こんどは埼玉

ジャーナリズムの用語で、レッテル貼りなのであまり好きではありませんがV40が属する「Cセグメント」で乗り継いでいくのが順当だと考えられます。Mazda3の先祖であるマツダ・ファミリアから、随分サイズが大きくなってしまったけれど、その辺りが個人ユースに便利であることは理解しています。近年のSUVブームが凄いことになっていますので、そうしたヒエラルキーは崩れつつありますが、私個人は40年前に出回っていたクルマのデザインの潮流にある方が安心します。

Mazda3と、海外ネームを国内でも使うことを通して、マツダの企業姿勢を新たなものにしたのは嬉しいことです。自動車の未来は暗い話題に事欠かないし、電気自動車普及へ一直線な新時代へ、社としてどのように対応するか非常に難しい時期にあって、とにかくできることを愚直に進めていくという気概を感じました。

10数年前、世界的に燃費規制がシビアになった時期に、ドラスティックな革新よりも地味に技術を磨くことで延命を図らざるを得なかった小規模な自動車会社ですから、ディーゼルエンジンや、今回の新型エンジンなど、古典的な部材を洗練させる道を選んでしまったマツダ車が、古き佳きを知る、私たちの世代にとって得がたく貴重な存在であることは間違いありません。そうした自動車はすぐに買えなくなってしまうと思うのです。私は積極的に未来を先取りしようとは思いません。そうしたことは現役世代にお任せします。無責任でしょうか。生活の道具をどのように選ぶかは未来を決めるファクターですが、自動車に関してはこれがたぶん最後のわがままです。もちろん、資源の浪費や汚染を防ぐ意識を持ちながら使うことは忘れません。

これまで書いてきたnoteには、分野を変えても同じ事が記されているような気がします。いつでも私は、クラシックなもの、古くさいもの、自身がまだ、よりダイナミックだった20世紀に触れていたものの系譜に心惹かれてしまいます。

無駄なことを長く話しました。そんなマツダ車の中で、モデルチェンジによって消えたアクセラの2.2Lディーゼル、4WD、MTが理想の一台であるかもしれないと、突然に視界が開けたところで昨晩はタイピングを止めました。ついでに付け加えると、Mazda3以降よりも前のマツダデザインを好むという部分では、CX3が一番洗練されているように見えますが、アクセラのシェイプもとてもしなやかで美しく、今更ですが私は大好きです。

さて、Cセグということで他メーカーにも視野を広げますと、もちろんそこにはホンダ・シビックというのがあります。トヨタにも数台のMT車が売られていることがわかりましたが、全車種にMTをきちんと残してあるマツダが、我らの愛すべき自動車会社であることは、そこにも見ることができます。ただ他社の稀少なMT車も理解した上での選択をしたいと思いました。

シビックには、FF最速でありたいとするタイプRというグレードがあり、過剰な性能を与えられ、熱心なファンの要望に応えていますが、私の好みはノーマルな1.5Lターボの方です。

話は遡り、一昨年の6月30日、ホンダのエンジンを搭載したレッドブルF1が、ホンダにとっては本当に久しぶりの優勝を飾りました。ボルボの初回の車検を控え、買い換えの可能性も考え始めていた頃に、このような快挙が見られ、嬉しさのあまりホンダ車を検討したくなりました。

まずレジェンドというモデルに魅了されます。3モーターとミッドシップエンジンの搭載で「スーパーカー」として再デビューを果たしたNSXを、ちょうど前後逆さにしたような動力配分で大柄なセダンボディを動かす高級車です。これを格好いいと思ってしまいました。町中で滅多なことではお目にかかりません。ホンダのショウルームに行っても置いていません。最寄りのディーラーにカタログを頂戴しに行くと、そこの社長の私有車ならあるので、希望されれば試乗できますと言われ、恐れ多いので辞退しました。エンジンは3L NAのV6です。ちなみに純正オーディオにはKrellが採用されています。音が聴いてみたい。

ホンダの近年のデザインは、ディテールの造形がロボットアニメ風にごちゃごちゃしているように思え、ちっとも好きではなかったのですが、シルエットは大層かっこいいということに気付きます。現実的な路線で非常に気に入ったのはシビックセダンでした。優雅で美しいとすら思うようになります。ひいき感情って不思議ですね。

さてさて、話はぐっと飛んで、この時、MTということになれば、S660を除けばハッチバックの方のシビックしかありません。また不人気なセダンボディは、ちょうど検討の頃に製造中止となりました。というわけでのシビック・ハッチバックを試乗しにまいります。

千葉に行った翌日、神奈川県内で乗ってきました。ただしATです。というかCVTです。言ったらスクーターと同じやつ。8月8日(土)のことでした。

車体はほぼV40と同サイズ。1.5Lのガソリンターボ。とてもとてもスムースで速く、足回りはしっとりしていて、非常に良かったです。すみません。あれだけ持ち上げて、私はMazda3は絶対買わないと思いました。シビック圧勝です。意のままな感じがしました。知らないうちにこんなによくなっていたんですね。自身の無知に呆れました。その衝撃を表すのにこれくらいでよろしいでしょうか。短い試乗区間でしたが、まずひとつも気になるところはありませんでした。乗り心地が意外なほど良かったです。ネガは斜め後方の視界がちょっと?っていうくらいでしたでしょうか。かくして、ロードスターRFの対抗馬はひとまずシビックでいいじゃん、と新しいリファレンスを得ました。ATは買わないけど(あ、でもCVTのフィーリングは悪くなかったです)。

明くる8月9日(日)、千葉・横浜に続いて埼玉は川越に、マツダ・アクセラの2.2LDT / 4WD / MTの最終モデルが見つかりましたので出掛けます。まったくの余談ですが、F'sUkuさんを訪問し、自分のアイディアを具現化したウクレレをオーダーする件も話をまとめてきました。その話はいずれまた。

こちらも営業の方に同乗してもらい、制限速度高めの道路を含むルートを回ります。トルクがあるので細かい右左折があるような場所では3速までで走り、直線でも4速までしか使いませんでした。そしてこれもまた非常に気に入りました。はっきり言ってV40とは同世代の血縁関係です。でもこちらの方ができがいい。ディーゼルをスポーティな方向で使う、その利点をしっかり味わうことができました。

それまで見てきたのは全て新車なのに対し、こちらは中古であり、型落ちですから価格もこなれており、好感を持てます。このタイミングで日本全国に、同じ車体が、もう2台ほど見つかっていますが、走行距離が少ない割に、お盆限定のセールだとかで、その日値段を下げたばかりとあって、相場の中でも安価でした。外装色は黒で、内装は白に近いベージュの革。暗い内装があまり好きではなく、この配色もまた、自分のものにしたい気を起こさせます。

このお店は、その週に夏休みを取りますので、明ける8月15日(土)の開店前まで押さえてくれることになりました。ボルボの方は下取りではなく、自分で売却することにしました。納車の時に、またここまで来るのが面倒ですが、まぁいいでしょう、これで買い換えのクルマが、とりあえず決まりました。猶予はお盆休みの5日間。その中で気になるものの調査を終え、確信をもって返事をしなければなりません。勢いで買えば後悔します。







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