アジの生態

基本的な生態

  • 瞳孔が常に全開で光量調節ができない。そのため昼間は薄暗い深場で回遊する(回遊型)か、岩礁帯などで活動している(定着型)

  • 明るい光は嫌うものの、夜行性ではなく昼行性のため、夜は活動が鈍る。ただし、常夜灯の真下などでは集光性のプランクトンなどが活発に動くため、アジも集まることがある

  • 泳速は早いが、捕食能力は高くないので、昼行性の小魚の活動が鈍る薄暗い時間帯に捕食活動を始める

  • 水温は19~26度が適温で、10度以下では動けなくなる(どちらかというと温かい海を好み、冷たい海が苦手)

  • 東京湾~相模湾では概ね6月~9月が適温、1月~3月は水温が10度前後になり活動が鈍るため、あたたかい海流で回遊する(回遊型)か、工業廃水などで比較的あたたかい場所に居着く(定着型)かのいずれかになる

  • また、水深の浅い海は外気温の影響を受けやすいため、冬場は深い海にいることが多い(回遊型)

  • 東京湾周辺では6月から7月が産卵期で、メスはこの期間に栄養を蓄えるため5月くらいから「荒食い」することがある(ただし、産卵直前には全く活動しなくなり、餌も食べなくなる)

  • 産卵のタイミングは地域や群れによって違うため、うまく荒食いしている群れに当たれば爆釣するし、同じ日、同じ場所でも群れが違えば何もヒットしないということがあり得る

朝昼晩

  • 明るい場所を嫌うため、日の出から日の入りまでは水深の深いレンジか、岩礁帯や藻場などの物陰で活動する。

朝・夜

  • 日の出前の薄明時、日の入り後の薄暮時に活動が活発になり、このタイミングが主な摂餌行動の時間となる

天気

  • 昼間は深場で回遊しているか、岩礁帯や藻場で活動している

雨・曇

  • 光量が抑えられて視界が良くなるため、比較的浅場や岩礁帯の外に出てくる可能性もある

春夏秋冬

  • アジは暖かい水温が好きなので、初夏から晩夏に活性が高まる

  • 特に5月から7月にかけては産卵前のため、活発に摂餌する

  • それ以外の時期は、より暖かい海流に乗って移動するか、工業廃水などで年間を通して暖かい場所に居着くかのどちらか


成長

幼体

  • 敵となる魚が入ってきづらい水深1m程度の浅場で、動物性プランクトンなどを捕食する

成体

  • 成長に伴い瞳孔や光受容体が大きくなるため、幼体よりも深く暗い場所を好むようになる

潮の満ち引き

満潮

  • 水深が深くなって移動できる範囲が広がるため、日中でも光量が抑えられるほど深くなれば岸壁近くまで回遊しやすくなる

干潮

  • 水深が浅くなるため移動範囲が狭まり、また昼間は明るくなりすぎるため浅い場所には近づかないことが多い

※いずれもベイトや海水温次第なので、あくまでも「回遊しやすい、しづらい」程度の差でしかない

タイプの差

回遊型

  • 水深10~100mのレンジで回遊している(深さが足りない場所には、明るい時間帯には移動してこない場合が多い)

  • 基本的には、自分より上を泳ぐ/または落ちてくる餌を捕食する

  • 主にカタクチイワシや甲殻類、プランクトン、ボラなどの幼魚を捕食する

  • 水温が下がる/または上がりすぎると餌となる回遊魚の群れが移動してしまうので、それに合わせてアジの群れも移動する

  • 冬場はあたたかい海に移動していることが多い

  • 遊泳力に優れた大型の個体が多い

定着型

  • 岩礁帯や藻場などの物陰で活動している

  • 落ちてくる餌の他にも、自分と同じ高さもしくは海底の餌も捕食する

  • 食性に大きな差はないが、遊泳力に乏しいため、追いかけなくて済むような海底の甲殻類やイソメ、漂うプランクトンなどが主食となる

  • 季節を通して移動しないため、そもそも餌が豊富で水温が一定の場所に居着く

  • 適した場所が希少なため、定着型も稀な存在

  • 遊泳力の少ない小型の個体が多いが、餌が豊富なため大型で脂の乗った個体も存在する

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