを許容することで
本当にサステナブルは実現するんだろうか?」
と消費者は考えるようになるだろうし、
企業はそれをうまく伝えて
共感・納得してもらえるかが
大切になりそうですね。

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