「蕾」
夜の海で寄せては返す波のように
進んでも振り出しに戻される人生ゲーム
愛と称賛の甘い水で育った美しい大輪の花が
我が物顔で咲き誇るとなりで
醜い顔を隠した一輪の小さな蕾
めぐり巡る季節の中で
罵声や嘲笑さえも栄養にしてきたのに
奇をてらい、醜く吠えることでしか
人の目を引けない弱虫さ
春風につられて笑うように揺れる花たちは
いつか朽ちて散りゆく存在
積み重なった花の屍に根を生やし
薔薇の棘さえも養分と化し
荒野に一輪の花を咲かせましょう
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