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クルマ買い替えの危機

マイカー選びにおいて、ひとつ絶対に外したくない装備を挙げるとしたらシートヒーターです。所有車の先々代でザ・ビートルがレザーシートだったために標準装備されており、初めてその旨味を知ってからは必須条件になりました。運転席をレカロに交換したときもヒーター内蔵機種にしました。次のボルボV40も、今所有のMini "Cooper S"にも付いています。東京で暮らす冬場に、それさえあれば基本的にエアコンを使うのは雨の日や外との寒暖差で窓が曇ったときだけです。エアコンを使用しなければ燃費は伸びるし、走りも気持ちがいい。

私のミニは2018年前期型で2年落ち3万キロ弱の中古車でした。マニュアルトランスミッションはその年の後期型へモデルチェンジしてからすぐに輸入されなくなりました(現行のテールランプがユニオンジャックになってから僅かな期間だけ国内に入っています)。

購入の翌年に車検、その後12ヵ月点検を経て昨年にまた車検、そして12ヵ月点検の時機が到来し、昨日入庫しました。このnoteは私にとって日記ですので、昨年夏にバッテリーが終わってしまい、7万円ほど掛けて交換した話や、秋口に四輪ともブレーキのディスクとローターを12万円で全交換した話も記録したはず。車検時に保険やら何やらでコミコミ20万弱払った年の、追加の20万を投下して半年後の今回の点検、いくらかかったと思いますか? 97000円です。というわけで、過去1年に50万近くメンテナンス費用を使ったことになります。分散しているので、きついなぁと思いつつも対処してきましたが、総括すると大変な金額であることを改めて思い知らされます。月に4万ですか、お金無い訳だ。

今回、残価設定ローンを組んでおり、最後となる本年9月に約70万が請求されることになります。その日を分岐点として乗り続けるならそれを支払うか、できなきゃ売って返済(車両の返却)という流れになります。売る場合、巷では残価設定額を下回る査定となるのが通例だそうで、追い金を払うことも少なくないと聞きます。クルマが無くなっては困るので買い替えを検討するとしたら、下取りという形で少しは有利に値が付くでしょうが、新規車両への支払いがその後には待っています。

私のミニは現在の走行距離5万5千キロで、6万を分水嶺としたら9月までにそれを超えそうです。だとしたら売却からの乗り換えは2024年2月の今、最適なタイミングかもしれません。実のところ、体調の悪い日にクラッチを踏む左足が攣りそうになる事態が、たぶん平均して3ヵ月に1度くらいあります。渋滞などで踏む回数が増して疲労する、というのではなく、きっと体調不良が原因と思います。真夏の軽い熱中症だったりとか。なので、マニュアルはもう無理、となった段階でオートマチック車へ乗り換え、を想定していました。早ければ今年の夏頃、するとこれまで同様に4年で乗り換えるサイクルなのかなぁ、などと。

昨日は、せっかく来たついでに展示場を歩いてみたら、そこに「それ」は居ました。

購入した翌年に3ドアのクーパーSに120台限定で特別仕様があり、通知のDMからリンクで飛んだサイトには、その車種のイメージ画像が多数掲載され、お気に入りをダウンロードしたらパソコンのデスクトップピクチャーに貼り付けて、この3年間毎日眺めたモデル。リアルでは初めて見ました。

私のバースイヤーと関連し、ザ・ビートルズとも因縁があり、その外観や仕様が自分の理想とする形でした。限定車故にそこそこ「いい値」がついていましたが、条件次第では、つまり損益分岐点において「今」が最高なのだとすれば乗り換えてもバチは当たらない、と思いました。昨晩は眠れずにそのことばかりを考えていたのは言うまでもないですが、むしろその迷いを払拭するために、せいぜいセイモア・ダンカンのウェブサイトを読み込むなどして凌いでいたというわけです。

昨日話しかけてきた営業マンが、預けてある車の査定をするから(受取で来店する)明日どうですか?と商談を持ちかけてきました。結論から言うと、午後4時に完成車両を取りに行き、商談の末に席を離れたのは6時半、好条件を提示されながら私は迷い続け、やっとの思いで「昨日の今日では決めるべきではない」と生活信条をゴリ押しして帰還を果たしたのです。危なかった。

このクルマを衝動買いしないためのキーポイントは、シートヒーターが装備されていない点でした。ところが、後付けが可能だと言うのです。しかも「今日ここで決めてくれれば無償でやる」とまで。査定額が想定より低かったので、それをもクリアする姿勢で来られたら思う壺でした。つまり過去1年間に支払った維持費の50万に見合わないと判断したのです。車両自体の査定はそんな額で妥当でしょうが、私は直近まで乗り続けるつもりでこれだけ支払った、だから不満だ、というのが本音です。ただ、こちらから条件を突きつければ、それを相手が飲んだ場合に後戻りできなくなるので黙っていました。

本当に、この稀なる邂逅は神の配剤かと思います。一昨日にエレキギターやアンプ選びで、いいところでいい物件に出会いながらスルーしたら2度とお目にかかれない事例に言及したところです。まさにクルマでそれが起きてしまったのだけれど、未来はわからないからもっと良い出会いがあるかもしれません。とは言え、今ここで決断しないのは価値が減算していく不可逆の流れにおいて不利に働くことは事実です。と、わかりきった説得材料を持ち出す営業マンは既に二人がかりで攻めてきます。

ここでその限定車のプロモーション動画のリンクを貼るなり、読者の皆さんとシェアしたいところなのですが、理由あって控えることとします。いずれ、この件が決着しましたら、後日談として紹介いたしましょう。

でもね。マイカーのエンジンを掛け、クラッチペダルを踏んでローギアに繋いで走り始めた時のタイヤ一転がり目から、やっぱりマニュアルはいいなぁと心底感じたのでした。この感触は手放せないってのが結論ですかね。
*トップ画像は点検中にお借りした代車で、本文中の車種とは異なります。走行500kmの新車でした。


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