論理的な選択、のつもり

昨日の最後に書いたことの繰り返しになりますが、スマホとかクルマとか、仕事と生活に不可欠で、比較的長期にわたる使用期間とそれなりに高価なものを購入するに当たって、経済性は選択時の大きなファクターになります。

パソコンやスマホなら性能差を鑑み、スペックをどの程度に抑えるかを吟味しなくてはなりませんんが、クルマ選びには嗜好も加わるので、より複雑な考察を求められます。2020年にミニを試乗した瞬間から、私がずっと求めてきた自動車像の体現に感心し、次いでプロダクトに巧妙に色づけされる英国カルチャーの象徴性の虜にもなりました。その一貫性は見事なものです。

そうした、ある種のリスペクトのような念に支えられてロイヤリティを約束されたかに見えましたが、自動車産業史上最大の転換期にさしかかったところで、5年から10年先を想像しながら、自分史上最終盤のカーライフについて覚悟を決めることを余儀なくされます。先日60歳を迎え、色々と考えるところが多いのです。いつまで運転できるのか、いつまで仕事ができるのか、といったこと…。

私の生活環境でジャストサイズは全長4m、全幅1.7m、全高1.5mくらいで、1200kgくらいの車重が望ましいです。レーシングカーならずとも、動かす、という観点から絶対的に軽い方がいいです。電気自動車は重いからだめです。

充電でのみ走ることのできるDS3Crossback E-tenseは50kWhのバッテリーを積んで、公称398kmが航続距離となります。web上のテスト記事を見ると300km行くことはなさそうですが、1.2リットルガソリンエンジン車との車重の差は300kgあります。運搬器具としてみた場合、ガソリン満タンからの航続距離が半減してしまう理由としては挙げられないものの、下ろすことのできない重い荷を背負いながら、そのネガさえ引き受けなければならないとは、遺憾としか言えません。

いや、脱炭素のため、はもちろんのことです。車両価格は50万円ほど上昇し、税の優遇があってもコスト増は明白、チャージするには電気代がかかり、恐らくはガソリン/軽油を使用したとしても価格差を埋めることはできそうにありません。なぜこんなにも不自由を選ばなくてはならないのか。社会学者ではないので計算ができませんが、クルマを軽くして少ない燃料で走らせる方がマクロでは排出炭素量が減らせるのではないか、うっかり口走ると攻撃されそうですが、昭和の人間の世界観はそんな感じ。いや、先へ進まなければならないのはわかりますよ。けれど一個人が、その負担増を進んで買う気にはならない(だからこそ「エンジン」を作らせないという施策になるのでしょう)。

EVのDS3は50kWhのバッテリーを積んでいます。iPhone 15proは3274mAhのバッテリーなので、Whに換算すると12.114Wh。このEVはiPhone 15pro 4127個分のバッテリー容量がある。iPhoneはチタンになって187gですから、この個数で約772kg。単純化した話、エンジンと燃料タンクをモーターとバッテリーに載せ替えて300kg増ですから、実際にiPhoneに内蔵するバッテリーを4000個運んでいるイメージです。穿った見方ですが、バッテリーEVは、現時点でそういった理不尽な運搬具として私の目に映ります。ごめんなさい

重量と航続距離が技術革新によって劇的に改善されない限り、更に言えば、燃料で走るクルマに歴然と価格で勝たない限り、それらが共存する中でEVの選択肢はありません。バッテリーには寿命があります。逆手にとって中古車が激安であるとなれば、割り切ってそこは考慮することができます。

書いていたら予定とは違う方向へ進みました。次のクルマをDS3Crossback Bluehdiに、見ず/乗らずに決定した理由を展開するつもりでしたのにね。タイトルはそのままに、この続きはまた明日以降に書くつもりです。今日はイントロということで。





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