見出し画像

予想通りたいへん良かった

少し前のことではありますがdemeterのbass400というモデルを買いました。800の流通は時々見ますが、400の出物は珍しく、長年張っていて漸く網にかかった時、全般にものの値段が上がっている例に漏れず、中古でもそう安くはなかったです。

一般的には4Ω400W/8Ω200Wでは足りないとされるようで、800には新品の流通で大差付けられている気がします。でも私の使用環境でちょうど良いのはこちらです。

多くの現場で、さほど大音量を必要とされませんし、なんなら高出力アンプは持っています。200W(8Ω)クラスは8〜90年代に一般的だったはずが、スペック競争で劣勢に立たされ、Dクラスアンプ全盛となってからも極端に小型か、オーバースペックなものに2極化する傾向の中で、中間機種が人気薄となる傾向は、ある意味、安直な「大は小を兼ねる」思想の蔓延か、無責任な風評被害が原因と見ています。

アンプヘッドにはゲインとマスターとラベルの貼られた、大ざっぱに言えば入力のセンスを決めるつまみと、スピーカーを鳴らすための音量つまみが備わることが常識です。私たちが現場で使用する殆どのベースアンプ、持ち込みでも備品でもレンタルでも、メジャーな機種は、おおよそゲインを10時ほどにしてマスターも10時くらい、といった、かなり抑え込んで鳴らすことが多かったのです。

ゲインの設定はそれでもいいかもしれませんが(正午より上は歪ませたい人向け?)、マスターとは実際にはパワーアンプへの入力を制限するつまみですから、こんなにもパワーを無駄にしているというのが実情です。余裕があっていいとか言う人もおいでになりますが、使用環境によって不要であるならば電気を食わす必要はないと考えます。現場って結構、マックスの電力量低いことがあり、たかがベースアンプヘッドに1200W使わせるとかバカバカしい。アリーナクラスなら別ですが。

ディミーターのハイエンド・プリアンプのことは30年以上前?から知っていましたが、最高だ、と実感した経験も無く、息の長い信頼のブランドだと思う程度でした。単純にフロントエンドの素子は真空管であることを支持しないし、それならそれで、より魅力的な音の出る機材を他に知っています。

けれど、トータルで見て、このbass400の設計は、スペックで見てぴったりだと思い、使ってみて確信を得ました。やっぱり頭いいよ、最高。

プリ部は、そのレガシー機種と同等の回路らしく、音質はクラシックでもあり、悪くはないです。ベースアンプって気がするし、パッシブのEQらしいけれど、その使い勝手はプレイヤーに寄せてあり、音造りに不満無し。あるいはそのシンプルな操作性で、自由度を得ているのは上手な設計です。

そして、D級アンプの出力がちょうど良く、この機材にはマスターボリュームを設けていません。言ったら、マスターをフルアップにしている状態で、ゲインノブのみで、入力感度と共に聞こえる音量すらも調整することになりますが、何度も言うけれど、プリアンプゲインを楽器出力とマッチさせるだけで、8Ωスピーカー1台を繫いで、聴取位置で欲しい音量が得られる、このジャストフィットが秀逸です。これまで、願っても中々叶わなかったことが実現しました。

そんなわけで、小声も使って歌う人がいたり、管楽器がいたりといったバンドで大人な演奏をするシチュエイションなど、これ以上ないベースアンプヘッドであります。

そしてやっぱり400と800あるのが偉い。だいたいは400が合うと思いますが、ディストーションギターやらツーバスが常識のラウドバンドに在籍するベーシスト向けには、メーカーから倍のモデルが用意される周到さ。しかしこの400でもスピーカーキャビネットが4Ωだと、ゲインノブは9時くらい。組み合わせるスピーカー次第で十分うるさく使うこともできます。

ジェンセントランスのオプションを付けると、PA送りの音質が向上させられるらしいですが、それでなくてもバランスアウトは普通に良い音で機能しています。全然評判良かったですよ。プリEQでも事実上「真空管DI」だからね。ジェンセンは、たぶんレコーディングを視野に入れた選択肢なのでしょう。むろん付いていたなら喜びは増したかもしれません。1個だけ不満を上げるとしたら専用の運搬ケースが欲しい、ということくらい。今回はボストンバッグに入れてました。

本番でのつまみ位置
椅子の下は入れてたバッグ
木枠に入っているので3.5kgありますが軽いことには変わりありません

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?