次に買うべきオーディオインターフェイスについて少し

仕事に使うコンピュータは2013年レイトバージョンの27インチiMacです。そこに至るまで、およそ4年ごとに機種の交替を続けてきました。パソコンの遍歴はここで語りませんが、今までで一番長く使っているのがこちらになります。そして今もその画面を見つめています。

音楽業務用途では、もう10年くらいはトランスクリプション(いわゆる耳コピですが譜面に起こします)による研究と、譜面納品での編曲、あるいは自分が弾くべきパート譜浄書とか、一言でいえばFinale(譜面ソフト)が使えればそれでいい感じでした。

写真が趣味だった時代もあったけれど現在はそれほどでもない、と言いつつAdobeがサブスクになる前に購入した古いPhotoshopやIllustratorが稼働してくれなくては困ることも多いので、OSのアップグレードはMojave(10.14だから2世代前?)に留めています。ほとんど何も困らないし、当面は引き続き使っていきたいのですが。

RME

今は音楽再生にRMEの初代Babyfaceを、練習環境としてPC内やiPadアプリ、ハードウェア・シンセサイザーとエレキベースの音をミックスするためのヤマハ製ミキサー兼コンバータ(メーカーはウェブキャスティングミキサーというカテゴリーを与えています)をUSBで接続し、これらにもまた基本的には満足しています。音楽はBabyfaceから良好な音質で聴くことができ、オーディオシステム内のプリアンプの入力セレクターを1ノッチ捻るだけでヤマハAG06に切り替えて、接続した機器をすぐにモニターできます。

しかしながら、録音というものを、今年になってちょぼちょぼと始めてしまってからというもの、機材の更新を図りたくなってきました。音楽製作なんてやってなくて、単に楽器の音色の違いを客観的に評価することのできるシステムであればとりあえず用は足りるのですが。

現状RMEを持っているのだから使えば良いと言われそうです。その通りです。考えてみれば、ひゃぁ! 買ってから一度もADコンバータとして使ったことがない。ここで振り返ってみると、Digidesignの002をWindowsのノート(用途に合わせて結構スペックのいいやつで26万くらい出した気がする。ちなみにXP)でライブをマルチで録ったり、また制作というような場合にはYamahaのGO44(Firewire接続)を主としてCubaseで使っていました。その頃もこの2頭立てでうまくやれていました。

そうした活動内容から離れていくとともに、そのためのウィンドウズマシンからも疎遠になり、デスクトップには脈々とAppleのマシンがいましたから、そこで使うためのBabyface導入となったのが簡易的な履歴です。最初から再生用としてしか使ってないんですね。

だから今DIの音質比較なんてことをやるのに、単純にそれを使えばOKなんですが、この機種はブレイクアウトケーブルを使わないといけなくて、それがずっとアンバランス用のセット(フォン端子)が刺さっていて、バランス用のを引っ越しした時の荷物の中から探し出さなくてはならないのですね。でもバランス用にしてしまうとモニターアウトもキャノン端子になります。するとそれを今のシステムに適合させるケーブルも調達しなければなりません。そうしたことが面倒であり、機種も古いし、もごもご…となっているわけです。

昨年、出先からオンラインレッスンを行えるように、iPad miniからiPad airへ買い替え、それでもちょっと問題があったため、慌てて2020アーリーバーションの一番安いMacBook Pro 13インチを、よく考えずに公式のB品リストからスパッとポチりましたが、USB3が2個しかないくせにひとつは電源に取られ、なんと1個しか機材繋げられない、なんちゃって"pro"でした。今の所はほぼほぼ遊ばせているので、こっちを何か最新のコンバータで音楽製作に使えるようにしていきたいというのが、趣旨となります。

ベンチマーク

ひとまず候補はRMEのUCかUCXです。それこそ2012年くらいにはあった機種ですから、うちのiMacとは同世代、それが今でも現役というから信頼できます。これだとbabyfaceと入れ替えという感じで、新しいMacbookにベストマッチかというには的外れです。しかしこの値段出せばこれくらいのものが手に入るというベンチマークには最適ではないでしょうか。安い(古い)方のUCで、サウンドハウス価格にポイントを勘案すれば12万円と少し。ですから、予算制限は実質的にはありませんが、10万以下で探したい、それでUC/UCXより良かったと思える、なにがしかのメリットを(金額以外に)見いだせる製品を探してみたいと思います。

使用環境と求める条件

MacBook Pro / クアッド intel core i5 1.4GHz / 8GB メモリ / ストレージ250GB SSD(要するにミニマム仕様です)。モバイル可能で高品質な録音機として使う。DAWとして音楽制作をフルに行うかは不明、従ってソフトシンセ類を走らせることは、当面考えない。モバイル性と矛盾するが、外付けのマイクプリアンプやDIなどは積極的に使ってみたいので、アナログ部の本体性能はハイエンドである必要はない。2 in 2 outでも可。ヘッドフォンアウトの質は高い方が良い。iPadとの連携が取れると、なお良い。メインのホストアプリはLogic Pro Xだが、オーディオリージョンを切り出す目的では使えるものなら何でもよい。ハイレゾのスペック競争には乗っからない。

YAMAHA

先に、Yamaha GO44を使っていたと書きましたが、あれは良かったです。2chのラインインプットのみで、中庸なマイクプリなど捨ててAD / DAコンバータに専念した潔さが好きでした。4万弱でなら音もトップレベルと言われていました。その線で探すならば、当然Steinbergになるでしょう。

Steinbergにはチャンネル数で幅広いラインナップがありますが、中に変わり種としてニーブのトランスを積み、入力に対しオン・オフできるUR-RTというシリーズがあります。マイクプリアンプは他の機種と同じようです。SteinbergはYamaha製ですから、私が使っているAG06と同じプリアンプ(D-preと呼ばれています)が搭載されているので、メーカー間比較としては同じ音がすると、かなり大ざっぱですが言ってしまえると思います。その仮説を前提とすれば、AGシリーズよりグレードアップを図りたいので、そこにトランスがビルトインされているとあっても、本質的には魅力に映りません。ちなみにRTの4インが7万円ぐらいで、トランスを省けば同等品のUR44Cが半額以下です。2chの方もそんな感じで、トランス一個が8〜9000円相当となりますね。その価値はあるでしょうか。Steinbergから選ぶのであればUR24C(Soundhouse価格でポイントを予め減算すると22000円以下です)で十分な気がします。ただし繰り返しますがAG06の、形を変えただけという見立てに対し、購入意欲は湧きません。

SSL

この価格帯でも捨てたものではないと評判なのがSolid State LogicのSSL2 / SSL2+ですが、こちらは先頃友人が購入し、その4Kスイッチの効果も含め大満足だそうです(生楽器を収録し音楽作品としてYoutubeにアップしている編曲家の方です)。また、あるトッププレイヤーの方が、ご自身のソロライブをやる時のオケを流すために2+を購入したとおっしゃっていて、A/IFのお勧めを伺った際に挙げて下さいました。サウンドファイル納品じゃなければこれで十分なんじゃない?とのことです。むろんそれは商業ベースの話です(プロレベルという意味ね)。

というわけで、候補の筆頭に上がりますが、どちらが良いのか。両者の違いはヘッドフォンアウトが1つか、独立したレベルコントロール付きの、つまりセルフレコーディングではない状況に対応する2つなのか、という点、またMIDI端子の有無となります。ポイントまで計算に入れれば差額は5千円弱です。重量差は意外に少なくて20g(笑)。私だったらヘッドフォンアウトは1基でいいので安い方を選びたいところですが、MIDIは要るケースが考えられなくもない…、という意味で、まぁどっちでもいいや。

UA

そのトッププレイヤーの方が、「サウンドファイル納品」言い換えれば作品制作ですかね、にも十分と見ておられるのがUniversal AudioのApolloシリーズでご本人はラックのを使用されているとおっしゃっていました。UAは搭載するDSP(SHARCプロセッサー)を2基積むと10万円を超えます。そのレンジだと、頑固者の私はRMEのUC / UCXと強烈に迷うことでしょう。またはBabyface Pro FSのことも気にしなくてはなりません。むしろ異なるレンジから選出することで「試す」ことができると思います。制作意欲の高まり、まぁ物欲ですが、よしやるぞ、っとなったら予算を組み直せばいいと思うのです。で、その時は、笑われるかもですがSteinberg AXR4Uを候補に入れたいと思っています。これにはヤマハ製のハイグレードなプリアンプにニーブのシルクプロセッシングを加えることのできる個性的な入力セクションが用意されます。ただのロマンですが。

ただね、アポロ買ったとするじゃないですか。それに替えてAXRとなれば追加の25万強ですよ。実はもう一個、ずっと気にしてる機材があって、それはSSLのSIXという名のミキサーで、例のバスコンプも搭載される民生用としてはハイエンドのモデルで、18万くらいします。そうすると7万くらいの「ずっと使える」IF買っといて、本気出した時にミキサー買うってのはどうか?と考えれば、アポロのシングルプロセッサーを積んだSOLOが強力に浮上してくるのです。

Apollo Soloは、UADソフトウェアを$1300以上のバリューでバンドルしたHeritage Editionと、そこを最小限に抑えたモデルが併売されいて価格差は2万円くらい。プロセッシングの能力がシングルであることを思えば、あまり力を入れてもしょうがないかなと、思います。そしていずれにしても欲しいニーブのイミュレーションが$149〜全部入れの$1199まで。ひとつは買いたいので、先の投資を抑えておきたい、というわけでUniversal AudioならばApollo Soloのレギュラーバージョン(Soundhouseでは扱い終了しています)がぴったりになってきます。いかがでしょうか

いろいろ屁理屈をこねくり回してきましたが、Macbook専用で使うモバイル可能なオーディオインターフェイスということで、アポロ・ソロを第一候補に、あるいはSSL2(plusかどうかは保留)という風に候補を絞って参りました。両者の価格差は倍ありますので、安いSSLを、なんかちょっと気を紛らわしたいような時にポチってしまうかもしれません。その辺は勢いだけですので、今はなんとも言えません。そして、MOTUだとかFocusriteだとか、はたまたTascamだとか、色々ありますがそうしたものはまだ開拓していません。RME行っちゃうかもしれませんし、Antelopeにするかもしれません…。全然先のことはわからないのです。でもまぁ…、10万以上使うことは考えられないな…、回収できる気がしないので。というわけで今日はここまでです。ありがとうございました

PS: Universal Audio製品を始め、Rupert Neve Designsも取り扱うHookup, inc.のウェブサイトにRupert Neveさんへの追悼文がよせられていますのでご紹介します。

https://hookup.co.jp/blog/733159





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