Walインスパイアド

ToolのJustin ChancellorのシグネチャーモデルがWarwickで製作されたとき、エレクトロニクスは、どなたの意向なのかは不明ですがNordstrandに託されました。ジャスティンはWalをメインに使用していることが知られており、彼のパフォーマンスや録音で聴けるサウンドを別フォーマットに再構築されるべく新しいピックアップと専用サーキットが提案されました。というところまで一昨日書きましたね。

キャリーがテストのために製作したNordyのベースも、Warwickが動画にしてアップしているベースからも、いかにもWalだなぁ、というトーンには聞こえませんが、ジャスティンにとって必要な新しい道具として具現化されているとしたら幸せなことです。

ところでそうした動画を繰り返し見ていると、Googleによって、いつもおすすめ上位に現れるものがあり、ついにクリックしました。以下の動画です。

このピックアップはRautia Guitarsというところが作っています。フィンランド人のヴェイヨ・ラウティア(Veijo Rautia)さんが主催するブランドで、ベースもありますがメインはギターのようです。

50年代生まれのヴェテラン・ルシアーで、始まりはゼッペリンなどのロックを愛しギター造りに興味を持ちます。大学では楽器製作を学び、自身で弦楽器製作やリペアを生業としていました。その後10年程、あのFlaxwood Guitarsを手伝い、離れてからはRautia Guitarsを起ち上げ現在に至る、といったところです。いち早くピックアップを手掛けることを試み様々な実験を繰り返してきて、現在は相当幅広いラインナップを誇っています。

本題に戻ると、Walピックアップの特徴だった、各弦毎独立したコイル構成で、4弦用なら1基当たり8コイル積む、凝った作りを現在の一般的なフォーマットに落とし込んだオリジナルデザインを製品化しています。上の動画では、それらのコイルを(全てではありませんが)多岐にわたる接続方法で出音の違いを聴かせてくれています。

さて、それをもって、またWalに迫ったかどうかを検証しなくてはなりません。答えはノーです。Walのようには聞こえません。楽器の構造、構成する材料、ピックアップの搭載位置、アクティブサーキットの音造りの考えなどが全く異なるからです。先述のNordyやWarwickと同様です。

どうもこのように書いていると、Walを信奉しているかのように受け取られるとしたら困るのですが、触発されて産み出される新しい製品には、ならではの新しい魅力が秘められているかも知れず、一般にアフターマーケットのパーツ類はフェンダー互換がデフォルトであることから、フェンダーの再現に重きを置いていて、それが不服であることは隠しません。回りくどい言い方ですね。

本日は一旦このあたりで終わりますが、もう少し、これに関連した話を後日展開できればと思います。お読みいただきありがとうございます。

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