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うたの プリンスさまっ Dramatic Masterpiece Show ファウスト ラストカンタータ~QUARTET NIGH~

前回のピーター・パンに続きうたプリのお話です。
今回はST☆RISHの先輩グループ「QUARTET NIGHT」演じる「ファウスト ラストカンタータ」についてまたまた個人的な感想を書き散らしていきます。
ので例のごとく自己判断でお読みください。
ネタバレも普通にあります。

「ファウスト」の原作を読んだ人なら分かると思うんですがめちゃくちゃ複雑な物語なんですよね。
それをあそこまで分かりやすく、オリジナル要素も取り入れながら完成させたことに感動しました。
という前置きをして、感想を綴っていきます。


あらすじ

年老いたファウストは人生に絶望していた。
真理を知ることもできず、誰からも愛されることがない。
自らの命を終わらせるため毒薬に手を伸ばすと、悪魔メフィストフェレスが現れる。
悪魔はファウストの魂と引き換えに人生をやり直させてやろうと約束したのだった。
ワーグナーとマルクスを巻き込んだ悲劇が始まる。
人間と悪魔の駆け引きの結末とは……。

https://www.utapri.com/sp/dms/faust/

配役

ファウスト:黒崎蘭丸
メフィストフェレス:寿嶺二
ワーグナー:カミュ
マルクス:美風藍
出演声優:鈴木達央、森久保祥太郎、前野智昭、蒼井翔太

ファウスト:黒崎蘭丸

年老いたファウストも若返ったファウストも蘭丸が演じました。
かつて仲間に「何を演じても黒崎蘭丸」と言われた彼の成長をものすごく感じられる内容になっています。
私はまだ「年老いている」というような年齢ではありませんが若者というわけでもありません。
なのでファウストの気持ちが分かるところも多々ありました。
老いに関しては様々な意見があるところだと思いますが若い頃ほど体も心も自由にならないことに葛藤を覚えます。
若者を羨む日もあるでしょう。
そういう人間が持つ当然の感情、しかしながら踏み込んではいけない領域というのを見事に表現したストーリー構成だったと思います。
老人と若者を演じきった蘭丸に拍手です。

メフィストフェレス:寿嶺二

配役が発表される前から多分嶺二だろうな~と予想してましたし、ハマり役すぎて!
普段は明るく元気なお兄さんキャラなんですけどなんせ背負っているものがデカいのでほの暗い演技もバッチリ!!
私の記憶の中のメフィスト(原作)はもっと人を弄んでいるイメージが強かったので寿メフィスト案外優しいな?と思いました。
そもそも道を踏み外すように誘導して魂はちゃっかりいただいちゃうという世間一般の「悪魔像」とメフィストは違うというのは原作を読んだ時にも抱いた感想(それでも原作のがえげつなかった)
悪魔には悪魔なりの言い分があるというか。
なのでそこもしっかり表現してくれたのが嬉しかったです。

ワーグナー:カミュ

視聴の時点で盛大に「!?!?!?」ってなりました。
元々カミュは執事アイドル。
でも実際そうじゃないことも我々は知っているので……。
私的には「可愛いな!?」という方での「!?」でしたが。
余談はここまでにしてワーグナーにカミュが抜擢されたのは本編で「なるほど~」ってなります。
彼はファウストの弟子で若く美しい。
でも研究者としてはちょっと頼りないところがあります。
自分自身を信じきれず、権力者や周囲の人に影響されやすい一面が描かれています。
老ファウストは彼の成果はさておき「若くて美しく、未来がある」という点に嫉妬しています。
この対になるような役を蘭丸とカミュにやらせるっていうのもまたすごいですよね。
若返ったファウストに親友のマルクスを取られるのではないかという焦燥感を悪魔メフィストに勘付かれ、悪の道へ足を踏み入れてしまいます。
結果大切なマルクスを自分の手で殺してしまい、その現実を受け止めきれずに「死者を生き返らせる」という禁忌を犯してしまいます。
前半のちょっと人に流されやすいけれど希望に満ち満ちたワーグナーと後半の人間捨てたワーグナーの豹変ぶりはお見事でした。

マルクス:美風藍

藍ちゃん本人も「オリジナル要素の多いキャラ」と話していましたが私的には原作ファウストに出てくるグレートヒェン(ヒロイン)の要素を取り入れてるのかな?と感じました。
ちなみにグレートヒェンの本名はマルガレーテ。
マルクスの名前もここからきているのかもしれません。
※この辺りは私の盛大な妄想です※
マルクスは幼い頃に家族を病で失っています。
しかしファウストやワーグナーのように「永遠の命」に興味はなく「自分がどう生きるのか」という信念を大切にしています。
しかし天才ゆえにマルクスを真に理解してくれる人はいない。
そんなところに若返ったファウストが現れます。
マルクスとファウストは意気投合。
2人が接近すればするほどワーグナーは蚊帳の外状態で、結局ファウストとワーグナーの争いに巻き込まれて命を奪われてしまいます。
でも彼の死を受け入れられないワーグナーによって再び蘇ることになってしまう。
この時にメフィストが現れ、また事態を引っ掻き回すのですが混乱しながらもマルクスは自分を取り戻しました。
最期は親友ワーグナーと共に身投げをします。

「ファウスト ラストカンタータ」を通して私が学んだこと

あくまで「私が」です。
これが正解というつもりはないのでイチファンのイチ解釈としてお読みいただければ幸いです。

不老不死

これは人間にとって永遠のテーマとも言えるのではないでしょうか。
それを証明するように様々な物語の題材になっていたり「不死」とはいかなくても「アンチエイジング」がはやったりしていますよね。
ファウストは若い頃を全て研究に費やしてきました。
しかし年を重ね、死が身近なものになった時にその生き方を後悔します。
「恋もしたかった」「恋が無理なら親友が欲しかった」「なのに自分は何も持っていない」と嘆きます。
原作のファウストのモデルは15~16世紀頃に実在したとされる錬金術師の方です。
と、いうことは世間はファウストを偉大な人物と認識していたのだと勝手に思っています。
弟子のワーグナーも「ファウストは何でも持っている」と言っていましたし、世間は概ねそういった認識だったのではないかと。
でもファウスト自身は名声ではなく、自分の人生を豊かにしてくれるのは人との繋がりだったと感じている。
若い頃にもっとそちらへ目を向けていたらという後悔から今「若さ、美しさ、親友」を持っているワーグナーが羨ましい。
完全にない物ねだりですよね、お互い。
ただこれって普通にあることで……そこに「人生やりなおせるよ~」って悪魔メフィストが現れたら私も契約しちゃうかもしれません(笑)
人間の一生って短くて儚い。
亡くなる間際に「あぁすればよかった。こうすればよかった」って思い浮かぶという話もよく聞きます。
もし今の私が死を突き付けられたら間違いなくそう思います。
ただ「不老不死」になりたいかどうかっていうと微妙なところで。
結局身近な大切な人も同じように生きてくれるのなら生き続けたいけどみんなを見送った後の世界に1人で生きていくのはちょっと…って思いませんか?

人を羨む気持ちや優越感、劣等感など

人間誰しもが持っている感情でしょう。
どちらかと言えば「汚いもの」に分類されることが多く、自分自身では認めたくないけれど。
前述した通りファウストはワーグナーを羨みます。
若返った後にワーグナーの親友と仲良くなり、優越感を抱きます。
ワーグナーもまたファウストに師事しながらも彼を羨んでいた部分があったはずです。
親友マルクスに対しても「彼はすごいんだ!」と純粋に評価している一方自分とマルクスは違う(マルクスの方が優秀)という劣等感に近いものはもっていた気がします。
ファウストからもワーグナーからも好かれたマルクスはそういった感情とは割と遠いところにいた人だと思います。
だからこそ二人が惹かれたのかもしれません。
「ファウスト」から話は逸れますが私はよく人に友達や恋人を取られる人種です。
「取られる」と言っている時点でモノ扱いしているような微妙な気持ちになるのですが…。
私が誰かと仲良くなると必ずその間に割り込んでくる人がいます。
それこそ幼い頃からずっと。
なので私は「特定の誰か」を作ることをやめました。
「取られた!」と怒ったり悲しんだりする自分に疲れたのが一番の理由。
昨日まで仲良しだったのに急に態度が変わる人々へ絶望したくないのも大きいです。
ファウストに「マルクスを取られた!」と憤るワーグナーのシーンは過去の自分を観ているようで何とも居心地が悪かったです(笑)

「持っていない」も「持っている」も自分次第

物語終盤、ワーグナーもマルクスも失ったファウストにメフィストが「お前は何を持っているんだ?」と問いかけるシーンがあります。
ファウストは何もかもを失ったことを認め、全て「持っていない」と答えます。
勝ち誇ったメフィストにファウストは「今”ない”ということは”あった”ということ」だと言います。
失って初めて気付くとよく言いますがまさにそれなんですよね。
ファウストの人生は確かにファウストの望んだようにはいかなかったのでしょう。
でも研究に打ち込める集中力は素晴らしいですし、彼が残したものはのちの世の役に立つかもしれません。
ワーグナーはファウストを慕っていました。
若返った後とは言え、マルクスも純粋にファウストを認めて友人になりました。
ファウスト自身が気付いたように実は「持っていた」ものもたくさんあった。
それにもっと早く気付ければ、悲劇は防げたかもしれない。
そんな人間の愚かさと、失敗しても光はあるということを教えてくれた物語だったと感じています。

メフィストフェレス

最初にも書いていますが私は彼を「完全悪」だとは思えませんでした。
そもそも「人間たちは神から与えられた理性をろくなことに使ってない」というメフィストなりの正義があっての話なんですよね。
彼は誘惑の悪魔なので人間(この場合はファウスト)を試すためにあれやこれやと人の道を外れた提案をします。
それは人間側からすれば「卑怯」になるのかもそれませんが悪魔なりのやり方だったのなら仕方ないな…だって実際人間って(自分も含めて)ろくでもないじゃん…と…結構メフィストに共感した部分も多かったです。

私にとっての「ファウスト ラストカンタータ」

上記でほぼ書いてしまったんですが(笑)一応まとめとして。

私は弱い人間です。
なのでファウストやワーグナーの気持ちがよく分かります。
ファウストのように天才でもなく、ワーグナーのように一生懸命でもないのでおこがましいですが(笑)人間くささでは負けてないなって(笑)
マルクスは私にはとても眩しかった。
きっとファウストとワーグナーにとっても。
だからこそ全員がメフィストの手の内で転がされてしまったのだと思います。

「ファウスト」はフィクションです。
それは十分に理解した上でまぎれもない「人間」な私はメフィストの誘惑(おそらく世の中に溢れている道を踏み外すきっかけのようなもの)に惑わされず、可能な限り後悔を少なく、生きていきたいです。
素敵な物語をありがとうございました!!









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