恐るべしgoogleの巻
noteに記した内容に関連する広告が出ることも、そこまで監視社会化が進んだことを端的に示す事例ですから、しょうがないと諦めて対応した生き方を受け入れるしかありません。ただ、これから書くことについては驚きを禁じ得ません。googleと書きましたが、具体的にはYoutubeです。
昨年より、教室にお越しになるのが不安という生徒さんとオンラインレッスンを実施しています。我々が使用するWeb会議プログラムでは、通信によるタイムラグが防げないため、先方に楽曲の簡単な伴奏音源を作って送ったり、譜面もそうですが事前のやり取りを必要なことがあります。また、技術的なトピックに重点を置いた場合の模範演奏を、オンラインで見せても画像の滑らかさに、環境によっては問題が起きて、動作を示すことができません。そうした場合にはあらかじめ動画を撮って、ご覧いただくようにしています。
その場合、1対1のやり取りだけではありますが、データの受け渡しが難しいため、非公開でYoutubeにアップし、URLを送って見てもらいます。Youtubeは再生スピードのコントロールができますので、テンポを落としてよく観察すれば、こちらの意図している弾き方を理解してもらうことができます。
というわけで、オンラインレッスンの開始をきっかけとして私もYoutubeへ、これまで7本の「弾いてみた」動画を上げております。これらは今後も該当の生徒さん以外へは非公開です。
撮影はスタジオ(教室ですが)のPAから伴奏を出し、ベースアンプから音を出して弾き、iPhoneに外部マイクを繋げて、一応できるだけ良い音で収録できるよう努めています。その素のデータを、一切加工無しの録って出し状態でアップロードしています。
音楽教室で使用する既存の楽曲には、親会社から権利者へ認可の申請を済ませてありますから、それを教材とすることは合法です。禁じられているのは楽譜のコピーですが、そこはテキストを購入いただいているので問題ありません。
で、今回の事例ですが、ある方がご自身で組んでおられるバンドで、ここ2、3年で急速に売れた邦楽の、とあるバンドのシングル曲(私は知りませんでしたが)を取り上げることになったと相談されました。大半がシンセベースで、エレキベースは演奏されていますが、その部分はスラップの重ねであったり、かなり凝った音作りをされていて悩まれています。教材として使用する許諾は申請しておりませんが、生徒さんが自ら弾こうとする教室外活動の支援という、勝手な言い訳で、あくまで「助言」を行っています。
本人からスコアブックをお借りし、回し読みの体ですが、見させて頂き、楽曲はYoutubeで再生し、部分部分で何が起きているのか確認しました。オンラインで相談しながら、ここはこう弾こう、こっちは休もうなどと、シンセベースのラインを音域を変えて採用したり、スラップの難しい部分などは指弾きで弾けるように直したり、色々手を加えて、その方がバンドで弾けるようベースラインを決めていきました。
その過程で、私の方でFinaleという楽譜を作成するソフトでベースラインとそのTAB譜を含むパート譜を作成してpdfで送り、Finaleにはコードを記入していますので、それらを含むオーディオデータの書き出しで参考音源とカラオケ音源を作って送りました。
その後、この曲についても動画を見たいというリクエストがあったため上記の方法で、私自身で作った、ごく簡便なカラオケに自分の演奏を乗せて収録した動画を、Youtubeへ上げたのが昨晩のことです。長〜い前振りすみません。一応、私は、私の意志で「弾いてみた」動画を作成し、一般公開を控えながらアップロードした、までの顛末です。ここから本題へ進みます。
さて、5分の動画が15分くらいで送信されている間に、よくわかりませんが内容が検閲されていたようです。私は、コード進行を打ち込み、Finaleが勝手にボイシングした和音が小節の頭で鳴っているのと単純なメトロノームを聴きながら、シンセベースを1オクターブ上げた白玉中心のベースラインを弾いています。当然主旋律(ボーカルのメロディライン等)は含まれません。またスコアに乗っていたコードが例えばC7(b9,11)のようなヘンテコな記述があって、それならばGm7(b5)onCのように妥当だと思われるコードシンボルへ直しています。私は本質的にはスコアブックのライターを信じていないからです。
アップロードが完了するやいなや、「著作権侵害の申し立て」が届きます。驚きました。4:54の「コンテンツ内の対象範囲 2:22 - 4:46」で「動画でこの曲のメロディーを使用」とあり、楽曲名を言い当てています。ここで言うメロディーとはベースラインを検知してのことと思われます。あとはテンポとコード進行、楽曲の尺でしょうか。恐ろしい監査能力です。
過去の動画で、これらのコーションには馴染みがあります。ただし、いずれも楽曲名を記入し、アーティスト名もタイトルに含めています。教室で使用するように作成された音源をバックにしていますが、打ち込みによる完パケからベースをマイナスワンして使用していますのでメロディが演奏されます。しかし今回は、動画のファイル名、IMG 1851をそのまま動画のタイトルにしていて、鳴っている音はコードとベースとメトロノームだけです。
もちろん、抵触していても権利違反ではなく、収益化ができない旨の報告ですから利用に問題はありません。著作権者はMuserk RIghts Managementと、JASRACが米国での著作物閲覧に関して業務委託した団体の名前が書かれていますので、ここの技術なのでしょうか。だとすれば「恐るべし」はgoogleじゃないですね、まぁいいや。
もっとも、楽曲特定の技術で著作権フリーの音源をアウトと見做すこともあるようで、万能では無さそうです。そうした場合、動画主は異議申し立てをするようですが、webに上がっている体験談を散見する限り、概ね正当に取り扱われているようです。
私も微小なりとも印税を得ているミュージシャンの端くれですから権利保護に関して正しくありたい、扱われたいとは常々思っています。包括契約が平等な分配を保証するのかどうか、そうしたいくつかの問題点に関心を寄せています。同時に自身が権利侵害とならないよう、もちろん自分の仕事も守っていかなければなりませんが、最大限に気を遣っているつもりではあります。それにしても著作権管理業者のYoutubeパトロール能力は今や凄まじいレベルなのね、と改めて思いました。
ちなみになんですが、 アース、ウィンド&ファイアの楽曲が2曲ありますが制限を受けていません(著作権侵害の可能性を指摘されていません)。不思議ですね。
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