クルマをどうしよう8 何が起きたか

BMW MINIの走行距離が55400kmを超えました。クラシックミニから続くカルチャーの継承がわかりやすく造形に表現されており、ただ所有しているだけで満足していました。と、過去形で書くのは、売却が決定したからです。

買い替える場合には、このオーバースペックな2リッターエンジンをMTで運転する、その何物にも代えがたい喜びを諦めるに足るメリットを得なければなりません。ミニからミニへと交換するのに吝かではありません。しかしそれを正当化させるには、ごくマイナーな不満点を解消し、ポイントを挙げる必要があります。この顛末はこれまでも長々と書いてきました。

1給油あたりの航続距離を伸ばすためにディーゼルエンジンを選び、楽器の運搬を容易にするため5doorにする、となればCooper DかSDになります。Dを試乗できましたが、ガソリン・クーパー(同様に1.5リットル3気筒)ともども実用車然としていて食指は動かず。

それなりに5doorのミニから昔のイギリス車、バンデンプラといった風情を感じ、私ならルーフも同色でシルバーの塗色とかで古くさいタクシーのような外見に仕上げて乗るのも乙なものと思います。だったら必要十分なこのパワートレインでも「可」ではあるのですが、たぶん7DCTが好きではないようです。

別物を承知で言えば8速ATを与えられたJCWが良かったことから、同じ変速機を搭載するSDの方がベターだろうと予測しました。ガタイが大きいクラブマンのディーゼルなら大人しい方のモデルでさえ8ATなので、それも良きかも。

そのJCWのアダプティブサスペンションが素晴らしかったから、オプションで搭載可能なSをベースに新車の見積もりをお願いしたところ、支払総額は値引き抜きにして600万を超え、軽くめまいを起こしました。燃費はMTよりも少しは悪化するであろうから満タンからの航続距離は伸ばせず、5doorは選べるものの、この買い物は未来において大きな負担となろうことは誰の目にも明らかです。

SDならばどうか、見積はいただいておりませんが、32時間レンタルをさせて頂く段取りを整えていただきました。しかし他車に決めてしまったためキャンセルを伝えました。金額的には、同様に大きなものになることは想像に難くありません。実はミニの中古にSDの候補がありまして、そちらの方が買い替えは現実的でしょう(ただしその個体にはシートヒーターが付いていません)。

とはいえ、結論を先に言うと、正直ミニにはぴったりくるモデルがない、と判断せざるを得ません。あの小ささは、外出先で常に優越感をもたらしますが、その気分良さともおさらばしなければなりません(泣)。

ルノー

ルノーのドッグクラッチ式トランスミッション付きハイブリッド車については、登場時にここで語ったことがあります。5doorミニとさほど変わらないサイズで、この1.6リッター自然吸気エンジンで発電しながら走る、脱エンジンへの過渡期に現れた新機構に可能性を感じました。参考までに乗り出し価格は400万円を少し超えるくらい。ルノーは過去に3台所有し、いずれも気に入っていましたから、再び試してみるのも無理筋ではありません。

同じシステムで登場した一回り大きいアルカナというモデルは、かつて一番好きな乗用車はラグナだと公言していた私からすれば気になる存在です。そこに近年マイルドハイブリッド・バージョンが追加されました。1.3リッター4気筒エンジンに小さなモーターを追加したパワートレインを積んでいます。燃料タンクはルーテシア比で8リッター分大きくなり、燃費も良い方ですから、ハイオクガソリンでも月1給油で事足りそうです。そして同車フルハイブリッドよりも30万くらいは安い、と燃料代の差額で「どっこい」かも。

ルノーはいずれもミニよりもかなりお安く買えます。アルカナは新しく、ルーテシアはモデル末期で最後の入荷という点でミニと同じようなモデルステージと、急浮上して参りました。

プジョー/シトロエン

これまでに乗ってきたVWやボルボ、一度はディーラーを訪問したことのあるルノー、シトロエン、プジョー、フィアット、アバルトなどから頻繁にイベント案内のメールが配信されます。ショウルームで試乗などするとグッズが貰えるキャンペーンがあると足を運び、先のミニJCW試乗もスタバカードに釣られての申し込みでした。

シトロエンからマグカップ(昨年VWでもマグカップ狙いで商談行きました)を配る3日間のキャンペーンがあって、乗り替えを視野に入れて行ってきました。

母親が亡くなるまで乗っていて、その後しばらく継承したのがシトロエン・エグザンティア、ということで、自分で買ったルノーと、そのシトロエンは全然別物でしたけれど、大きくフランス車と括って、どちらも大好きです。所有経験のないプジョーについては、かつての504、505は憧れの対象であり、世代的に205や106などは購入対象としたことがあります。308はボルボ検討時に比較したく、1.6リットル・ディーゼルに試乗しましたが、その時の印象では1.2リットル・ガソリンの印象の方が良かったです。当時はMTを残しており、GTiには左ハンドルMTが設定され、非常に魅力的でした。

現行シトロエンのコンパクトなC3は、まさにエコを体現しており、プジョーでも好感触だった1.2リッター3気筒のガソリンエンジンによってキビキビと走ります。古いシトロエンの設計思想をリバイバルさせる狙いで、非常にソフトなサスペンションを与えられており、タイトなミニとは真逆でした。もちそん、その足は優秀で悪く言うつもりはありません。ただ、意図的に随所に荒さを残してクルマ原初の姿を提示せんとするコンセプトは、その価値は認めますが、この歳になると今さら回帰したくもありません(ただ限定モデルのダッシュボードがウッドなのはいいよね)。

やや期待外れだったC3、気を取り直してC3エアクロスというSUVにも乗らせていただきました。フットプリントで許容できるサイズ、こちらはディーゼルが選べます。ボルボのディーゼルは2リッターでしたが、当時比較したプジョーの1.6リッターを進化させた1.5リッターバージョンが搭載されており興味深いです。

柔らかすぎる足回りのC3よりも重量増分の締め上げがちょうど良く感じ、エンジンのフィーリングも悪くない、こちらは十分評価できるものでした。ただシンプルに全高1580mm制限の立体駐車場を諦めるわけにはいかず、残念ながら購入できません。

ちょうど1ヶ月前、ミニを12ヵ月点検に出したとき、展示されていた中古車(Paddy Hopkirk edition)が目に留まったことで、思いもよらず乗り換え事案が浮上したことはお話した通り。この日も納車待ちでプールされているDS3クロスバックの中古車両を見てしまったことで、脳内に電流が走りました。これはちょうど良いのではないかと。

ボルボ・ディーゼル検討の時期(2017年)に、PSAのディーゼルエンジンはまだ1.6リッターで、プジョーとシトロエンC4、シトロエンDS4を乗り較べて、DS4がベスト、カジュアルな魅力で地味ながらC4も良い印象を濃く残しています。ブランドとしてシトロエンと分離、独立したDSオートモビルのDS3クロスバック(マイナーチェンジにより現行はDS3が車名となっています)は視界にあらず、完全に候補外でした。全幅がミニの1725mmに較べ1790mmと、だいぶ拡幅しますが、全高は1550mmと駐車場問題はクリア。

DSはトヨタに対するレクサスのような立ち位置になっていて、新車ならミニの上級グレードと同レベルの値付けです。それだけでも私は遠慮したい気分ですが、そんな話を接客してくれた営業マンと話していると、他にも展示していない中古在庫があると言います。困ったことになりました。

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