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Crews・Be Bottomシリーズのディテールを探るの巻

昨日の最後の方でBe Bottom' 24のネック仕込みが浅いのではないかと、思い立った瞬間に記述してしまい、公開後に考えを巡らしているうち、いや指板が厚いのだと気付きました。本日はその検証を行いましたので報告します。

結論から言いますと、指板の厚みがフレッテッドのBe Bottom' 21に較べ約2mm厚く、仕込みは逆に1mm程深かったのですが、フレットの分を合わせると、結果的にボディトップ面と弦とのクリアランスは2mm以上拡大していたことがわかりました。これはBe Bottom' 24というモデル名が与えられておりながら、実質フレットレス専用機種であるJackson5のフレッテッドバージョンそのものであるからです。

ネック(フレット)と弦が作る隔たりは、弦の振幅を担保する上で非常に重要な意味があります。しかしボディとの距離は、音質への影響は考えにくく、おそらくはブリッジ(のサドル)セッティングの違いによる差のみ微妙に生じるでしょうか。人々が関心を寄せるのはスラップを行う時、主に弦をプラックする際の指の入り具合を抑制したい(狭い方が指が奥まで入らなくなるのでイージー)部分でしょうから、現実には好みのクリアランスとなるような厚さのピックガードを製作すれば解決します。

昨日、短絡的にネックポケットを彫りたいというアイディアが浮かびましたが、これこそ根幹から楽器の振動系を弄ることになり、後戻りもできませんから安易に飛びつくのは良しとしません。楽器の鳴りに不満があって、そこに問題の焦点が発見された場合のみ触れるべきゾーンだと考えます。ですので、現状から変更を加えることは避ける一択となりましたのが、今日の収穫と言えます。ネックを外して各部を計測し、こうした結論を得ました。

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画像は表面、裏面とも左が21、右が24です。21の方は店頭で在庫品を購入し、その後ストリング・リテイナーやペグを自身で交換しました。21ははっきり言って、木部以外はカスタマイズされており、元々のパーツ類は全て外して保管していました。高価な輸入楽器も多く試してきましたが、その20年に及ぶ旅路の果てに行き着いた、私の「回答」がこの楽器です。仕事へ持っていく楽器として、完全に満足しています。サドウスキー弦がディスコンになり、再考しなければならないのが唯一の悩みで、他に不満はありません。

外した純正パーツ類が丸々あったのと、2019年末のメモリアルな出来事を象徴するカラーの楽器が欲しかったのと、アルダーボディ/エボニー指板のJBというコンセプトで(主として4弦を)物色していたのが重なり、どうせなら音域の拡張も欲張ってカスタム・オーダーしたのが、この24になります。

オーダーで指定したのは外装色の他、できるだけ平行な目のフラットソウンのネック、より軽いものでアルダー・ワンピースのボディ材といった希望を伝えつつ、ストリングリテイナーはB線、G線に掛からない位置で弦の折曲げを最小限にすること、純正アクティブサーキットにパッシブトーンカットを加え、アウトプットジャックはボディのトップ面に付けることを指定し、それらはきちんと応えてもらうことができました。とても満足しています。

21と24を比較できる画像を少しずつお目にかけます。

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上が自分でやった21の方です。Hipshotのパーツを使っていますがゴム足を入れて高さを加減しています。上の方の画像で見られるE線のペグに付けているものはFenderの純正パーツで、弦の巻き終わりを下方に固定させるシャフトに履かせるリテイナーで、良き品です。直上の画像は24で、組み込みの方がリクエスト通りに浅い角度に保てるようスプリングを追加して取り付けてくださいました。なんなら無くてもいいんじゃね?と思うのですが、もう少しヘッドストック面を落としてあったら十分可能かなと思います。F-bassのVFみたいにできれば理想なんですけどカスタムオーダーレベルでは無理かな?

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都合で上下二枚に分かれていますが余白の距離を詰めれば繋がります。24フレット化のためボディが小型化されています。元々21のほうはJazz Bassよりもサイズの大きいデザインとのことで、おそらくは音質への良き影響が少なからずあると思われますが、24はこのように容積を大幅にカットされています。アルダーはそれほど太い樹木ではありませんので、ワンピース材を取ろうとすれば根っこ近くになり軽い材は望みにくいのが通例です。一応、希望としてストックの中からは、軽量な物を選んでもらっていますが、2ピースよりは重くなるのを、この24フレット用ボディシェイプの小ささが相殺できると考えて採用しています。そして目論見は当たりました。吉岡社長の協力無くして実現しなかったと思い感謝です。

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21の方は、その少し大きめボディの形状が、座って弾くにも立って弾くにも極めて理想的で、これらのベースはたぶん90年代から作られていたと思いますが、当時ものの特徴として弦を18mm間隔で装着するブリッジと、それによって細めのネック幅であることもあって、文句なしの弾き心地を与えてくれます。24はサイズダウンの影響を、長丁場を踏まずして確実な評価はできませんが、今の所大丈夫だと思っていますし、こちらの方が更に弾き易いことだってあり得ます。

今回、クルーズオリジナルの重量級ブリッジ(元々21に付いていたもの)で組まれていますが、アルダー1ピースを加味しても、まだヘッド側の重みに匹敵することはできず、ペグをHipshot Ultraliteに交換して良好なバランスを得ていることはお伝え済みです。ならばボディ側は、より重量を落としていいと踏んで、デフォルトのメタルドームノブx5から畑精密工業製のミニノブx5へ付け替えたところ、重量は3980gとなりました。上々の結果です。

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ノブの配列は理想通りとは行きませんでしたが、とりあえずジャックを表に出せたので多少のことは赦せます。明日はそれぞれ、ネックを外した画像をご覧入れますのでお楽しみに。今日はここまでとさせていただきます。

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