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ジャーナル・2日目 「地上の蝉」

2日目。今週は火曜日から風邪をひいていて、ずっと熱が下がらない。
体温計の表示が37.5℃前後を行ったり来たりしている。

友人から「コロナなのでは?」と指摘を受けたが、コロナに罹患したときは38℃の熱が続き、食べるのもままならなかったから、おそらく違う(と思いたい)。病院に行った方がいいのは確かなのだが、行く時間を作るのが億劫になってしまった。
外もやたら湿気ていて、まとわりつくような暑さが続いている。
今日の最高気温は35℃で、普段の体温とそんなに変わらないなと思った。
いつのまにか、窓の外からはジーー、という音が聞こえるようになり、ふと、ああ、これは、蝉の声か、と思った。急に、「夏」を感じてしまった。

気温が高くなったからといって、夏を感じるかと言えばそうではない。
暑くなる過程が春、寒くなる過程が秋。梅雨の時期すら曖昧になった日本の気候で、私が夏のはじまりを感じるものといえば蝉の声になっている。
これは、アブラゼミとミンミンゼミの鳴き声だ。ほかの蝉の声がまだ聞こえないのは、夏が始まって、まだ時間が経っていないからなのか。

友人はこのところの気候を「災害」だと表現していた。それは言い過ぎなんじゃないだろうかと笑いながら、しかし、陽射しの強さが年々増して炎症を起こすようになってきているらしいから、本当に災害になりつつあるのかもしれない。熱中症で運ばれるひとも増えている。
この暑さと街灯の明るさで、最近の蝉は昼も夜も鳴いている。
昼夜を問わず働いたら、もともと短い地上での寿命が更に短くなりそうな気がしているけれど、どうなのだろう。蝉は人間と違うから、それでも同じように生きるのだろうか。

私は先週一週間の間、毎日休むことなく外出していた。
朝、出社して、仕事をして、終業後に人と会ってご飯を食べたり一緒に楽器の練習をしたりして、帰ってから配信をして夜遅くに寝る。
そうして過ごした1週間だったが、週末には意識が朦朧としてきて、来週は絶対に出社しないと心に決めていた。そうしたら、本当に出社できない体調になってしまった。私の身体は蝉よりずっと弱いのかもしれない。蝉だってそれで十日ほど生きるのに、私はその半分も同じ生活ができないということになる。

先ほど、また熱を測ってみた。36.7℃!
2日間しっかり休んで、薬を摂ってようやくすこし下がってくれたようだ。 ひとと会うことで孤独が癒える側面がある一方、それが必ずしも休息になるとは限らないということが、これでわかってしまった。
短命である地上の蝉とは違って、それなりに長く生きる私たちだから、休みは適度に必要なのかもしれない。

1週間のうち1日は、ゆっくりする日を設けないとならないなと思った。

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