見出し画像

ランタナ


今日、家の近所にランタナという花が咲いているのを見つけた。
私はその花を見て、2年前のある出来事を思い出した。

2年前の2020年というのは新型コロナウイルスが流行り始め、自粛ムード真っ只中であった。

外出自粛を余儀なくされていたが、ウォーキングとかはしてもええで☆みたいなことは言われていたので、私はよく近所を散歩していた。
普段歩かない道を歩くと何だかとても新鮮な気持ちになるし、様々な新しい発見もあるので私は散歩が大好きだった。
今も好きなのだが当時は「大」好きだった。
私の中で散歩ブームが到来していたのだ。

そんなある日、この散歩ブームトークを当時の職場の女性先輩である田中さん(偽名)にしていた。
この田中さんという先輩は、キャリアも長く、
年も少し離れている言わば「大」先輩なのだが、ピリッという緊張感は全くなく、とっっっても話しやすい、ほわっとした和やかな時間を提供してくださる偉大な方である。

そんな田中さんもよく散歩をするらしく、一緒にどう?と誘ってくださったので早速次の休日に一緒に散歩をすることになった。
私はスケジュール帳に『田中さんと散歩DAY♪』
という何とも可愛らしい予定を記入して、その日を心待ちにしていた。

そしていよいよ『田中さんと散歩DAY♪』当日。
お互いの家の中間(だいぶ私の家寄りやったけど)のコンビニで待ち合わせをし、特に目的地も決めずに散歩をスタートさせた。
私たちは「なんてない話」をしながらたくさん歩いた。ひたすら歩いた。

これがとても楽しい。ひとり散歩も楽しいが、「なんてない話」ができる人と、
「なんてない話」をしながらする散歩も実に楽しく、何とも平和な時間であった。
平和な時間すぎて、コロナというものは本当にこの世に存在しているのか、どっか遠い遠いちがう星の話なのではないかと思うほどだった。

そんな平和な時間を噛み締めながら歩き続けていると、道の脇にとても可愛い花が咲いているのを見つけた。

「うわこの花めっちゃ可愛いですね!」

私は特別花が好きというわけでは無かったが、その花があまりにも可愛くときめいてしまい、思わず立ち止まって気づけばスマホでパシャパシャと撮影をしていた。

パシャパシャパシャパシャ、そんな撮ってもどうせ後から見返した時に一枚だけ残して他は全部消すくせに、パシャパシャパシャパシャと色んな角度から撮っていた。

そんなパシャパシャ女に対して田中さんが、
「あぁ、それね、ランタナっていう花だよ」
と教えてくれた。
「へぇ、初めて聞きました!さすが何でも知ってはりますね~」
そう深く感心しながら、好きな花は今度からランタナって答えよう、と謎の決心をして、まだパシャパシャしていた。

その後も歩き続け、海の見える公園まで行き、海を見ながらモスバーガーを食べて解散した。そんな一日であった。


私は散歩中でのランタナの会話が、この日の田中さんとの色々な「なんてない話」の中で最も鮮明に覚えている内容なのだ。
そしてこれは2年経った今もなお、ランタナを一目見ただけですぐに鮮明に思い出すことのできる出来事となっている。

当時、この会話は「なんてない話」であったが、今となっては「なんてない話」なんかではなく、辛かった自粛期間中に、コロナのことを少しでも忘れられた平和で和やかな時間から生まれた「しっかり意味のある話」に変化を遂げており、私にとってはとても濃く大切な思い出なのだ。

田中さんはこの会話を覚えているだろうか。
もしかすると私が覚えていない、他の「なんてない話」を覚えていてくれているかもしれない。

次会えたとき、聞いてみよう。
そしてまたその時も「なんてない話」をたくさんして、思い出を増やしてもらおう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今通っているレッスンの課題的なもので、何でもいいから文章を書いてみようということで書いてみました。
ここ最近、色んな人のエッセイを読んでいるので色んな人の技法を頂戴しながら挑戦しましたが、とても難しかったです。
でも、とても楽しかったです。
書き終わった後、どんな形でもアウトプットするんって大切やなぁと改めて実感しました。

では最後まで読んでくださった方、本当に本当にありがとうございました。
心より、感謝申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?