雪金魚
生まれ落ち、空から落る雪金魚。
自由落下に思えぬ速度で、落ちている。
ゆるり、ゆるり。
尾ヒレが掻けば、こぼれ落ちる六芒星。
それだけが、空へと還る。
舞い上がる欠片を眺めながら、墜ち行く先を見据えてる。
池に入れば消えてしまうの。
小さな小さな鳴き声を聞き届けた両手が差し出される。
冷たいでしょうと笑う両手は、雪金魚には温かい。
水になったら飲み干して。
最後に望まぬ願いを口にして、雪金魚は解けていく。
出来れば乾いて、両手を濡らした事実さえも消えてしまえ。
両手の望まぬ願いを口にはださぬ、雪金魚。
水の行方は気にしない。
どうするかなんて、両手次第。
だからこそ。
せめて、届けと
生まれてから落ちるまで、幸せでしたと
ひと欠片。
創作メモ
『すきっぱらにハイボールはやめよう、なんて話をきしみがするわけないだろう。や、するだろ、普通に(笑)』|azamaro|note(ノート)https://note.mu/azamaro/n/nb4cd28b6d0b3
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