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崩れた想いにもつれて~砂のしろ~

やってきました!
次回の小松未歩さんの1曲語るテーマは
「砂のしろ」となりました。
未歩さんにしては珍しくラテンな感じの曲なのに
歌詞についてはがっつり未練のある歌で、
内に秘めてる熱情をリリース時の夏に合わせた
とても情熱的な曲だと思います。

では解釈の方に行きます。
久々に小説を書いてみました。
どぞどぞ。


    この日はとても最高な日になるはずだった。
今、もっとも推しているアーティストのライブ。
座席は関係者である友人に頼んで頼んで頼んで中央の最前列のチケットを取ってもらった。夢見心地のままライブは始まった。…はずだった。
    ライブも終盤にさしかかり、ボーカルの人がファンのみんなに話があると…。ためらいながら話し始めるその声にふと嫌な予感がした。

「僕たちは7月のライブをもって解散します!」

    悲鳴を上げる人、怒るように叫ぶ人、泣きわめいてる人。私はただただ現実を受け入れきれず立ち尽くしていた。
「…次のライブはいつだっけ?」

    TVも新聞もネットニュースも翌日にはこの話題で持ちきりだった。チケットを用意してくれた友人に直接会って「どうして?なんでなの?」と問い詰めてみたところ、
『実はまだ秘密なんだけど、メンバーの1人が結婚するとかでこれからの活動について揉めに揉めたみたい。表向きは音楽の方向性の違いとか言ってるみたいだけど…』
「そんな、アイドルでも結婚後も活動してるグループがあるのに…」
『その相手の子が音楽活動辞めてほしいって言ったらしいよ』
「・・・・・」

    聞くんじゃなかったと後悔した。どうして?そんなどうでもいいようなヤツのために音楽をやめるの?
    大きな後悔と少しの怒りを抱えたままの帰り道、すれ違う人みんなが幸せそうな顔をしている風に見えた。そんな顔を見るたび、嫌悪感を抱いた。
    推しがてみんな幸せ?私の推しは目の前から去ってしまうというのに…。


    7月某日。波が私を飲み込んでぐちゃぐちゃにするように、雷鳴が私を怯えさせ前に進めさせないように。色んな感情の中、解散ライブの日を迎えた。
    友人が教えてくれた事が巷で噂になり、一部では誹謗中傷をネットで見かけるようになった。相手が悪いだの、見る目がないだの、結婚するならちゃんと報告しろだの…。不実なことは嘘とは違い相手を、周りを傷つけている。でも、彼らの音楽に救われてきたのは本当で、彼らは悪い人じゃない。
「やっぱり真実なんて聞くんじゃなかったなぁ。」
    このライブが終わったら、推しへの思いもここに置いていこうと決意してライブ会場へ向かった。
    会場の熱気とは裏腹に私は冷たい海の底にいるかのようで、ライブが始まってもなお現実を受け入れられず、いつもの私とは違う人のように感じた。


    盛り上がるライブ。最後の曲が披露される。
見届けたいけど、終わってしまうのが怖い。終わってしまったら今まで積み上げてきた想いが崩れさってしまうようで。


    ライブ終了後、私は座席に座ったまま動けずにいた。決して余韻に浸っているわけではない。推しを失ってしまった今、どうやって生きていけばいいのかわからずにいる。
    スタッフに促されようやく私は会場を後にした。帰り道を歩くなか、我慢していたかのように涙が溢れて止めることがでずその場に崩れてしまった。


    一年後、まぶしい陽射しがさす7月。
まわりにいたファンは次の推しを見つけ今日もあくせく推し活をしているようだけど、未だに私は次に進むことができない。
    ライブの最後に発表された楽曲をちゃんと聞くことができずにいる。

(終)


今回の設定は
「自分の推しが突然解散を発表したら」
をベースに考えてみました。

きっかけは、GARNET CROWの解散ライブから10年たったというツイートを見た時です。
実は自分自身、解散ライブで発表された最後の曲はまだちゃんと聞けてないんです💦
なのでそんな自分の思いとこの曲を上手いこと織り交ぜながら今回の小説を書いてみました。

詳しい話は次回の小松未歩ラジオでお話できたらと思います。

それでは👋