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決着したベースアンプヘッドについて少し

タイトルに決着と書いたのは、28日の仕事へ持っていくヘッドを決めたからです。足元に置くもの、つまりベースとアンプの間に繫ぐものにつきましては先日お伝えの通り、以前に使っていたメサ/ブギーのバッファーにボスのチューナーとアーニーボール(Weed改)、そしてBasswtichのプリアンプを新たに加えた布陣としました。Basswitchが9〜15Vを受け入れるので、それに合わせて用意していたCrews Maniac SoundのDCT-0909を使用しています。このDC-Trainシリーズには15Vの口を4コ持つ0915というのもあって、先々Basswitchを複数使用するために持っておいて良いかなと思います。

そしてベースアンプヘッドですが、その前にキャビネットのお話です。実は8インチ口径のフルレンジスピーカーを2基搭載するEdenのEC28というディスコン・モデルを持っていて、180Wの出力は中々の音量を稼げて、モニター用のアンプとして良好な使い勝手です。ただ、これだけだと小口径の低域方向への限界が目立ち、音色に物足りなさがあります。ヤマハのリンクを貼っておきますが、面白い商品説明文は以下に引用いたします。

『EC28は立ち上がりの速い透明感のあるサウンドを得意とする、本格的な180Wコンボアンプです。小口径スピーカーならではのシャープなサウンドとタイトな低音、多彩なトーンシェイピングを可能にするミッドスウィ―プコントロール付き3バンドEQが、アンサンブルの中でも埋もれないサウンドメイクをサポートします。それほどの大音量を必要としないステージパフォーマンスやブラスバンドでの使用にもおすすめです。』
https://jp.yamaha.com/products/brands/eden/amplifiers/e_series/lednec28/index.html#product-tabs

使用目的に合っています(笑)。で、外部スピーカーを4Ωミニマムで繋げられますので、英国Barefaced Audioの12インチ、Super Midgetを一緒に鳴らす予定でした。
https://barefacedaudio.com/products/super-midget

現在イケベ楽器店がここの製品を店頭で販売していますが、私はたぶん直販で日本へ持ち込んだ最初の人間かと思います。これはめちゃくちゃ軽い上にサウンドも良くて、BagendのS12からの乗り換えにバッチグー!でした。この組み合わせは実際に外で使用したことはなくて、家でのテストのみですが、11日のライブに実は持って行っていました。結局Edenは使わず現場のGallien-Krueger MB-150に頼ったわけですが、それよりはもう少し鳴りが良かっただろうと想像します。

そんなEC-28+Super Midgetですが、やはりEdenのプリ部をジャンプするためにTFDI-02(Floatia Designs)のアンバランスアウトをリターンに挿す使い方を想定していました。スピーカー口径で12インチ、8インチ×2、tweeterって万能感有りますよね。180Wの出力も必要充分です。

ですが、なんというかアイディア商品的というか、いいの発見しましたみたいな、ちょっと裏技っぽい、なんか王道感に欠けるのを、いやそういうの好きなんですが、この仕事には他のメンバーさんが重鎮過ぎるので、ちょっと避けたい気分になりました。昔からずっとこれでやってます、みたいな定番的で、かつこだわりの末に勝ち残ったみたいな機材のオーラを、自分への援軍として用意したくなりました。先日の、足元機材の転換も、別の理由を書きましたが、根っこは同じです。一言でいえば「映え」です。より「らしい」物を持っていこうと考えました。

それで、スピーカーキャビネットは手持ちの中では、一番王道っぽい外観しているBergantino HS210にします。これとEC-28をやってみようとも思いました、一時は。でも王道的に、ちゃんとヘッドを使う。キャビは同じものを2台所有しているので、音圧と更なる「映え」が必要なら3段積みにすればいい。ただそれを1体に抑えておくのも、職人としての矜持です。勝手なことを言っていますが。むろん、1台で出せる音に何の不満も無いです。今回のアンサンブルに於いては。

ヘッドは、あのように論を重ねたAshdownを、実際このために買った品なのですが、使いません。結論は下に書きますが、テストしてみました。

まずAshdownです

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テストは、各組み合わせとも一台のHS-210に繋げました。音を聴いた接続方法は1. シールド直 2. エフェクターボード通過 3. TFDIを使用しシールド直 4. TFDIを使用しエフェクターボード通過 の4種類。現場で想定されるのは4になりますが、そこへ至る音色変化も確認しておきます。

Ashdownはヘッドを単体で使えばチューブプリらしさを感じさせる音ですが、基調としてはフラットなサウンドです。冷却ファン2個が全開で回る騒音もステージではきっと大丈夫でしょう。問題は、やはり600Wが過多ですのでゲイン、マスターとも、3ノッチ分ずつくらいしか上げられません。TFDIをリターンへ挿す使い方で、もっときめ細かく音量調整ができます。その場合にはAB級パワーアンプの「らしさ」が味わえ、温かみとローまでよく伸びる大きな音像が得られます。すごく強い音です。

次にAcoustic Image Clalus2 series2

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少し前のエントリで書きましたように、この組み合わせの方がベターに思えました。アコイメはD級ブームの先駆けとなったアンプで、2001年、米国に居た私は、まだブロードウェイにあったルーディーズのベースショップでこの組み合わせを試しました。BergantinoともAcoustic Imageともそれが出会いです(余談ですが、Ken Smith、RItter、Elrick、Warwick、MTDそしてPensaのベース達が並んでいました)。クララスの250Wは大人しいですが、モニター的な刺激の無さがプロっぽくて(笑)良いです。クララスのプリを通せばバリっとした強い音も出せます。ただTFDIをリターンに挿した音の方が、ローの出方が良くなり、その周辺の解像度も高くなります。プリ部の品質が、悪くはないのですが、良くもないといったところです。とりあえずこれで行こうとしていました。

EICH Amplification T-1000

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これは隠し持っていました。日本ではTech Amp Pumaとして知られているものと同一、あるいは同等だと思います。Markbassを手放した後に手に入れており、数回現場で使っています。BarefacedともBergantinoとも組み合わせて持っていったことがあり、使い慣れておりますが、いかにもD級の音質傾向をしています。私は、大きい音を出さないくせに、敢えてBridgeモードで使い1000Wセッティングにしています。どうせだったら特徴を最大に発揮して欲しいからです。ブリッジにしても4Ωまで使え、ステレオパワーアンプの各チャンネルは2Ω負荷に耐えますので8Ωキャビを8台まで鳴らせます。これ1台でBagendのQ10を8台、10インチスピーカーを32個、鳴らしてみたいと思いませんか? 武道館のKISSみたいな。でもヘッドの重さ2.4kgです。

Ashdownよりも更にパワーがありますのでゲインもマスターも朝の8時くらいまで上げたら爆音です。ハイスピードではっきりくっきり、音が飛び出ます。気持ちいいです。なんだろう、フェラーリをぶっちぎるテスラみたいな感じですかね。プリアンプ部は秀逸で、そういうのを控えさせる音作りはできます。テイストノブとコンプレッサーノブをうまく使うと鳴り感をオールドスクール方向へ持っていけ、EQも上質な利きで出したい音へと近づけられます。およそ何でもできますね。非常によく考えられています。

これ使うのもアリだな、という含みで前回の話を終わらせました。ただ、これ眩しすぎます。ブランドロゴの透過ライトは、今回の仕事に向きません。というわけで、あいつも出してみました。あいつとは?

Walter Woods Green Lamp stereo

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正確な型番がわかりません。古いものです。ラックマウントできます。ステレオパワーアンプ仕様で、特殊なケーブルで繫げばBTLで使えます。BTLでも4Ωが可能とwebで調べる限りは書かれていますが、壊したらいやなので8Ωまでに自粛します。Walter Woodsに否定的な意見も以前に書いていますが、BTLの音は上質に感じます。ですからモノラルアンプ(MI-200)は売りましたが、こちらを入手してからは大切に使っています。WWお約束のガリはなんとかならないものですかね。どのノブからも盛大に出ています。でもプリアンプをジャンプすればノープロブレムです。マスターボリューム(Post Gain)を7〜8の間で使うのが最も音がいいです。TFDIからの入力でトーンは穏やかに落ち着きますが、アコイメほど大人しくはありません。さりとていかにもD級というエグ味はほとんどありません。ほかの物より、ちょっと高級な音に感じるのはブラインドでも伝わるのではないでしょうか。

みなさんがお読みになって、こういうの持ってるならWWで始めから決まりじゃん?と感じるかもしれません。でも私がこのように色々と試すのは、やはり現場に対しての最適解が異なるからです。それはその仕事に向かう、私自身の意気込みとも無縁ではありませんし、移動・運搬の手段に制約を受ける場合もあります。そうした条件を加味した中で、一番気持ちよく演奏でき、良い結果をもたらす自信を与えてくれる機材を選択するようにしています。ベース自体も同様に考えています。お楽しみ頂けましたでしょうか。

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