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ファイターズのドラフト戦略2021

 伊藤大海、五十幡亮汰等、多くのスター候補を獲得した2020年ドラフトから数ヶ月。キャンプや対外試合も始まり、野球の季節がやってきました。公式戦まで1ヶ月、ひと足もふた足も早いですが、既存の戦力と比較しながら、今回は2021年ドラフトについて考えたいと思います。
※今回は補強ポイントを洗い直すだけにとどめ、具体的なドラフト候補は次回に記載したいと思います。

○デプスチャートから考える補強ポイント

 ファイターズのデプスチャートを見ると、例えば投手なんかは頭数だけなら各年代満遍なくいるんですよね。ただ、投手は何人いても足りることはありませんし、そもそも一軍の戦力になり得る逸材が少ない等、数多の補強ポイントがあることは明白でしょう。特に、外国人投手の入国が遅れたことで浮き彫りになった和製ローテの悲惨さは、ファイターズ界隈を連日賑やかにさせております。

 投手で真っ先に補強ポイントとして挙がるのは、絶対的なスーパーエースでしょう。有原投手がレンジャースへポスティング移籍し、今季の開幕投手は上沢投手が務めますが、他球団のスーパーエース(千賀投手、山本投手、田中投手など)と比べると、実績、実力ともに見劣りします。現在チームには期待の若手投手がたくさんいますが、上記のエース達と肩を並べるようなポテンシャルがあるのは伊藤大海投手くらいでしょうか。吉田輝星投手、河野竜生投手のドラ1コンビもトッププロスペクトとの認識ですが、将来的にも強豪球団の強力な2番手というイメージです。個人的には高校生、大学生問わず、スーパーエースのポテンシャルを備える投手がいれば年代やデプスを気にせず迷わず獲得すべきだと思います。細かい条件を設定するのであれば、180センチ以下の投手は沢山いるので、185センチ以上の投手で、150km/hを安定して投げる(将来的に投げられそうな)投手であればベストですね。

 また、深刻なリリーフ不足にも直面しております。守護神石川直也投手の手術の影響もあり、セットアッパー格は宮西投手、堀投手、玉井投手の3名しかおりません。加藤投手、杉浦投手の起用法にもよりますが、現状の先発不足を鑑みると先発調整がベターだと思います。悲しいことに、ファイターズの特徴として、フレキシブルな起用法にした結果どっちつかずの選手が多い印象ですね。個人的には①出力の高いパワーピッチャー②左殺しのような変則ツーピッチ③マネーピッチがなく先発には力不足だがモップアップ的な役割を期待できる1.5軍、の3パターンはリリーフ専で問題ありませんが、その他は一度先発挑戦にして欲しいです。特にファイターズは①のパワーピッチャーが劇的に不足しているんですよね。ソフトバンクなんかは入団後スピードアップする投手がゴロゴロいるので、何らかのメソッドがあるのでしょうが、ファイターズはむしろスピードダウンするケースすらあるので、獲得してから育成するのではなく、すでに速いパワーピッチャーを獲りにいくべきでしょう。幸い、変化球をチームメイトに教わりレベルアップする風潮がありますので、細かい技術やマネーピッチについては後天的に学べば問題ないでしょう。具体的には、感覚で申し訳ないのですが、ドラフト時にMAX154km/hクラスをひとりは欲しいですね。感覚なのですが。


 野手については、ファイターズファンは昨年捕手、遊撃手、三塁手、中堅手あたりにヤキモキしたのではないのでしょうか。流石に補強が必要と感じたフロントも、2巡目で五十幡選手、3巡目で古川選手、6巡目で今川選手を獲得しました。五十幡選手、今川選手は中堅手を守れるので、春季キャンプ好調の浅間選手、昨年の秋に猛アピールしていた育成の宮田選手を加え、昨年に比べると相当層は厚くなったと思います。現レギュラーの西川選手は、休息も兼ねて指名打者で出場することもあるので、ある程度の出場機会はあると思います。しかし、五十幡選手はまずはイースタンで多くの打席数を経験する必要がありますので、前半は浅間選手と松本剛選手で出場機会を分け合う感じでしょうか。今川選手は交流戦くらいから1軍に昇格することもあるかもしれません。
 ただ、22歳以下の外野手が万波選手しかいないので、有望な高校生がいれば獲得したいですね。細川選手は外野手コンバートも想定されているのかもしれませんが、純粋な両翼大砲系でも、アスリート型の中堅手でも、積極的に獲得したいです。

 古川選手を加えた捕手については、清水選手、宇佐見選手で出場機会を分け合い、古川選手は五十幡選手と同様にイースタンで沢山打席を経験することが必須だと思います。特にキャンプでは差し込まれることも多く(まだ数打席ですが
)、まずはプロの速球のスピードやゾーンに慣れることが必要ですね。昨年と1軍メンバーに大きな変化はありませんが、そもそもいきなり1軍で通用する捕手なんてそうそういませんからね。昨年度のアマチュアナンバーワンは古川選手ですし、昨年大きく躓いたとはいえ、清水選手を超えるポテンシャルの捕手は滅多にいません(私はそれくらい高い評価をしています)。なので、捕手に関しては、フロントはできる限りのことをしていると言っても良いのではないのでしょうか(少なくともドラフトについては)。捕手豊作の2019ドラフトで獲得しておくに越したことはありませんでしたが、当時は清水選手が順調に伸びており、先発投手がエセオープナー等をしてボロボロでしたので、仕方ないと思います。したがって、今季の1軍捕手事情については、清水選手のバウンスバックと古川選手の上澄みに期待するしかないシーズンですね。

 内野手については、清宮選手、野村選手、樋口選手というコアになり得る三大長距離砲が本格化するシーズンでありますので、一塁手、三塁手、指名打者の三枠を中田選手を含めた4人で回し、常に調子の良い選手を起用するので問題ないと思います。清宮選手については伸び悩んでることもあり、非常にバッシングを浴びていますが、いまだに圧倒的な才能に疑いの余地はありません。まわり道することがあるとしても、ファイターズのコアとなる選手であることは間違いないです。余裕があればこの三選手に続く大砲が欲しいですが、今年のスラッガーは上位で消えそうなので、投手等の他の補強ポイントを優先すると難しいでしょうね。
 課題は二遊間でしょうか。現レギュラーの渡邉選手の競争を煽りたい気持ちもありますが、まずは固定できていない遊撃手が優先ですね。しかし、中島選手、平沼選手、石井選手と、1.5軍級がダブついているので、ダブつきを一掃するようなコアになり得るハイシーリング型の遊撃手(打撃でアドを作れる大型遊撃手がいれば獲得したいです。特に守備型であれば1軍に中島選手がおり、イースタンには上野選手が控えています。本来スラッガータイプの大型遊撃手石井選手は、起用法もあり非常に苦しいシーズンが続いているので、今季が正念場という気持ちで挑んでほしいですね。

○補強ポイントを踏まえたシュミレーション

 総合すると、
・スーパーエースとなり得るトップクラスの投手
・MAX154km/h前後のパワーリリーフ
・万波選手に続く高校生外野手
・打撃でもアドを作れる大型遊撃手
 あたりでしょうか。
 センターラインとなるエース格の投手及び大型遊撃手は非常に人気であることが予想され、1巡目か2巡目を使う必要がありそうです。遊撃手はダブついているので、中途半端なハイフロア型を指名するのであればパワーリリーフや高校生外野手にシフトしても良いかもしれません。社会人リリーフは下位で拾えることもあるのに対し、高校生の外野専は浅間のようにトップクラスの評価を受けていても3巡目まで残ってることがありますので、中位指名の枠はリリーフ<高校生外野手ですかね。
 上述してませんが、上沢投手や山本由伸投手のように下位で素材型の投手もひとり取れれば嬉しいですね。根本投手を昨年獲得しているので左右に拘る必要はなく、残ってる中で一番良いハイシーリングを選ぶので良いと思います。玉井投手のような、当たれば儲けもの的な下位の即戦力投手もありかもしれません。
 ここまでの話を踏まえ、次回は具体的なドラフト候補を当てはめていきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。

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