懲りずにまたMTD弾いてみた

渋谷で少しだけ時間を潰さなければならなかったため、楽器店に顔を出しました。前に行ったのがいつだったか思い出せないくらい久しぶりです。

覚えの良さで標語化している16mm / 34inchの6弦の情報を採取できればいいなと考えつつ、Ibanezなんかも実際弾いてみたりしたいと思っていましたが、その方面は売ってないお店に行きました。しかし意外にもMusicman Bongo6HHが在庫しており、弾いたことがなかったので試奏させていただきました。やはり細ネックとは言えない、ややスリムな普通のネックという感じで、18mmピッチのブリッジに最適化されているサイズに17.5mmのブリッジ搭載なのが若干不満なのと、音質的にはBasswoodの粘りがちょっとタイプじゃない気がしました。これは個性ですので望ましい人もいるかもしれません。低音は強力と言っていいくらいよく出ています。

それを皮切りにオーダーするならどこ?という質問を振ったりして、こちらの知る以上の情報は得られませんでしたが、見ている中にMTDの凄いのを発見してしまい、優先すべき楽器では無いのですが弾かせていただきました。

何が凄いって、トランスブラックのバースト塗装されたネックに鱗が透けて見えるのです。かなりヤバい奴です。背中に紋々背負ってるみたいな迫力があります。

聞いたところキルテッドメイプルでした。信じられない。ネックに使っていい材じゃ、基本的にはないはずですが、これは使えるという個体を見つけてスペシャル用に取っておいたということでしょうか。25周年モデルでした。

ネック材として使用されるシュガーメイプルではキルト杢は出ないと聞いていたので、たぶんもっと全然柔らかいはずの樹種で、アッシュネックで学習を重ねたのか、チタンロッドを信頼しているのか、詳細は知り得ませんが、何しろベース界の「鉄人」マイケル・トバイアス(ダニエルかもしれませんが)の眼鏡に適う素材を惜しげも無く使用しています。5弦ベースに対し、フラットソウンのワンピースネックです。生まれて初めてそんなものを見ました。

二度とお目にかかれないかもしれない超希少品を弾かないわけには行かないので試奏をお願いしました。逆反り気味を少しだけ修正し、ということは動きはある、ということなのでしょうが、調整すれば普通です。今この時期ということで不安定さが出ているのかもしれません。トラスロッドの調整口部分を隠すウッドパネルが、少し膨張しているのか外すのに手間取っておられました。MTDあるあるだそうです。

モデルはSuper5という、HBを2個、ブリッジ寄りにくっつけて配置した、ある意味Stingrayっぽいところを狙った、いつもの535とは異なる電装系です。

PUはダブルコイルで、パラレル / シングル / シリーズのタップスイッチがそれぞれにあります。そしてコントロールレイアウトが通常の535系と同様なのですがスタックポットが1つあります。こちらはトレブル・バスのEQで、ミドルはプッシュプルのSW付きとなっていて周波数を切り替えられ、もう一つの、通常トレブル・ポットが置かれる場所にはパッシブトーンカットが装備されます。

このマスタートーンは一番弄りやすい場所にあって、かつアクティブ時にもちゃんと利かせられます。これこれ。私のいつもの奴。アクティブの楽器でもトーン絞りたい派なんです。MTDがやってくれていたとは!

隠された機能を探すべく、全てのポットを引っ張ってみたところ、驚くべき事にボリュームポットはアクティブ / パッシブの切り替えでした。パッシブが使えるMTD!!☆5個差し上げます。

Super5の、例のPUレイアウトは、じゃぁどうなのかと言えば、ネック側のみにしてもPBなどよりブリッジ寄りで、これは1PUで拾うなら理想の位置と思います。アバウトな見立てですが、各PUの内側同志を接続すると、通常の535系のブリッジPUと同じような位置になりそうです。シングルにタップしたとき、どちらのコイルを生かしているかは確認しませんでしたが、まぁ普通は外側同志ですよね。

MTDは皆、MTDの音しかしませんが、これは様々なトーンが出せます。ジャジーな音楽にぴったりな気がしました。私は当然19mmピッチの5弦を嫌悪すらしつつ、35インチは眼中に無いと、視野を狭めて生きているのですが、ちょっとこれは欲しいです。ボディはアッシュ単板でトップ材無し。さらにエボニー指板とのコンビネーションが好みのサウンドに貢献しているのかもしれません。剛性の低いソフトメイプルで作ったネック(世の中にはマホガニーネックもありますから大丈夫なのでしょう)に組み合わせて、いやぁさすがにトバイアスのウッドレシピは完璧だわと驚嘆するほかありません。

そのほかに635を1本、535を2本在庫されていたので、この時とばかりに計4本弾かせていただきました。個体差が激しいと言われるMTDは、同じフォーマットで木材のみのアレンジでこれほど幅広い、「別の」楽器を作ってしまうので、やはりオーダーはリスキーかなと感じつつ、逆に、もしもぴったりなトーンを持つ個体と出会ったならば買っておくべきとも思います。弾き心地もそれぞれ違います。535系で言うならアッシュボディは私にはトゥーマッチな抜けで、弾いた中ではアルダーのものが好きでした。でもSuper5だといい按配です。本番30曲以上、間違わずに弾けるかな?というのが未知数ですね。

michaeltobiasdesign
#Super5 #transblack figured ash body with a quilted #transblack neck, ebony fingerboard and titanium inserts. Growly and aggressive with a great low end and a bright snappy response.



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