趣味のヘッド集め
と言ってもDB680の方は古いです。下のStewartが最新入荷になります。もう一週間くらい前ですけど。やっと今日繫いで音出ししました。
このアンプには冷却フィンがぶぁーっと横いっぱいに付いていて「触らないでください」と注意書きが貼ってあります。もちろん稼働して暑くなるから火傷予防なんでしょうけれど、冷えていてもエッジが鋭くて手を切りそうになりますので、そのままでは危険がいっぱいです。そこでラックに収めようとしていましたが、手持ちに奥行きの合うものがありませんで、本日に至りました。ラックはラックで中古の4600円で手に入りましたので満足です。
さてこのStewart World1.2ですが空冷で6kgほど、1200W出せますのでD-classと疑うわけですが、H-classというものです。webでパッとわかる程度の知識ではスイッチング電源、たぶんWalter Woodsと似たような動作原理と理解しています。間違っていても責任持てませんが、一応D級じゃないことになっているので明記しておきます。少なくともICEではありません。
90年代に登場し、いいなぁ〜と眺めておりました。米国ではかなり普及しTalk Bassなどのフォーラムにも度々話題に上っていました。たとえばAembic F-2Bに組み合わせるパワーアンプとして人気があり、自分でもやってみたかったのですが縁がありませんでした。そんなブツが正規輸入されていたことも知りませんでしたが、オクにしばらく流れていて、価格も安く、例のAMP SL-1を入手したノリで行ってみました。
私のおかしな頭は、このような利便性高いパワーアンプが手に入るとめちゃくちゃハッピーになりますので、宝の持ち腐れでもあったDBの方を出してきて繫ぎました。SLとはいまだ組み合わせていません。先にラックに組んじゃったからね。
Aguilarに話を移しますと、同社起ち上げと同時に世に出たセパレート・ベースアンプヘッドを構成するプリアンプがこれです。組み合わせるパワーアンプも完全なる真空管アンプで巨大でした。このプリ・パワーセットでジョン・パティトゥッチはよく演奏していて生でも見ました(すでにヤマハのベースでした)。ときーどき中古市場で見かけて、そのたびに買っておこうか迷いつつスルーを続けてきましたが、これらの後に出た200W、オールチューブのプリメインアンプ、DB-359の方を手に入れて満足していました。
DB-359は本体重量25kgあって、奥行きが40cm以上あったかな、とにかくラックも探さないと収まるものが無いし、見つけて組み込むと40kg以上となってヘッドをスピーカーキャビネットの上にスタックするのでさえ人手を借りたくなるほど凄まじい重さでした。359とBagendのS15X(あるいはそれとS12とのスタック)を組み合わせたときなど、ベースの再生音として極上、この上は望み得ないと確信できるような良い音がしました。
そうした場合の良い音ってどういうものでしょう。太い、温かい、ヌケがいい、繊細、の全てを持っています。1音出せば、場の空気が変わります。でかい(うるさい)音ではありません。先の組み合わせを、例えばピアノトリオ+トランペットのカルテットで使いました。エレキベースしかそこに見えませんが、慎重2m50くらいのありえない巨人が、その体格に見合うスケール50インチくらいのベースを弾いている像が思い浮かぶ感じです。英語で音が太いことはbig soundと表現しますが、音量ではない意味です。音が大きいはloudですから。まさにそういう鳴り。
そのようなDB-359は、そんなこんなでしばらく使って売り、数年後に中古を見かけると、見果てぬ夢を追いかけて再び買ってしまいます。そしてまた放流。その後は359のプリ部を独立させたDB-659は時々目にするものの、滅多に出なくなった680を不意に発見したときには、最後のチャンスかもと思って入手、しかし出番なく我が家の機材庫に仕舞われて幾年月か流れました。相方DB-728と巡り会える日を待ちながら…。
そんなこんなでパワーアンプがやってきて繫ぎたかったのはAguilarプリでしたので鳴らしてみたわけです。初めから期待しておりませんでしたが、想定通りDB-359に迫る感触は得られません。全くの別物です。DB-680は2バンドのフル・パラメトリックEQを装備しているのが非常に良く、ありがちなQ固定で周波数とゲインだけ調整できるものと使い勝手は雲泥の差があります。Qとはどれくらいの帯域幅で効かせるかで、通常0.1オクターブから1オクターブくらいの間で変化させられます。1オクターブとは周波数が2倍ということですから、例えば中心周波数250Hzで1オクターブにセットすれば180〜360Hzくらいの間でブースト/カットができることになります。狭くすればピーキーに250Hzのみ(という言い方は不自然だし間違っていますが)を増減できるというイメージです。ライブでもおそらく録音でもかゆいところに手の届く設計となっているわけです。
30年前にはt.c.electronic社の4バンドパラメトリックイコライザーをベース用のプリアンプとして使用することが流行りました。1140という機種でしたね。私もよく入れていましたが、ローインピーダンス受けなので前段にバッファーなりプリアンプを置かなくてはならず、どのみち別のプリが必要ならそっちでまかなっちゃえ、ってんで使わなくなりました。今みたいにほとんどがアクティブサーキットを積むベースになってしまっていたら、もちろんそのまま入力して構わないわけですが、当時はまだパッシブのベース中心でしたので。
横道へ逸れましたが、とりあえず今日のネタとしては、標記のセッティングを行ってみた、の報告となります。プリアンプの良さもわかり、パワーアンプは充分ラウドで使えると確認しましたが、じゃぁ6万円で買えるAshdownのABMで良くね?と振り返るならば、音質的に全然不満ないので、メリットは冷却ファンのノイズが一切ないことだけです。はっきり言って。