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ベース弦を買ったの巻

手汗をかかず、かえって乾燥による肌荒れに悩まされたり、さらさらと滑りすぎるネックの感触が嫌だったりする質なので、弦が死にません。ベースの弦が全然古くならないんです。大抵、ベースを入手した時点で好みのものへ交換し、恐らくはそのままずっと使い続け、数年の後には結構な確率で海原へ放流されます。弦を替える時は、例えばオーダーメイドのベースが完成した後、音色がもうひとつピンと来ないなんて時に、どの銘柄がフィットするか試すくらいのことで、これはというものと出会えれば今述べた通り、安定利用のゾーンへ入ります。そういえば、フレット擦り合わせの時は新しい弦に替えますね。それくらいです。

弦はダダリオのニッケルが業界ド定番なのは承知ですが、これがデフォルトでついてくるベースは、まず張り替えです。なんも悪いことはありませんし、優秀な弦です。安いですし。またダダリオというメーカーは敬うことのできる存在です。にも関わらず、真っ先に付け替えることがカスタムの第一歩である理由は、私にとって、確実に好みの音へ変化させられる別の弦が存在するからに他なりません。簡単です。ステンレスでないと嫌だからです。

一般に、ニッケル弦は、主観ではしなやかな音と手触りですが、ステンレスはごつい、ざらついた印象があります。もしかすると汗をかかない事とも関連があるかもしれません。ワイルドな音と感触がステンレス弦の魅力で、私にとって、ニッケルは洗練とか、酷い言い回しで申し訳ないですが、去勢されているイメージです。飼い猫的な。ごめんなさい。先に謝ります。言葉の綾です。猫も大好きです。

テンションバランスって、これを読まれている方はおわかりだと思いますが、そこも気にしません。最初からそういうものだと思って弾いてきたからです。もちろんネックにとっての負担を思えばD線が軽かったりすればよろしいと思います。でもまぁ、弾く立場からすればリニアに太さが変化する方が、私は気分がいいです。ネックの捻れは、信頼できるリペアに回してフレットの摺り合わせなどでなんとかしてもらいます。

楽器にマッチするかどうかで使い分けていますが、お気に入りの弦を紹介します。Sadowsky Black Stainless 045 065 085 105 130です。サドウスキーの純正弦は青パッケージと黒パッケージがあり、それぞれダダリオ、ラベラのOEMだと聞いています。それぞれメーカーが市販するどれかと同じものであるかどうかは不明で、もしかするとロジャーの指定するカスタムかもしれません。ステンレス同士で比較しても黒の方が、ゴリっとして男前な気がします。手触りも好きです。楽器が出荷される時のデフォルトは青のようです。

しかし困ったことに、SadowskyのNY組み込み以外の製品が概ねWarwickに委ねられるようになる決定とともに、これらの弦が生産中止となりました。非常に困っています。市場に残る流通在庫も尽きつつあります。昨日のJBで手持ちの最後を使い切りましたので探してみます。

イケベ楽器店にあるようで問い合わせしました。4弦用、5弦用問わず、ブラックのステンレスがあれば全部くださいとメールしました。結果、5弦用が2セットあったので購入いたしました。とりあえずは安堵です。

もうひとつ好きな弦はDRのFat-Beamsになります。マーカス・ミラー・シグネチャーモデルとして導入されたものです。サドの黒はタイトでソリッドですが、こちらは少しバウンスするような弾力を音色の中に感じます。手触り等弾き心地は好みです。4弦のフェンダータイプに合うと思って使っていました。マーカスがDRからDunlopへ移った時、どの弦だっけと迷いました(多くが「なんとかBeam」というネーミングなんで、何ビームかわからなくなった)。信頼できる楽器店でこれですと教えていただき、事なきを得ました。

6弦だとKen SmithのRock Masterシリーズも好きですかね。文句ないです。テイパーコアよりも好きです。Fベース純正のようにプレーン弦になってしまうと、指が接触した瞬間に弦が回転する動作をするので、少し気持ち悪いです。それよりはマシですが、私は太いままの弦が好きで、できればブリッジのボールエンド側からサドルまでの距離を長く取り、弦を極力曲げないセッティングで張りたいです。それができないから細くするのかなとうがった見方をします。弦は端から端まで同じ質量を保って欲しいと考えています。サドウスキーのB線はテイパーコアだったですね。

ピッキングの仕方と求める弦というのは相関があるかもしれません。私は指自体をバットのように根元から大きく振る方法で、指の軌道上に置かれている障害物としての弦を弾き飛ばすイメージで演奏します。指の途中の関節は、ひとつのストロークの中では使わないように心がけます。弦に指が深く当たると、あるいは厚みを持って接触すると、指の方が逃げないと弦のいる先まで進ませることができません。従って、私は指の先端付近で、微かな厚みで接触させます。そうすると弦のたわみで跳ね飛ばされてくれ、指は本来の軌道でストロークを終えられます。

このスタイルでは、指と弦が接触するのはインパクトの瞬間だけです。一方、深く弦を掴んで指がしなりながら弦から離れていく(その分途中の関節が動いて指の姿勢を変化させます)スタイルでは、弦に触れている時間は長くなります。後者の方が高域成分が出にくい分、「太い音」と形容され、好む人も多いかもしれません。ただ、その損失をニッケル弦はうまく補填するような音色傾向を持っていると感じます。そのように触れている時間が長ければ汗をかきやすい人であれば弦への質的な影響も少なくないでしょう。従って、張ってから数時間で弾き手には「死んだ」と思わせる変化を感じさせます。であるから、品質良く安価であるダダリオ・ニッケルは好まれる。というのが私の推論です。気に障る方がおられましたら本当にすいません。不確実な邪推であり戯れ言です。

私には、私の耳でこれがいい音というのがあって、それを生む奏法があります。その弾き方で弾けない楽器がストレスを招きます。昨日のネックダイブの件も悪しき要因のひとつですが、右腕を楽器に掛けないで弾きたいという性向は、このピッキングスタイルを行いたいが為です。と、弦の話から飛びましたが、選ばれる弦と奏法には、若干関連があるような気がすることを、書き始めてから思い立ちましたので、遠慮無く喋り散らしてみました。失礼いたしました。



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