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自分との出会い

まだ小学2・3年のある寒い冬の昼下がり、麻布にある実家の近くに当時あった幼稚園の園庭で、一人鉄棒の逆上がりの練習をして遊んでいました。その日の空は今にも雪が降って来そうな重く灰色の雲が覆っていました。
しばらくすると、3人姉弟の一番上の姉がやってきました。姉はポツンと「・・おばあちゃんが死んだよ。」と同居していた祖母の死を告げて家に戻って行きました。
時はまさに映画“Always・三丁目の夕日”の舞台の時代。。
私は、家に帰らなくてはと思ったのと同時に、何か言い知れぬ気持ちが体中を駆け巡ったのを覚えています。これはなんなのだろう・・どうしたらいいのだろう・・気がつくと、見上げる灰色の空から粉雪が舞い降り始めていました。私は、底知れない空からの小さな雪を顔にうけながら、人って死んだらどこへ行っちゃうのだろう・・これからどうなっちゃうんだろう・・僕ってどこから来たのだろう・・と漠然に思いながら何か解らずにただ涙していました。

やがて何年かして、近くの高樹木町の都電通りを60年安保反対の国会への果てないデモの隊列が目に焼き付けられ、小学校高学年から親や学校に抵抗しながら受験戦争に巻き込まれ、大学では70年の学園紛争に中途半端に参加し、社会人になってからも気持ちの整理も出来ずに猛烈社員になって行き、色々紆余曲折の生活を経て人生を解かった気になろうとしていました。

そんな時に、あるグループセミナーに参加しました。大勢の参加者の中でひとりぽつっんとなった時に、あの小さかった時の冬の寒空の中に立ち泣いていた自分にであったのです。

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