【脚本】脚本が何に使われるのか。及びその作業環境について。

※個人メモです。何かのお役に立てば幸いです。
※あくまでアニメ脚本の話です。実写は知らない。

Twitterなどで脚本の作業環境の話題を見かけました。
なぜWordなのか?あんなに使いづらいソフトなのに。
同感です。それでも使うのは脚本の提出書式にWordが求められるからです。
意外とその視点の話が無いなと思って書いてみます。

まず、脚本には書式があります。
基本縦書き・20文字×40行で1ページです。
素のテキストではないので、何らかのソフトでレイアウトを整えます。
昔は原稿用紙、その次は一太郎、そして最近はWordが主流になり、現在はWordとPDFの両方提出が流行りの印象です。
なぜか、Wordはその後の作業に便利で、PDFは関係者が閲覧するのに便利だからです。PDFなら大抵の環境でレイアウトを崩さず見られるので。
Wordに関しては、
 ①コピペしやすい。
 ②校閲(メモ)をしやすい。
がメリットなのかなと思ってます。結論から言うと、使用者ではなく、提出先の関係各位が使いやすいかが重要なのです。

先に②について。
提出した脚本は、様々な人がチェックします。専用ソフトがないと書き込みができないファイルは使いにくいです。
また、原作や設定監修で原稿に直接赤を入れられたり、コメントをいただくことがあります。その際にWordの校閲機能は大変便利です。
さらに各部署や様々な媒体に回され、コピペされまくります。以下同文。
(なお、原則…大事な原則なのですが、脚本の修正は打ち合わせの場で、口頭で伝えられます。上記の場合をのぞき、脚本家の許可なく勝手に書き換える、赤を入れる行為はマナー違反だと、私は強く思っています)

そして①。
脚本は以下のように形を変えていきます。
脚本⇒コンテ⇒アフレコ台本⇒完成台本 かな。
コンテの段階で、脚本の台詞は各カットに割り振られます。
そしてコンテを元に、収録用のアフレコ台本が作られます。
このコンテもデジタル化が進み、台詞を脚本からコピペできるようになりました。なのでここでもコピペできない書式のファイルは困るのです。(不勉強で原因はわからないのですが、PDFでだと妙な改行が入るのです)
突き詰めると、印刷できるレイアウトのファイルと、プレーンのテキストを送れば諸問題はクリアできます……が、両方兼ね備えたファイルが一番使いやすいのです。
というわけでWord一択……でしたが、先日、私好みのエディタソフトが、レイアウトを保持したままWordにコピペできると判明。変換はできなくても、それなら提出時にWordファイルを作るだけですみます。やったー!!

最後に蛇足。
脚本の書き方や脚本家のなり方に関する様々な本を拝見しますが……脚本は初稿がゴールではないんですよね。スタートでしかない。そして脚本の決定稿は制作の始まりです。だから脚本には常に先の視点、配慮がいると私は考えています。今回のファイル形式もたかがファイルの種類でもあり、その後の作業に影響するものでもあるのです。でも、それを本や授業の形で伝えるのは難しい。とても難しいので……こんなものを書いてみました。


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